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「ほんならジプソ3日だけ頼むわ」
「はい、お気をつけて」
そう言ってカラスバはコートに身を包み、サビ組事務所の外へ出る
その後ろ姿はとても楽しそうだった
「(あの日からこんな仲になるとは誰も思わなかったでしょうね)」
最初は怪しさ満点だったシオンがカラスバの毒に浸されることも無くただ眩しい太陽のように煌めいていたからか、カラスバも次第にシオンに惹かれて今のような仲になったのだと感じる
「(カラスバ様、頑張ってください!)」
主君の願いが叶うようにとジプソはカラスバが居なくなった事務所で願っていた
「あ!カラスバさ〜ん!!」
「なんや早いやん」
「楽しみでもう眠れなくてっ!!」
そう笑いながら、先日に買った薄紫色のコートにカラスバと同じ白色のマフラーをつけたシオンが嬉しそうにカラスバへ近寄る
「コートとマフラー似合っとるやん」
「カラスバさんもいつもよりぐーっとかっこいいですね!」
「お前はほんと褒め上手やな」
そう言って笑い合うカラスバとシオン
そしてシオンは早くエイセツシティに行きたいのかカラスバの手を引き、駅へ向かう
「んな引っ張ったらコケるやろ!」
「早く行きたいんですもん!!」
2人エイセツシティ行きの電車に乗り、それぞれ向かいあわせの座席に座る
しばらくして、シオンが何か思い出したように顔を動かす
「そうだカラスバさんみてくださいよ」
そう言ってカバンを開けると中からとあるポケモンが元気よく出てくる
〖アチャ!〗
「……は?な、なんやこいつ」
出てくるなりカラスバの膝に乗り「よォ!」というように片手を上げる見たことの無い赤色のひこう?ポケモン
「あれ?カラスバさんも知らない感じですか?」
「見たことないな…」
「なんか最近になってうちの洞窟に迷い込んできたんですよ〜」
そう言いながら「おいで」とそのポケモンに対して声をかけるとカラスバから離れてシオンの膝の上に乗りぴょんぴょん飛び跳ねる
──コトンッ
するとそのポケモンのモフモフの身体から何かが落ちる
「ん?なにこれ…え!?メガストーン!?」
「メガストーン?見してみ」
「こんなメガストーン、ありましたっけ…!?」
見たことの無い色のメガストーンに驚きつつ、カラスバにそれを渡す
メガストーンをじっと見たあと目を見開き何か思い出したように「あ!!」と声を上げるカラスバ
「バシャーモナイトやないか!!」
「ば、ばしゃあも?」
〖アチャ?〗
ポケモンと一緒に首をかしげるシオン
そんなシオンに対し、口角を上げ面白いものを見つけたというような笑みを浮かべるカラスバ
「お前ツイとるな。コイツはバシャーモの進化前のアチャモや」
「アチャモ?」
「カロスよりうんと遠い地方で最近発見されたメガシンカするポケモンさかい
カロス地方に野良でおることはほぼないはずなんやけど…」
そう呟くカラスバに対し首をかしげつつもアチャモを抱き上げ「君どこから来たの?」と声をかけるがアチャモも分からないのか首をかしげる
「ま、これも何かの縁や。大事にし」
「………そう、ですね。」
「ん?どしたんや?」
「いや、なんでもないです!じゃあ、よろしくねアチャモ!!」
〖ンチャ!〗
どこか一瞬何かを考えたような顔をしつつもすぐに笑顔に戻りアチャモの頭を撫でる
そんなシオンに対しどこか心がザワつくのを感じるが原因が分からずそのまま何も言わずにアチャモと戯れるシオンを眺めた
「ん、おいし〜!!」
〖ンチャ!ンチャ!!〗
「ん?アチャモも欲しいの?少しだけだよー」
そう言ってアチャモにサンドイッチのパンの部分を小さくちぎり渡すと嬉しそうに食べるアチャモ
「えらい食いしん坊やな」
「洞窟で過ごしてた時もよく食べてたんですよ〜!リザードン達も驚いてましたよ」
そう言って笑うシオンに釣られるように笑みを浮かべるカラスバ
「あ!!見て見て!カラスバさん!これ雪!?」
「ん?あー、そうや。雪や」
「これが雪…!!お母さんが…見たかった…」
「なんや、雪見たかったんはお前のおかんの頼みなんか?」
そう聞くとシオンは笑みを浮かべながら頷く
「お前、どういう家族なんや。お母さん共々雪も見れんような環境におるなんて」
「それもまた話しますよ」
そう言ってどこか切なそうな笑みを浮かべる
「でもまぁ、あんまいい環境ではないってのは分かりますよね。」
「そら、な」
「ふふっ、でも実は私妹がいるんですよ」
そう言いながら、スマホロトムを出して妹の写真をカラスバに見せる
そこには薄水色のショートヘアにシオンと同じ瞳孔だが目立つ青色の瞳をした美人な顔立ちの女と同じ髪色にピンクの瞳のシオンと思われる2人の女の写真が映っていた
「なんやお前、その髪染めとったんか」
「ん?あ、言ってなかったですっけ?」
「聞いたことないな。」
「へへ、ごめんなさいそんな拗ねないで下さいよ〜!!」
「別に拗ねとらん。」
そう言って顔をプイッと背けるカラスバを「可愛い〜!!」とからかい笑うシオン
「──この髪にしたのも、紫基調のメイクをしてるのも……全部カラスバさんに気に入られたいから、って言ったらどう思います?」
「は……」
目を細め笑うシオンに対し、口をポカンと開けた後言葉の意味を理解したのか口を抑え顔を赤くするカラスバ
そんなカラスバに対し「あれ…思ってた反応と違うな……」と呟き何故かシオンまでも少し顔を赤らめてしまう
「そ、そうだ!妹の写真でも送っちゃお!!」
気まずい雰囲気に耐えれなくなったのか、少し声を高くしてカラスバに妹の写真を送り付ける
「妹の名前、アザミって言って少しツンツンしてるけど根は優しい子なんですよ
今は仕事でコウジンタウンにいるんです」
そう言って笑うシオンその後すぐに「私に何かあった時はこの子に頼って下さいね〜」付け足し膝の上に乗っていたアチャモを抱き上げアチャモに窓から雪を見せた