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#すのあべ
その後、昼食は涼しげな木陰で取ることにした。真夏の日差しは強烈だったが、大きな樹木が作る影の中は、時折吹き抜ける風が案外心地よく、火照った肌に優しかった。 広げたレジャーシートの真ん中には、照り焼きチキンや卵焼き、ハンバーグといった定番のメニューが彩りよく並ぶ。
「すげぇ……これ、全部お前が作ったのか?」
「……口に合うかな?」
「あぁ、もちろん。いただきます」
理人は真っ先に箸を伸ばし、照り焼きを口に運んだ。
「……美味い」
お世辞ではなく、素直な感想だった。店で買ったと言われても信じてしまうレベルの味に、理人は驚きを隠せない。
「良かったぁ」
ホッとした様子で、ケンジがふにゃりと笑う。その屈託のない笑顔を見ていると、今日こうして一緒に来て良かったと心から思えた。
「うん、確かに美味いな。料理上手いんだな、店出せるんじゃないか?」
蓮も意外そうに、だが素直に感心している。
「あはは、蓮くん、ありがとう」
「これで裸エプロンでもしてくれりゃ、最高なんだけどな」
突拍子もない馬鹿げたセリフに、理人は口に含んでいたお茶を思わず噴き出した。
「ぶはっ! ちょ、おまっ……!」
「……理人くん、大丈夫?」
「こいつがいきなり変なこと言うからだっ!」
理人が顔を真っ赤にして怒鳴ると、蓮は面白そうにニヤリと笑ってみせた。
「お、良い反応。やっぱりお前も、そうして欲しいって思うよな?」
「思うか!! テメェみたいな変態と一緒にすんなっ!」
全く、何を言い出すのか。この男の頭の中は二十四時間そればかりなのか。 チラリとケンジを窺えば、蓮の発言には慣れっこなのか、動じることなく黙々と弁当を口に運んでいる。
「理人くん、食べないとなくなっちゃうよ?」
「チッ。あぁ……わかってる」
理人は促されるまま、再び箸を動かした。
その後、三人でああだこうだと言い合いながら動物たちを見て回り、気がつけば空は夕景に染まり始めていた。 帰りの電車は比較的空いており、理人を真ん中にして三人は並んで腰を下ろした。
「今日はありがとう。すっごく楽しかったよ」
「……そうか」
そんなに嬉しそうな顔をされたら、悪い気はしない。今度は蓮がいないときに、秀一も一緒に連れてきてやろう。
そんなことを考えながら電車に揺られていると、不意にケンジの頭が理人の肩に乗った。ウトウトと微睡んでいるようで、規則正しい寝息が聞こえてくる。
よほど疲れたのだろう。朝も早かったし、無理もない。 理人は、ずり落ちそうになっていたケンジの鞄をそっと自分の膝の上に乗せ、肩の力を抜いた。
すると、反対側に座っていた蓮の手がするりと伸びてきて、理人の太腿に触れた。
「っ、お、おい……!」
慌てて小声で抗議するが、蓮は何食わぬ顔で際どい部分を撫で上げながら、視線は手元の携帯に落としたままだ。
(本当に、何を考えてやがるんだ、この変態は……!)
いくら空いているとはいえ、同じ車両には他の乗客の姿もある。理人は身を捩って蓮の手から逃れようとしたが、左肩には熟睡中のケンジが預けられており、下手に動くことができない。
蓮は片手で平然と携帯の画面を眺め、空いた方の手で理人の股間をじっくりとなぞり上げている。対照的に、ケンジは理人の肩に頭を預けたまま、起きる気配すらない。
どうにか引き剥がそうと焦っている間に、蓮の手はハーフパンツの上から、一番触れられたくない核心を直接愛撫し始めた。
(この、痴漢野郎……!)
理人はキッと蓮を睨みつけると、思い切り踵を上げてその足を踏みつけようとした。だが、既にそこには足はなく、虚しく空を切る音が響くだけだった。
「全く、しつけがなってない足だな。二度も俺を踏もうとするなんて」 「てめぇが――っ!」 「シッ、大きな声を出すと周りに気づかれるだろ?」
シレッとした表情で耳元に唇を寄せ、低く、甘く囁かれる。
「それに、ケンジが起きたらまずいんじゃないのか? 俺たちの関係はバレたくないって、あんなに必死だったくせに」
そう言われると言い返せず、理人は苦虫を噛み潰したような顔で唇を強く噛んだ。 その様子を見て、蓮は愉しげに喉を鳴らして笑うと、形を確かめるように布越しに性器を包み込んだ。
こんな場所で、こんなことをされて感じるわけがない――そう思いたいのに、触れられた場所からじわりと熱が広がり、自身の内側が脈打ち始めることに戸惑う。 電車の小刻みな揺れに合わせてゆるく揉み込まれ、理人は必死に平静を取り繕おうとしたが、どうしても吐き出す息が震えてしまう。
「ふっ、ぅ……っ」
「なんだ? もう硬くなってきてるぞ」
「ちがっ……んなわけ、ねぇだろ……」
「嘘をつくな。他人に見られそうになって、興奮してるんだろう?」
「ふざけんな……誰が……っ」
「なら、これはなんだ?」
グリ、と先端に爪を立てられ、理人の身体がビクンと跳ねた。
「っぅ、は……あ……っ」
屈辱に耐えて睨みつけるが、蓮は意地の悪い笑みを深めるばかりで、逃げ場のない密室の片隅、さらに強くそこを握り込んできた。