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「……?」
夜中に目が覚める大森。
いつもより少し寒いベッドの中に手を滑らすが、そこには少し生温かいシーツがあるだけ。
眠い目を擦りながら辺りを見渡すと、寝室のドアが少しだけ空いているのを見つけた。
ギシ…
ペタペタペタ…
小さく欠伸をしながら、まだ起きてない身体を無理矢理起こし、おぼつかない足取りで寝室を出る。
真っ暗な中で耳を澄ますと、キッチンの方からガチャガチャと音が聞こえてきた。
よく見ると、キッチンに続くドアも少し空いている。
ペタペタペタ…
ガチャ
ペタペタペタ…
ぎゅうっ
「わっ!! 」
急に抱きしめられ、驚いたその人は持っていたグラスを落としそうになる。
そう、大森は起きたら隣に居るはずの藤澤を探していたのだ。
「元貴ごめん、起こしちゃった?」
大森は藤澤の背中におでこをつけたまま小さく横に顔を振る。
藤澤がチラッと後ろを振り返ると、開けたままの冷蔵庫から漏れている光に照らされている大森が見えた。
その表情はどこか拗ねている小さい子供のようで、思わず笑顔になる。
「起きたら居なかったから寂しかったの?」
藤澤の問いに、何も答えない大森。
ただ、少しだけ藤澤を抱きしめている手に力が入る。
「ごめんね、喉渇いちゃって。」
藤澤は少し飲み残した水が入ったグラスを後ろに居る大森に見せる。
「元貴も飲む?」
そう言いながら藤澤が新しいグラスを取ろうとすると、大森は藤澤が元々持っていたグラスを取り、残ってた中身に口付けた。
「もういいの?」
大森は空になったグラスを藤澤に渡す。
藤澤は大森が頷くの背中で感じると、水のペットボトルを冷蔵庫にしまい、グラスをシンクに置く。
そして、まだ眠そうな大森の手を引き、キッチンを後にした。
「ちょっとトイレ行ってくるね。」
藤澤は寝室の前で先に寝ているように促すが、大森は藤澤の手を握ったまま動こうとしない。
仕方ないので、そのまま一緒にトイレまで行くことに。
「ねえ〜、恥ずかしいよ〜。」
さすがにトイレまでは入って来ないだろうと思っていたが、大森は一緒にトイレに入り、また後ろから藤澤に抱きついた。
離れそうにない大森の様子に諦めた藤澤は、そのままの状態で用を足し、手を洗うと、また大森の手を引き寝室に向かった。
藤澤が先に仰向けになってベッドに入ると、大森も続けて入り、藤澤の腕に絡みつくようにして横になる。
そして、藤澤のなだらか肩に顔を埋め、静かに呟いた。
「ここにいて。」
藤澤は、空いている方の手で小さい子をあやす様に優しく大森の頭を撫でながら目を閉じた。
「おやすみ、元貴。」
-fin-