彩寧さんの言葉通り、確かにさっきの事後の音声よりも衝撃的だった。
雅人は彼女とのセックスの許可を彼女本人でなく陸に求め、陸が許可して、許可された感謝を陸に伝えた。彼女は陸によって勝手に承諾された事項の履行を求められるだけ。彼女の体は彼女のものであって、彼女のものではなかった。彼女の意思はひたすら無視され、彼女の貞操もすべて陸に管理されていた。
ビッチどころではない。不特定多数の相手とセックスするビッチだって誰とセックスするか決める権利くらいある。彼女にはそれさえなかった。これではただの性の奴隷だ。
「結局、約束は守られなかったのよね。雅人は時間の延長とペニスの挿入の許可を陸に求めて、避妊具の装着を条件に陸も許可した。そのあとで陸は自分は避妊具をつけずにあなたの体をむさぼって性欲を満たし、最後に膣内に射精した。生理後五日目なんて安全日でもなんでもない。妊娠の恐れもあったのに怒らなかったのは陸を愛してたから? セックスして優しい言葉をかけてもらえたらそれで満足なの? あなたの愛なんて所詮その程度のものだったんだよ」
彼女は地面に座り込んだまま動かない。返事をしないのは彼女がかつて陸たちに性の奴隷のように扱われていた実態を僕に聞かれた惨めさからだろうか? それともこれで完全に僕とは恋人でいられなくなるという絶望からだろうか?
「夏梅君、その子がセックスしてる最中の場面を君に見せなかったのはその子への武士の情けと言ったけど、本当は違う。陸とセックスしているときのその子は本当に幸せそうな表情をしていた。分かってると思うけど、その子が陸に何かを強制されてる場面なんてどこにもなかったからね。それどころか、陸の仲間二人も見てる前なのに性の快楽に溺れて、数え切れないくらい絶頂に達していた。その子をもっと嫌いになってもらうためにはそれを見てもらった方がよかったかもしれないけど、本気でその子を愛していた君が見たら当分立ち直れないくらい傷つくと思ったんだ」
傷ついてもいいからそれを見てみたいと思った。彼女が性の快楽をむさぼる恥ずかしい姿を見たかったのではない。彼女の〈本当に幸せそうな表情〉というものを見てみたかった。僕は今まで彼女にそれ以上幸せな表情をさせたことがあっただろうか? もしないとしたら、これからそのような表情をさせることができるだろうか?
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