?「………い、」
?「…………おーい、」
叶「おーい、葛葉ぁ?」
葛葉「…あ、何?」
ハッと意識が連れ戻された。決して寝てた訳ではないが、ぼーっとしていて気付かなかった。
気にしていないと思っていても、行動を起こしていても、きっとちーさんが死んだ事に対する感情が拭いきれていなかったんだと思う。遅れてまた理解した。もう一度確認するように。
過去に戻る事など出来ない、そう分かっているのに切り替えが付かない。だから、しっかりそれを背負っていかないと。
叶「武器庫、着いたよ。だいじょぶ?」
自然と俯いていたらしい、叶が顔を覗き込んできてて、彼の瞳と目が合った。
うん、と頷いて答えて顔を上げると、武器庫の扉とVΔLZの3人も心配するような目がある。
先輩として、仲間として、しっかりしないとな。
葛葉「まぁ此処に凶器があるかわかんねぇけどな。」
叶「そうねぇ、まぁ見といて損は無いでしょ。」
ギィ、と扉を開けて部屋全体を眺めた。特に変わった点はない…か? なさそうだ。
弦月「景くん、変わった部分ある?」
長尾「んー…、」
全員が部屋に入って、各々が武器を見る中で長尾は一段と目を凝らして辺りを見回していた。何かあったのだろうか。そう首を傾げていると、甲斐田がその事について声を掛けてきた。
甲斐田「長尾は記憶力がめっちゃ良いんですよ。
昨日1人で武器庫に行ってたらしくて、多分今思い出してるとこです。」
葛葉「へー…」
成程、だからあんな目を凝らして…って、彼奴武器庫来てたん?へぇそうなんだ。どのタイミングで見たんだろう、マッサージ大会がーとか言ってた後かな。それなら俺も知らんかったわーって言える。
長尾「…ん、この武器なんか増えてね?ついでにこの瓶向き違う。」
弦月「お、さっすが景くん!ありがとね!」
長尾「だろ?」
彼が指摘した先の物。それは、毒の瓶と25cm程度のナイフだった。
ナイフが増えたならまだしも…瓶の向き覚えてるとかちょっとキm…いやまぁ、重大な証拠だし、うん。
にしてもほんと凄いな長尾。この殺し合いの中で1位を争う程頼もしくて、でも敵に回したくない相手。
葛葉「うわ、細か…」
叶「…え、武器が増えてる?そのナイフみたいなの僕らが来た時はあったけど。」
叶が言葉を発して、その時に気付いた。確かに俺らが来た時はその武器普通にあった筈。その後に長尾は来たのか。え、誰かが手に取ったという事か? もしそうなら、そうだったのなら。
葛葉「え、長尾? 御前何時くらいに此処来たん。」
長尾「んぇ?えー…22時10分くらい…?」
22時10分、俺らが探索時部屋を去ったのは18時40分程だった。
じゃあ、もしもその毒瓶とナイフが使われていたとしたら、犯行の計画は22時の時点で確実に決まっていたって事だ。
でも、皆でバラけたのは21時半、俺が最初に皆から離れた。だから、犯人は30分内、もしくはそれより短い時間でそれを手に入れた?もしくは探索時間に…。
…って待てよ、俺と叶がまず怪しくないか…? 俺らは最初に武器庫に行った。しかも探索時間は1時間近くあった。武器を手に入れるには充分な時間。でも、2人だから物音とかがすれば気付く筈だ。勿論俺は持って行ってないし、叶も持っていってない…よな、だって、物音1つしなかったし。うん、そんな訳ない。
長尾「ずはさん?」
彼の声で自分の思考が絶たれる。あんま考え込む素振りを見せちゃ逆に怪しまれる。取り敢えず冷静にした方が良い、後でまた考えよう。
葛葉「ん?どしたぁ、」
長尾「…いや、なんかぼーっとしてて顔色悪く見えたんで。」
葛葉「あー、俺の肌元々マジ白いからそう見えても可笑しくないわな、大丈夫だよ。」
長尾「そうっすか、なら良かった!」
そんな会話を笑いながら済ませては、毒の成分を確認しようという話になってラベルを皆で見た。
弦月「…”有毒ガスを生み出す液体”…?」
長尾「ひぇーおっそろしー、w」
甲斐田「いや笑い事じゃないから長尾!」
叶「んまぁ…使われたんだよね…?」
葛葉「並べ替えたとかじゃなきゃあな…、」
弦月「んー…、もう1回死体を見た方が良さそう。晴くん、本業だよ!ほら!」
甲斐田「医者じゃないから一応違う!まぁ良いけど…。」
どうやら、またあのおっもい部屋に行かないといけないらしい。まぁ…そういうの甲斐田詳しいらしいし、また見直すには良いか。もしかしたら見逃した証拠が有るかもしれない。
…時間が来る前に、急ごう。
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今日の証拠、アリバイ
10時 武器庫到着
武器庫にて 長尾が発見
毒薬が使われ形跡。 → 毒薬は有害ガスを発生させる液体。
ナイフが増えた。 → 葛葉と叶が来ていた頃にはまだあった。
昨日の22時10分程に長尾が武器庫に訪れていた。
10時20分 武器庫を出た
コメント
1件
やばい、みんな怪しく見えてきた…笑 どうなるのか楽しみです!