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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話です
ほんの数週間前のそんなやり取りを思い出しては、もう既に懐かしく感じてしまった。
それだけここ最近の出来事の濃度が濃すぎたんだと思う。
手錠に繋がれた左手首は、段々と痺れてきた気がする。
目線を上げると変わらず黒マスクは冷たい目でこちらを見下ろしていた。
「1つ聞かせてくれよ」
まだ血の味がする口内から、俺はそんな言葉を絞り出した。
「お前、前にないこの前で死のうとしたことあったんやろ? それやのに今回は何でないこを殺そうと思ったん?」
俺の問いに、ピクリと黒マスクの眉が反応する。
「今回もお前が勝手に死んだら良かった話やん」
煽りがすぎるかと思ったが、黒マスクはそこでは逆上することはなかった。
少し考えるような仕草を見せた後、愉快そうに笑う。
「あの時一命を取り留めて…すぐに後悔したんだよね。あぁ何で俺死のうとしたんだろうって」
言いながら、黒マスクはまた少し屈んで見せた。
俺と目線を合わせる。
「ただあの時は、苦しさから解放されたかった。逃げたかった。…若かったなぁって思うよ今なら」
でもさぁ、と口調をいくらか軽くして続けた。
「ないこがあの件の後、夜にパニックを起こすくらいトラウマになってるって知って我に返ったんだよね」
目が、恍惚に歪むように細められる。
「やっとないこの中に俺っていう存在を残すことができた、って」
その時の高揚感を思い出しているのか、黒マスクの声音が幾分か跳ね上がった。
楽しそうに上がる語尾。
こちらには嫌悪感しか湧いてこないけれど。
「それで思ったんだよね。俺が死んだらダメじゃん、って。ないこの中に俺っていう存在を残したまま、ないこがキレイに死なないと意味がない」
「……」
「ないこはさ、仕事にやりがいを感じててこの組織のことが好きだったから。その組織ごとぶっ潰したら、どんな顔するかなぁって」
俺の不快感を露骨に出した視線など気にも止めず、あいつは歌うように滑らかに続ける。
「ついでに仲間からは裏切り者だって誤解されてそっぽ向かれて…それで一人ぽっちになって死んでいく。その絶望に突き落とされたないこが見たかった」
「だからりうらにわざとないこを裏切り者だと勘違いさせるような言葉を聞かせた?」
「そう。それが全て」
感想は?とニヤけて言われるものだから、ハッと嘲るように声を出して笑ってしまった。
「くだらん。クソガキ以下の思考回路やな」
「…なんとでも言えばいいよ。どうせお前も死ぬんだし」
再び立ち上がって、黒マスクはまた俺を上から見下ろす態勢を取った。
「ただ、すぐには殺さない。自分の手でないこを…好きになった奴を殺したっていう事実に押し潰されながら死ね」
冷たく吐き捨てるような言葉に、俺はまた唇の端を歪めてしまう。
笑んだ俺が気に入らなかったのだろう。
黒マスクは再び不快感を露わに眉を顰めた。
「お前もそれ言うん? 俺がいつないこのこと好きやって言うた?」
「水色にもそう言ってたな。お前こそ、いつまでそれでごまかせると思ってんの?」
互いに小馬鹿にするような口調を改める気はないらしい。
嘲るような響きを含んだ声は耳に届きはしたが、脳に到達する前に何の意味も持たずに消えた。
「それはそうと、約束は守ったやろ。うちの誰か一人に埋め込んだっていうチップ型の爆弾、解除しろよ」
話をすり替えた俺に、黒マスクは一瞬思案するように黙りこむ。
目線を泳がせるようにぐるりと天井を見回して、そしてもう一度俺の前で止めた。
「いいよ」と思いがけないほどあっさりとした返事を寄越すものだから、少しだけ面食らってしまう。
そんなこちらの様子に、もう一度目を細めてあいつは嬉しそうに笑った。
「お前が死んだら解除してやるよ」
はは、と先刻よりも高めの声を弾ませる。
ハスキーボイスと評せるだろうその声に、意図せずとも苛立ちが募っていくのが自分で分かった。
目を見開き、今度こそ本当に大きな舌打ちを響かせる。
「…ないこが絶対にお前を好きにならんかった理由が分かるわ」
思わずぼそりと呟いた。
その瞬間、ピリッと空気が凍ったのを感じる。
俺が目線を上げるのと同時に、その顔面を思い切り鷲掴みされた。
ガンっと、そのまま後ろの壁に叩きつけられる。
「…っ…ぅ」
ドロっとした「何か」が、後頭部の辺りを伝っていくのを感じた。
生暖かいその感覚に、どうやら自分がこいつの1番の地雷を踏み抜いたらしいことを実感する。
「…今すぐ死にたくなったんなら望み通りにしてやろうか」
「そんなんでムキになんなよ、だる」
こめかみの辺りからも、血が一筋滴りおちていく。
それに構うことなく、今度は黒マスクの拳が俺の頬で鈍い音を立てた。
「…っ」
「バカなの? お前。どうしたって反撃できるわけもないのにイキがって」
どうせもう殺されるのに、そう付け加えられた言葉が、だんだん聞き取りにくくなっていく。
耳の中で雑音がする。
周りの音は段々と拾えなくなっているのが分かった。
閉じかける視界。
細く…段々と暗くなっていく。
それでもそんな片隅に、黒マスクがもう一度腕を振り上げたのが見えた。
避けることも防ぐこともできない。
後数回本気で殴られたらさすがに死ぬかな…と、呑気なことを考えている自分もいた。
だけどまさにその刹那、バチンと何かが弾けるような音と共に世界が真っ暗になる。
気を失いかけていた俺の意識が飛んだわけではなかった。
本当に、視界が闇に堕とされていた。
「停電…っ?」
思わず黒マスクが、後ろに控えていた仲間の男たちを振り返る。
それと同時に誰かが部屋に駆け込んできた。
「システムダウンしてる! PCもセキュリティ関係も何もかも使えない!」
「予備電源があるだろ!」
「それがつかないから困ってるんだよ!」
別の電力の供給を受けているのか、けたたましいエラー音だけは無慈悲に鳴り始める。
乱暴に言葉を叩きつけ合う連中の話を聞いていた俺を、黒マスクは一度だけ振り返った。
それでも満身創痍の俺が何をできるわけでもない…ましてやここから逃げ出すこともできるわけがないと思い直したらしく、踵を返して仲間たちと部屋を出ていく。
…恐らく、電源とシステムの中枢がある部屋に確認に行くんだろう。
「…は、ざまぁ…」
嘲笑を浮かべて呟くけれど、段々と頭がボーッとしてきた。
今度こそ揺らぐ視界。
重い瞼がゆっくりと下りてくる。
システムダウン…一体何が起きたかなんて、俺は知らない。
でも、何が起きたか『想像する』ことはできる。
「遅いねん、あほと…け……」
誰の耳にも届くことない呟きを漏らした後、俺はとうとう本格的にその意識を手放す。
薄れゆく意識の中、遥か遠くで轟くような爆発音を聞いた気がした。
コメント
6件
元恋人さんの性癖といいますか、歪んでますね🙀🙀 一番の地雷は桃さんに好かれてないってことですか...そういった細かいとこもふまえて書いてるの尊敬なんです、!!✨✨ エラー音と爆発音という言葉で水さんと桃さんを想像してしまうのは私だけじゃないみたいですね😸💓 あおば様の作品って魅力的すぎるんですよね...毎度のことながら夢中になって見てしまいます😣💗 忙しい中投稿ありがとうございます!!
わぁあ"あぁ"あ"" 水さんぅぅぅッッ!!! もう、元恋人さん○したいですね(( 本当に青さん生きてて欲しいです… 爆発音の原因は桃さんであって欲しいですね… 次回が楽しみです!!!
おぉぉっ✨水くんきちゃぁぁッ ついに反撃開始かぁ... 楽しみにしてます!