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パッと思い浮かんだもの
急に始まり急に終わる(2話)
登場人物
すまない先生とミスターブラック
精神世界に入ったすまない先生
すまない先生はあたりを見渡す
どこを見ても闇闇、闇、真っ暗だ
(あれ?)
真っ暗だが遠くに一つだけ赤いものが見える
「行ってみよう」
走り出す
走って、走って、だんだん近づく。
辿り着いた赤いものの正体は、
(これは)
血だ。紛れもなく。
血溜まりの中には女性が倒れている。
「えっ!大丈夫ですか?」
声をかけても返事はない。
すまない先生の伸ばした手が女性に触れようとする
その手がふっとすり抜けた
(え、)
何回も触れようとするがダメだった。
(もしかして、ミスターブラックの記憶の中の人?)
すまない先生は一回、記憶の中に入ったことがある。それは干渉はほぼできなかった。
(覚えているということはミスターブラックの大事な人?
恋人か?
だが、彼は恋愛に興味がないから違うだろう。
幼馴染?
それにしては大人っぽいな
母親か?)
改めてよく見るとミスターブラックの記憶の中に入った時に出てきた女性に似てる。
顔はなかったとはいえ外見は一致している。
それにしても
(綺麗な人だな)
すまない先生がぼぉっとその顔を見ていると
「なんで助けない?」
至近距離で声がした。
思わずすまない先生は女性から目を離し、声がする方向へ身構える。
「誰だ」
すまない先生の問いに答えることなく声の主は続く
「なんで、なんで助けない?」
声は近くでするが姿は見えない。
「女性に触れられないんだ。
どうやって助けたらいい?」
声の主にすまない先生は大声で問いかける
「なんで助けられなかった?」
声の主はなおも無視して問う。
(た?)
過去形になっている
(間に合わなかったのか?)
その事実にひんやりと心が冷える。
「お前は誰だ?」
すまない先生は大声で「声」に問う。
声の主は
「なんで助けなかった?」
同じことしか聞かない。
すまない先生は途方に暮れる。
と女性の隣に誰かがいるのを見つけた。
女性を揺さぶっている赤い瞳の男の子。
(ブラック)
この人物も記憶の中で見た事がある。
「ねぇ起きて母さん。まだ寝ないで、救急車くるから、後ちょっとだから、ねぇ!目を開けて、」
目の前の光景を認めたくない少年の悲痛な声
さっきの声の主は助けられなかった、
と言った。
つまり死んでしまった。
それでもなお少年は呼びかける。
その悲痛な声を聞きたくなくて、すまない先生は少年に触れる。
すると周りが回り出す。
(目眩がする)
回り続けて酔いかける。
血溜まりの女性も悲痛な声の少年もいなくなり
暗闇に放り出される。
「痛った!なんだここ?」
放り出された拍子に体を打つ。幸い受け身を取っていたから大丈夫だったが、
周りを見渡す
以前と同じで暗いのは変わらないがこっちの方が狭く感じる。
闇の牢獄のような
「あっ」
見渡した先に少年がいた。
すまない先生は少年に駆け寄る
と
「お前はいらない、
不幸しか呼ばない。
早く死ねばいいのに」
声が頭の中で響く。
すまない先生は頭の中で声がしたことよりその内容に驚く。
(いらない?早く死ねば?ミスターブラックに?)
こんなにも優しい少年に?
少年は頭を下げている。
声を受け入れるかのように
懺悔するかのように
すまない先生は
「なんでそんなこと言うんだ!」
怒気をはらんだ声で言う。
声の主は
「いらない存在だからだ。」
すまない先生に初めて答えた。
少し驚いたが、それよりも
「いらない存在だって?!誰が、?あの子ほど優しくて、賢くてみんなに必要な存在はいない!!」
いらない存在だと言う声の主に感情に火がつく。
「それが虚像だとしたら?」
気だるげに返される。
すまない先生の答えはもう決まっていた。
「そうだとしても、僕はミスターブラックが必要だ!!」
ミスターブラックがいなくなって、何もできなかった。
本当に何も。
監視カメラのハッキングや襲いかかる敵からの離脱。
いなくなって、いやいなくならなくてもミスターブラックの必要性は感じてたはずだった。
でもそんなのは序の口だった。
いなくなって、すまない先生は知らず知らず彼を心の支えとしていたことを知った。
いなくなった時の喪失感と言ったら!
何も感じられないほどの喪失感。
ミスター赤ちゃんと銀さんは泣きながらずっと探してた
バナナとマネーはずっと険しい顔をして
レッドとブルーは、途方に暮れて、
みんなの笑顔がなくなった。
まともに授業なんてできなかった。
それをこの声は否定する
許されない。許さない。
「僕は、ミスターブラックの過去も知らない。けど、頼って欲しい。いなくならないで欲しい。」
声はもうしなくなった。
少年は、変わらず動かないまま。
ぎぃ
すまない先生の後ろの扉が開く。
出てきたのは、目の前の少年とそっくりな、格好をしている男性が歩いてくる。
違うのは仮面をしていないことだ
「父さん、」
少年は、躊躇いがちにその人物を呼ぶ。
(父さん?)
そんな息子に応えるでもなく、心配するのでもなく
「お前は何をやってる?」
「ごめんなさい、片付けを、」
酒瓶が少年に投げつけられる。
怯む少年になおも言う
「あいつはお前のせいで、死んだのに!」
すまない先生はブラックの父親の怒気の強さに思わず目を見開く
(こんな父親でも妻のことは愛していたのか?)
でも
だからと言って暴力は許されない。
それに彼のせいじゃない。
理不尽な暴力だ。
もう一回父親は少年を殴ろうとするだろう
記憶の中ではブラックの父親だけは攻撃できた
なら殴ろうとする隙にブラックの父親をもう一回倒す!
「役立たず。早く死ねばいいのに。あいつじゃなくてこいつが死ねばよかったのに!!」
叫びながら殴りかかる
少年は何もできない。
すまない先生は少年を庇うように立ち、
「あぁー!すまない!」
「うっ」
思わぬ攻撃をモロに受け仮面の男が大きな音を立てて倒れる。
「ちょっとやりすぎたかな?まぁいいや」
仮面の男に見向きもせず真っ直ぐ少年に向き直る
「大丈夫?」
差し出した手を少年は、
取らなかった
「父さん
父さんどうしたの?」
ブラックは父親の脈を確かめる。
(僕のことはやっぱり認知できないんだ。
ならなんで攻撃が当たったんだろう。)
「急性アルコール中毒?病院に連れて行かないと、」
少年はバタバタと電話を探しに行った。
すると場面が変わる。
暗闇
少年は蹲っている
「僕が母親を殺した。僕がもっとちゃんとしていれば、これは罰だ。感情を捨てないと、、
痛いと言う気持ちがなくなれば父さんは悪い人にはならない。大丈夫、大丈夫」
そう自分に言い聞かせるように呟く。
「そうだ、父さんは悪くない悪いのは僕だけ、
父さんは悪くない、悪くない、悪くない。僕が悪い僕のせい。」
瞳の色が綺麗なワインレッドから黒く濁っていく。
(違う、)
否定したいけど、否定したところでどうなる
何ができる?
まだその時ではない。
くるくる回る
映像が映し出される。
叩かれ、殴られても顔を変えない。
いじめられても何もしない。
(ここから壊れていたのか?)
自分の感情を消すなんて正気じゃない。
と突然周りが明るくなる。
パソコンを使ってゲームをしているようだ。
対戦相手はなかなか強い。
名前は、
「ミスターホワイト、?」
『お前やるな』
『そっちこそ』
お互いがお互いを認め合ってる戦い、
今のような憎んでいるような敵対関係なんてどこにもない。
友達と遊んでいるようにしか思えない。
ミスターブラックは先ほどよりマシなような気がする。
『今度会わないか?』
「会いたくない」
会ったら失望される。
『それに私が近づくだけで迷惑をかけるかもしれない。』
ミスターブラックの心の声が聞こえる。
「なんで、どうしても?」
「どうしても」
画面からでもホワイトの戸惑いが伝わる
「だったら新作のゲームで戦おう」
「俺が勝ったら会う。負けたら会わない
それでいいか?」
「いいよ」
勝負は白熱していた。
「急に暗くなった!?」
何がきっかけかわからない。
暗闇で目をならす
途端に映像が見える。
「うわっ眩しい!」
目が慣れなくて少し瞬く
「何だ?火事か?」
家が火事になっている。
警察が近寄ってくる
「あ、お巡りさん。何があったんですか?」
「見てわからないのか?お前の家が燃えてるんだよ」
(えっ!
何で急に?)
「えっ!なんで、」
僕の心を代弁するかのようにブラックがきく。
途端に警察は目を釣り上げて言う
「何でってお前がやったんだろ!」
予想していなかった大声に思わず身をすくめる。
「お前がやったんだろ?」
「違います」
「嘘つき」警察がこっちを見る
その目は犯罪者を見る目だった。
「違います。僕が?」
「いい加減にしろお前が家に火をつけてからしたんだろう父親を」
その言葉を聞いて、ブラックは足元がなくなっていく気がした。
「と、父さんが?」
「ああ」
警察はそっけなく返す
一方ですまない先生は
(えっお父さんが死んでしまったの?)
状況を飲み込めない。
何で疑ってるんだ?
「お前が倒れていたあたりから発火しているのがわかった。
お前だろ!」
ブラックは混乱する
父、死んだ?なんで、僕のせい?
ゲームで遊んでいただけなのに?
「違います。私はやっていません」
「嘘をつくな!」
ブラックの言葉は誰にも届かない。
必死の弁明も届かない。
サイレンが遠く遠く聞こえた。
映像が変わる
(何だここは?)
すまない先生は映像をよく見ると
『取り調べ室』
と書いてあるのが見えた。
(取り調べ室?まさか、まだ疑われているのか?こいつら、虐待にも気づかなかったくせに!)
すまない先生は一人拳を握る。
「お前がやったんだろ?」
「違います」
「っち!こうするしかないようだな」
豪を煮やした警察が近寄って
殴る。蹴る。
「ぐっ、」
ブラックはただ耐える。
「おいさっさと吐けよなぁ!」
ブラックの髪を掴んで顔を上げさせる
(は?曲がりなりにも警察だろう?何でこんなことするんだ。どう考えても冤罪だろう?)
ブチギレそうになる。
すまない先生は拳をさらに強く握る。
手のひらからうっすら血が滲んでくる。
でも構わない。
(これが僕の怒りだ)
「警部!」
何やら慌てたような若い人がドアを勢いよく開ける。
「何だ」
いらつきを隠そうともせず警部と呼ばれた男は振り返って返事をする
「調べたところ、パソコンから発火したとわかったみたいで、」
「ああそう。ならこいつは?」
振り向きもせず指差す
「パソコンの劣化によるものなのでただの被害者です。失礼します。」
若い人が礼をして帰った。
バタンと戸が閉まる。
「っち!ぼうっとそこに突っ立ってるから疑われんだよ。」
そう吐いて
同じように扉を開けて出て行った。
数日後ブラックは無事釈放された。
仮面を持って。
(っ〜〜〜〜謝りもなしか?!被害者に?冤罪かけて無理やり吐かせようとして?)
そろそろ我慢ができなくなってきた。
剣に手をかけて「すまなーい」したくなるのを抑える。
落ち着こうと息をゆっくり吐く。
すると声が聞こえる
『もう限界だ。誰も彼も助けてはくれない。人を信じることができない』
心が割れる音が聞こえたような気がした。
仮面を手に取り、睨んで
「ブラック一族の研究を終わらせて父親を超えてやる」
『その後はもう早く父さんと母さんのところに行きたい』
仮面をつけた。
『そのためには弱い自分は隠さないと、これ以上迷惑がかからないように。
本音を出したところで人はそれを利用して、踏みつけていくのだから必要ない』
果たして今のブラックができた。
映像が消える。
また暗闇に包まれる、
「ブラック、、」
(こんなふうにできたんだ、天才のブラックという人は、誰も、味方してくれなかった。)
ブラックに会いたい。
本音を聞きたい。その口から、
後ろをトンと軽く叩かれる
「何?」
振り返ると、
黒と白の仮面、
真っ黒のコート、
褐色の瞳
ずっと会いたかったブラックがいた。