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あれから朝起きると横にいたはずのカラスバさんは居なくなっていた
ふと近くのテーブルを見ると1枚の手紙が置かれているのに気づく
丁寧な字で「シャワーは×階」とだけ書かれていた
「(シャワー入ってもいいってことなのかな)」
そう思いながら、手紙の案内通りにシャワーがある階層へと向かった
「ジプソ」
「どうされましたか」
「……アイツ、殺し屋やったわ」
「ん?えっ?え!?えっ!?」
その言葉にジプソが驚き、カラスバの方を見る
「えっ、でも昨晩は…お二人で………」
「まぁ、色々あったんや」
「えっ、そういう───」
「別に変なことはしとらん!ただ少し話したんや、そしたら案の定って感じや
やけどアイツには殺す気はないみたいや」
ジプソからすればそれを信用する事は正直難しい、しかし主人であるカラスバが言うのだからカラスバの言う事を信じるしかない
「…はぁ……くそ…」
しかしこうも悩んでいるカラスバは中々見ない
まぁ、好きだった女性が自分の命を狙っていたなんて流石のカラスバ様でも相当のダメージなのだろう。と一人納得する
するとポーンというエレベーターの弟と共にシオンが現れる
「カラスバさん〜、おはようございます〜」
昨日あんなことがあったと言うのに、脳天気に笑うシオン
「…お前、相変わらずやな」
「何がですか〜?」
そう笑いながら、事務所の横のソファーに座るとリザードンが出てきてシオンに顔を擦り付ける
「そういえば昨日のやつら、全員致命傷にならん程度に刺しとった聞いたで
上手やるなぁ、さすがや」
「そりゃ、誰だって人は殺したくないですよ〜」
「てことは、お前は元々乗り気やないんやな
逆らえん理由でもあるんか?」
「うーん、色々かかってるからですかね…ってエイセツシティ行った時に話すって言いましたよね!?」
そういって立ち上がりカラスバの前に立つ
「あとそろそろ私はおいたましますね〜!」
「誰が帰っていい言うたんや」
「えっ、いやだって別に居ても何も…」
「足が治るまではここおり」
「「えっ!?」」
カラスバの言葉にシオンとジプソの声が重なる
「えっ、か、監禁!?やっぱ殺される!?」
「殺さんわ阿呆」
「えっ!?怖い怖い怖い怖い!!」
「……前、言ったことあるやろ」
「前?え?な、なんですか…」
首を傾げ、記憶を探り返すが思い出せない
「ま、覚えとらんのやったらええわ。」
「え”ー…モヤモヤする〜!!
でも、まいっか!それならポケモンバトルの練習でもしてよっかな〜」
「安静にしとけ言うたやろ阿呆!」
「え〜…別にもう歩けますし…カラスバさんよりは重症じゃないですよ?」
「なんかいちいち癪に障るなお前」
「ひっ!?あ、あ〜!怒った顔も可愛い〜!」
「カラスバ様!そのお身体ではまだ安静にしてないと…!!」
慌てて笑顔を取り繕い、いつものようにカラスバに好意を伝えるシオンに青筋を立て笑顔で立ち上がろうとするが、ジプソに慌てて止められるカラスバ
きっとシオンは自分が問うた事すら忘れているのだろうか
目の前でペンドラーのお腹に抱きつき、幸せそうにしているシオンを見ながら思う
あの日、言った言葉
『カラスバさんって、大切な人が自分の事殺そうとしてきたとしたらどうします?大人しく殺されますか?それとも相手を殺すんですか?』
『…まぁ、オレやったらそのまんまとっ捕まえて閉じ込めとくかもしれんな』
好きなモン程、大事に閉じ込めておきたいと思うのは男の性だろうか
しかし、シオンが自分の命を狙っていたからと分かってもなお彼奴に指示している人物を問いただしたいがそんな事しても今までのシオンを見ればきっと言わないのは目に見える
それに1番は彼奴にそんな事が出来ない程アイツに惚れ込んでいるという事だ
「(オレも好きな女には弱いタイプやったか)」
「?カラスバさんどうしました?」
「なんでもあらへん。それよりお前、髪跳ねとるで」
「えっ、うそ!やだ!!恥ずかし!!」