アーティストって言葉に囚われていつも過ごしていたが、アーティストとそうじゃない人の違いって何なのだろう。
アーティストである時点で交際していることを公表したら荒れるのはどう足掻いても逃れられないことなのだろうか。
俺と元貴が交際していることを公表したら、
どういう意見が出るのかな。
俺が所謂、堕ちやすい人だったら
他の人に浮気したりするのかな。
俺は今幸せなのかな。
こんなこと考えながら弾くギターは嫌いだ。
好きな事を仕事にしている以上、嫌いになんかなったら続けられないだろう。
「若井ぃ、最近どうしたの?」
「んぇ、なにが?」
「ボーとしてるっていうか、なにかについて深く考えてるような感じがする」
「そぅ?」
元貴は勘が鋭い。そのうち、何について考えているかもわかるんじゃないか…なんて思ったり思わなかったり。
最近、元貴の声を聞くのが怖くなる。
何を言われるのか分からない。
抱かれている時の声とはまた違う雰囲気が刺さっているのかもしれない。
脳に、胸に……。
でも、元貴の声は好きだ。
元貴の声が怖いのではなく、言葉が怖いんだ。
その時、俺の中で1番怖いものは言葉なんだと気づいた。
俺の言葉は元貴をどうするのだろうか
「元貴……」
「ぅん?」
「好き、笑」
「は、ぇ?//」
分かりやすく照れる元貴を見て、可愛い…
と思ったのは心の奥底のことだった。
「可愛いこと言うじゃん?♡」
瞬きをした後の、こちらを見る元貴の目。
中にハートが入ってそうな、真っ黒なのに綺麗な目。
俺を抱く時と同じ目をしていた
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