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R18
「ふ、う、あッ…あ」
小柳に見下ろされながら声を上げる緋八。中で飛沫が散る感覚に目眩を覚える。腹に籠った熱にじん、と視界がぼやけた。
彼は指を絡めて手を握ってもう片方の手で緋八の額にかかった髪をすくい上げた。浅い呼吸を繰り返していれば奥の方を擦られる。
「あッ、あッ…や」
繰り返し迫ってくる快感に攫われてそうになって首を振る。はじまる前からあんなに調子が狂うことを言われて、顔を見たいからと正面から抱かれてその時点でキャパオーバー寸前だった。なのに、休む間もなく彼に抱かれて。
「ん、まって…」
口から制止の言葉が零れる。すると彼は動きを止めて耳元に顔を寄せてくる。
「今日はマナのこといっぱい甘やかすから」
低く脳に響く声。ぞわ、と背筋に何かが走る。彼は両手で緋八の頬を包むようにして顔を正面に固定した。不敵に笑った彼の目にどろりとした欲情の色を見て呼吸が荒くなった。
そんな顔、見たことない。
「よしよし」
「…ん…んやッ」
ゆっくりと今度は浅いところを擦られて体が震えると頭を撫でられる。甘ったるいあやすような声が無性に恥ずかしくて彼の手を掴んだ。蕩けてしまいそうだった。
「ッそれ、やだ」
「嫌?」
「ん、ふあ…」
「いい子だから、ね」
気持ち良いところを当てられて彼を押さえた手から力がすり抜ける。抵抗しようにも力が入らなくて中を突かれるたびに開きっぱなしの口から掠れた母音だけが発される。
「あ、あッ…あ」
「いいこ、いいこ」
反応してしまうたびに彼は頭を撫でてくる。どろどろした甘くて低い声に、優しい指先に触れられるたびにどうしてか腹の奥が疼く。子ども扱いされて恥ずかしいのになぜか快感を拾いやすくなる体が恨めしい。
「マナはここ、とんとんってされるの好きだもんね」
「ふ、う゛ッ…あッ…あッ」
言われて余計に意識して腰がかくかくと痙攣する。違うのに。頭とは相反して勝手に動いてしまう体。このままでは蕩けてしまう。混乱して彼の両手首を握った。
「泣いちゃうの可愛い」
「んぅ、ッはぁ…」
気付かないうちに泣いてしまっていたらしい。ぽろぽろと涙を零しているとそのまま口付けられる。深く、深く。
そのまま彼は腰をうちつけてきた。奥に当たるたびに目の前で火花が散る。
「ん…んぁ、んん」
回数が重なるとまた腰が痙攣する。ふわつく意識の中、じゅる、と舌を吸われる感覚がして視界が白む。彼の優しい大きな手に包まれる中で意識を手放した。
「おはよ」
朝。
ベットの隣で目を覚ました緋八に声をかける。瞬きを繰り返してぽやっとした表情でこちらを見上げてくる。まだ意識がはっきりしていないらしい。そのあどけない顔にそっと触れる。
「おはよ…」
「後処理はやっといたけど、お腹痛くない?」
「…うん」
彼の眠気眼と目が合う。次の瞬間、大きく目が見開かれて勢いよくタオルケットをかぶった。
「どした?」
「やだ、顔見ないで」
羞恥心で震えた彼の声にちょっとだけにやけてしまう。昨日、今までにないくらい感度が良かった彼。行為中に失神してしまったのは昨日が初めてだった。そんなに激しくしていない。だから多分、小柳の予想が合っているなら気持ち良すぎて気を失ってしまったのだと思う。
「昨日のさ」
「あ!やだ!!その話なし!!」
話そうとすれば彼はタオルケットにくるまったまま足をバタバタさせた。昨日から彼がやけに愛おしくてしょうがない。彼の弱点が過度に甘やかすことだったなんて。
「分かった、分かった。ごめん」
これはいじりすぎると拗ねてしまうだろう。流しつつぽんぽん、と彼の肩あたりを叩く。
「朝ご飯用意してるから」
パジャマを肩にかけてボタンを3つくらい閉める。ご飯を用意している間に顔を見せてくれる準備が整うことを祈りながら頭には昨日の彼が浮かんでいた。
いいこ、と頬を撫でた時に、いいところを掠めた時に見せた困惑しつつも蕩けたような目、だらしなく開いた口。うねって止まらない中の感覚。
整った愛嬌たっぷりの顔が快楽に歪んでいたあの瞬間。
あれを気持ちいいことと彼が認識したら一体どんな風に乱れるのだろうか。どんな顔を見せてくれるのだろうか。
じっくり時間をかけることにしよう。
彼が見ていないことをいいことに企んで口角を上げた。