テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
百夜陸王side
怜さんはいつも僕の憧れだった
どんな時でも怜さんについて行きたい
そう思っていた
でも…怜さんは変わってしまった
僕の、せいで……
怜さんは変わってしまったけれど、変わってしまった怜さんも憧れだった
……怜さんは変わってしまったことが嫌らしい
そのことを使って僕を脅してきた
そうだよね、怜さん
僕はアイドルになんて…
「…陸王」
「ど、どうしたの?怜さん」
「陸王はずっと俺のアイドルでいてくれよ」
怜さんは俺の顔を触りながら言う
怜さんのアイドルか…
「……わかってます」
僕は何時でも怜さんのアイドルに…!
※※※
数日後、僕は怜さんに会った
会ってしまった
……仲間の目の前で
「陸王」
「…!」
僕が振り返ると、やはり怜さんが居た
「…灰色の目の男……!」
角乃ちゃん…ごめんね
今まで言わなきゃいけない隠し事をしてきて
「コイツ…誰だ?」
「百夜を知っているようだな」
「ちゃん陸をか…」
仲間が怜さんが何者なのか話している
僕はそれについていかなかった
きっと怜さんについて喋ってしまうから
「りーくーお」
「ッッ」
怜さんはいつの間にか僕の背後にいて、僕の肩を両手で掴んでいた
「お前なら俺を助けてくれるよな?」
「見捨てたりしないよな?」
「俺についてきてくれるよな?」
僕は顔を顰める
出来れば、仲間の前では会いたくなかった
怜さんは…僕のせいで……
消えない傷を負ったけど、僕にとって吠君達は僕の居場所だから
仲間を置いて怜さんに着いていく訳にもいかない
「陸王!そんなヤツに耳貸すな!」
「そうだぞ、百夜」
「皆のアイドルになりたいんじゃなかったのか」
「まだちゃん陸とパーリーピーポーしたい!」
「そんな奴に唆されてるんじゃないわよ!しっかりして!陸王!」
みんな……
……そうだ、僕は皆のアイドル
1人に縛られずに生きていかないと
でも……だからといって怜さんの気持ちを無下にはできない
どうすれば……
「怜さ((((」
「陸王は俺とアイツら、どっちが大事なんだ?」
「………え?」
怜さんと吠君達?どっちが大切?
「優劣なんてないです、怜さん」
「……そうか」
「お前は俺を助けてはくれないんだな」
え?なんでそうなるの?
僕は皆を助けたい
「た、助けます、でも…!」
怜さんだけを助ける訳にはいかない…そう言おうとした時
“僕は何故か暗い所にいた”
ここは…?
「…!」
そうだ、ここは……あの時
「…陸王なら覚えているよな?」
「あの日のこと」
「ッ」
あの日、あの時、怜さんは死んだ
僕のせいで
「はぁッはぁッ」
呼吸が上手くできない
僕のせいで、僕のせいで……
怜さんは……き、傷を……
「ぅ……ぁ」
「…可哀想に、陸王」
「もう一度聞く、お前なら俺を助けてくれるよな?」
怜さんがそう言うと元の場所に戻ってきた
「ぁ……」
僕は崩れ落ちた
そして、呼吸のせいか意識が飛びそうになってきた
ごめんね、皆
そして僕は意識を手放した
「……」
「さぁ、陸王行こうか」
そう言って怜は陸王をお姫様抱っこをして連れていこうとしたら、吠達はそれを止めた
「まちやがれ」
「……」
「貴様、良くも我々の仲間をそう易易と連れ去ろうとしてくれたな」
「早くちゃん陸を返してくれ」
「そーだそーだ!」
皆そう言ったが、怜は気にせず進んでいき、吠がそれを攻撃しようとしたら、消えていた
「くそっ…」
キランッ
地面に輝くものを見つけた
それは、ありがとうと書かれた陸王のサイン付きメッセージと、陸王のイヤリングだった
「……陸王」
「ぜってぇ、連れ戻すからな」
※※※
「陸王」
僕を呼ぶ声は静かに消えていく
ここは何処だろう
“僕って誰だっけ?”
「あ、あの……僕って……」
「…お前は百夜陸王」
「おかえり、陸王」
「ここはお前の居場所だ」
「ここが…僕の……」
居場所…
「…貴方は?」
「……俺は怜」
「怜……」
なんか聞いたことがあるような……?
思い出そうとすると頭がズキズキと傷んで思い出せない
「ありがとうございます、怜さん」
「僕に居場所を与えてくれて」
怜さんはいい人だな
何も思い出せない僕に居場所をくれた人
「どういたしまして、陸王」
怜さんが微笑んだ
すると、外から音楽が聞こえてきた
『まるで稲妻が〜、胸の奥深く〜、駆け抜けるような衝撃さ〜♪』
「…!」
どこかで聞いたことがあるような?
思い出せない
けど、皆を笑顔にしたくなってきた
……皆って誰?
「…陸王、聞くな」
「え、はい」
「陸王」
「なんですか?怜さん」
怜さんは真剣な表情をしている
「遠野吠って知ってるか?」
遠野吠…?
『お前は俺の…獲物だ!』
…!吠君?
「吠君ですか?」
他にもいたような?
〈思い出せ、百夜陸王〉
「…この声は……?」
手が剣になってそうな人の声だ
「声…?」
どうやら怜さんには聞こえないようだ
〈お前の願いはなんだ〉
僕の…願い……?
僕の願いは…『アイドルNo.1になること』
……思い出した、僕は怜さんに会って、気絶してしまったんだ
その後…ここに連れてこられたのか……
気づいたら、テがソードの声は消えていて
怜さんは…
「またか…」
「陸王、堕ちようか」
「え?」
ガンッ
頭に衝撃が走る
僕、怜さんに殴られた?
「そんな…怜、さん…」
「また会おう、陸王」
「こんなこと…やめ、ましょう…」
「貴方は、間違って、ます…」
僕は気絶した
「間違ってる…ねぇ?」
「お前は俺を救ってくれる」
「お前は真面目だからな」
怜の笑い声は静かな部屋に溶け込んで消えていった
END