テラーノベル
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とりあえず主は屋敷で自分にできることを見つけ、毎日のように執事達のブラッシングに勤しんでいた。
そんな平和な日々は長くは続かず、フィンレイから主に手紙が届いた。
『・・・なんて書いてあるの?』
「主様、申し訳ございません・・・ペットを連れた親睦会があるそうで、それに出席して欲しいとのことです」
『つまり、人間に会えるってこと!?』
「そういうことでございます。
しかし、我々悪魔執事が面倒を見ているペットとなると人が寄り付かない可能性のほうが高いのです。
どうか、気を落とさないでくださいね」
『?うん、わかった』
申し訳なさそうなベリアンを不思議に思いながら、新しいドレスを用意すると意気込むフルーレとともに地下に向かった。
「主様のお披露目ですから、うんと可愛いドレスにしましょうね!」
『うん、フルーレありがとう!』
フルーレは採寸した結果をもとに生地を選び始める。
「これと・・・これと・・・あと、これもいいな」
『そんなに・・・?』
「色々試さなくては、最高のものは作れませんから!」
フルーレに押し切られて何枚もの生地を体に当てて、色味を見ていく。
最終的に決まったのはフルーレの髪色とよく似た淡いブルーの生地だった。
『どんな風になるか楽しみ!』
「ふふっ、楽しみにしててくださいね、主様!」
フルーレはいつも以上に張り切ってデザインを考え、ドレスを作っていた。
そして当日。
フルーレの作ってくれた淡い色のドレスとグロバナー家の紋章をもとにしたペンダントを身に着けて、主は緊張した面持ちで馬車に揺られていた。
「主様、本日は・・・何と言いますか、主様という珍しいペットを見せびらかすためのパーティーですから、どうぞお気を楽にして過ごしてくださいね」
ナックがそっと緊張気味の主に囁いた。
『そ、そうなんだ、分かった・・・』
主は少しばかり安心した様子でクッションに埋もれたのだった。
ざわざわ・・・
「グロバナー家当主様が人間のペットを手に入れたらしい」
「人間なんて滅多に見られないのに」
「流石は4大貴族・・・」
フィンレイが連れて来る人間の話題で持ち切りの会場に、フィンレイに手を引かれて入った。
主は完全に年齢を間違えられている気がして若干恥ずかしかったが、会場中の視線が自分に向けられる緊張をほんの少しだけ緩和できた気がした。
フィンレイの手を離して、ベリアンから教わった通りに美しくカーテシーをした。
その後はフィンレイに付いて行けば良いだけだと言われているので、気楽にしようと深呼吸をした。
フィンレイは押し寄せる貴族たちから主を守りながらにこやかに巧みな話術で捌いていく。
そんな中、上半身は人間で下半身はふわふわの獣人(?)を連れた貴族(でっぷり太って気持ち悪い装飾品に塗れているおっさん)が近づいてきた。
獣人は人間の手があるのに4本の足を持っている不思議な姿だった。
主が物珍しそうに彼を見つめていると、彼もまた物珍しそうに主を見ていた。
お互い会話もないが、奇妙な見た目の者同士通じるところがあったのだろう。
それぞれの主に興味があることを知らせて触れ合わせてくれた。
【君はなんていう動物なの?】
『私は人間だよ』
【え!?人間!?初めて見たよ!】
『私も4本足の獣人って初めて』
【・・・四つ足っていうんですよ。こういう奇形で産まれた獣人のこと。
四つ足は運動には向いてるけど、自分で自分の世話をきっちり出来ないことが多いから奴隷がペットとしてしか生きられないのです。
僕は運が良くて御主人様に拾っていただいたんだけど・・・】
『そう、なんだ・・・』
四つ足の少年と話していると、いつの間にか後ろに立っていたナックに肩を引き寄せられてよろけた。
『わ!?』
「そんな下等生物と触れ合ってはいけません。
まして話すだなんて・・・」
『え!?そんな、なんで!?』
「大人しくしていてください。貴女はフィンレイ様のペット・・・つまりはここに居るペットのどれよりも高貴な方に飼われている存在です。
そんなペットがこんな下等生物と触れ合うだなんて、フィンレイ様の顔に泥を塗るようなことをしてはなりません」
『ご、ごめんなさい・・・』
主は自分を「フィンレイ様のペット」として扱うナックに違和感を抱きながらも一応謝り、少年には目配せして別れた。
折角ペット仲間が出来そうだったのに、と不満を隠さずにフィンレイを見上げると頭を撫でられた。
「済まないね、あの家はペットを譲ってほしいとよく言われるって評判でね。
あの子も他の家から買ってきたんだよ」
『そ、そうなんですね・・・』
「ペットの珍しさと数はステータスとなるからね、仕方がないんだが・・・」
異世界もなかなか大変そうだ、と考えているとルカスが食べ物を持ってきてくれた。
フィンレイに促されて壁際のテーブルセットでしばし休憩することとなった。
コメント
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うわあ…第11話、すごく切なくてドキドキしたよ💧 主様がパーティーで初めて外の世界に出て、四つ足の少年とちょっと通じ合えた場面、すごく微笑ましかったのに…ナックに引き離されて「下等生物」って言われたときの主様の戸惑いが痛いほど伝わってきた。 フィンレイ様の腕の中は安全だけど、「飼われてる」って意識を突きつけられる瞬間が切ないね。この世界のルールってやっぱり歪んでる…。主様が自分の居場所に違和感を持ち始めてるのが、じわじわ来るよ。 次、どうなるんだろう…読ませてくれてありがとう、MAKOさん🥀
MAKO
MAKO
MAKO