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あつい…体の内側からポカポカしてそのまま蒸気でも放ってるような気分だ。実際に俺 自身が熱いんだろう、まろは全く帰ってこない。試しに『まろぉ…』と呼んでもまぁ、当たり前に返事は返って来ない。

分かるんよ、これは熱じゃない。

下手したら熱よりもよっぽど質の悪いものだ。大丈夫、薬は飲んだしじっとしていれば明日にはまだマシになってる…はず。

俺は元々そこまで重たい方ではなくて、むしろ軽いタイプのオメガだった。

だから薬も軽い方…なんだけど、俺は発情期に入ると初日だけきつい。

そこさえ済めばあとはもうゆるーく残りの期間が過ぎていくだけで…でも、まろは『あにき発情期終わるまで絶対家から出ちゃダメだよ!?何かあったら連絡してね!?』って言ってくる。

なんでも、フェロモン?がまだ出てるとか…でもそんなの本人には分からないことだし、言われてもなぁ?

「はふっ、はぁ、はぁ…」

ベッドの上で蹲って耐える。マジで熱い…手探りでリモコンを探しだして、エアコンの温度を3度くらい下げた。風量もあげとこ、あ、いいね…

熱さよりも今度は匂いの方が気になってきた。俺の家なのにここじゃない…

「うっ…ふぇ、」

目頭まで熱くなってきて、布団の中に潜りこんだ。でも俺の匂いしかしなくて頭の中で『違う』とずっと考えてしまう。…もういっそのこと、頼ってしまおうか。俺がスマホを探そうとまた手を出した瞬間、ずっと探していた温もりと匂いがやって来た。

「あにき、動かすよ」

「ん…っ、グスッ」

「ふー…家着くまで我慢、ね?」

ぐったりする俺の体を横抱きにされて運ばれる。ゆっくりと動くところに優しさを感じて、俺は首元に抱き着いた。

あっ…いい匂いする。俺これもっと欲しい。

まろの手が襟足のところをこしょこしょと少しだけくすぐってきた。

「あんま煽らないで」

「あおってない…も、おれこれ欲しい」

「まだ、もうちょい我慢して」

我慢してって俺に言ってるのになんでまろ方が苦しそうなの?しかもめっちゃ早口やん…

んー…眠たい。このまま寝てもいいかな、あ、いいの?熱いけど眠気にそのまま身を委ねて。俺はまろに運ばれていった。

いい匂いする…でも、足りない。

重たい瞼を開くと、もう見慣れてしまったベッドの上にいた。ベッドに鼻を擦りつけると探し求めていた香りがふんわりと香ってくる。それが下にしかないのが辛くてきつくて、俺はベッドから体を起こした。足りないんよ、もっと…どこにあるんだろ。

ベッド自体は見慣れてるけど部屋はまだ見慣れない。

引っ越したせいでまろの服がどこにあるのか分からなくて半泣きになりそう。

ベッドの下にある引き出しを開けて中身を全部取り出して、匂いの濃いものをベッドの上に並べていった 。

…ん、これでいい、けどこれよりもっといいのあるかな?

まだ足りない。ふらつく足で部屋から出て、俺は目についたところを片っ端から開けていった。

がちゃ

「あれ…?」

あ、あった。ここにもお洋服とか隠してるんでしょ。俺知ってるから。

タンスを開けると見覚えのあるものがいっぱいある。これまろがよく穿いてるパンツだ。…まあまあまあ、これもね?だっていっぱい穿いてる分匂い濃いんだもん。なんかwwこういう言い方したらまろがちょっとアレな人みたいwwwまあ持っていくけど…持ってくのはまろのせいだ。

がちゃ

「ん…たおる」

バスタオル発見、ふあふあだ…持ってこ。

ん?ぅあ…これすっごくいい匂いする!なに、なんで?洗濯機に引っかかってるのにこんなっ…そっか、これ脱ぎたて?

…これ、ベッドに置いたら怒られるかな。

頭の中に思い浮かべたまろは優しい顔で微笑んでいて、怒っているところなんて微塵も想像できない。

つまりこれは怒られないってことだ。

両手いっぱいに集めてきたそれらをベッドの上に綺麗に並べた。真ん中の空いたところにすっぽりと納まる。そこでも自分の具合の良いところを探して動かして動いて、漸くいい出来になった。

「ただいま~」

「っ」

帰ってきた!そもそもどっか行ってたん?

俺のこと放って?まあいいや、帰ってきてくれたんならいいよ、俺優しいから。全然許す。

玄関まで行くと意外にもスウェットじゃなくて、なんならスウェットは俺が並べた中に混ざってて…まろはジーパンにラフな格好で帰ってきた。

ド アから顔を覗かせる俺を見てふわりと微笑んでくる。洗面所に消えていった彼を追って軽く小走りになって、台に向かっている背中に引っ付いてみた。いい匂い…なにこれ磁石でも付いてる?

「あにき〜?」

「まろぉ、」

「ん?」

早く来てよ、俺もう戻りたい。

ぐいぐい腕を引っ張っていると慌てて濡れた手をタオルで拭いている。

そのタオルも持って行くか悩んだけどまずはまろが欲しい…俺は寝室までまろを持って行った。

まあ正確には引っ張っていった、なんだけど。もうね、熱いし物足りないんよ。

かちゃ

「お、もうこんなに集めたの?」

「はやく、」

ベッドの中心、少しだけ開いたスペースに倒れ込む。息をいっぱい吸って安心して、まろの方へ手をのばした。

「こっち」

「~っ…おっまえなぁ!」

「わぷ!」

まろ降ってきた~!覆いかぶさるように抱き着いてきて俺の前髪を上げている。

おでこに柔らかい感触と『ちゅ』ってリップ音が聞こえた。

勢いがあったせいでベッドが軋んで鼻いっぱいにまろの香りがする。

くらりときているとすぐ目の前にまろがいて、無言でジッと見つめ合っていた。

「…」

「…」

「ふー…」

耐えるような鋭い目つきのあと、まろが一息吐いて体を起こした。

上げられていた前髪を軽く整えられて、くしゃりと髪全体を撫でられる。

「飯と、あにきの好きなゼリー買ってきた。冷蔵庫入れてくるから待ってて」

「え…?」

「すぐ戻る」

やだ、!

まろの手を掴んで止めようとする。

でもなんだか体がさっきよりだるくて…なによりまろから目が離せなかった。おれ、寂しいのになんか…あれ?

掴み損ねたはずの手がこっちに来て、俺は頬ずりをした。あっち行くんなら俺の匂いもつけてってよ。

「あにき 」

「んぁ…?」

「ちゃんとここ帰ってくるから…な?」

まろの顔はやっぱりどこか苦しそうで、我慢してるみたい。

俺は頬ずりしていた手をそこから離して、キスをしてから手放してあげた。なんでお前がびっくりしてるんよ。

「ほしい、から…はやくして」

「っ」

遠ざかっていく背中が寂しい…

ドアの向こうでバタバタと騒がしいい音を聞きながら、俺は手元にあったタオルに顔を埋もれさせた。早く来てよ、まろが来ないと完成しないんだよ?

がちゃ

「あにき」

「ぇ…?」

マジで早いやん。『冷蔵庫入れるだけだから』ってぇ?ばか、それならもうさっさとしとけよ。無駄に寂しくなっただろ。

「さっきみたいに誘ってくれないの?」

「…ここきて」

「ん、わかった」

空いた隣を2回程叩く。まろはするりとそこに入ってきて、落ち着きなさそうにそわそわと並べられた洋服たちを見ていた。

ああ…安心する。

「これでかんせい、おれたちの巣だよ」

嬉しいな、俺の好きなものに囲まれてる。

緩む口元を抑えずにふにゃふにゃと笑っていると、まろに抱き締められた。

俺よりも身長が高くてかっこいいまろ。

巻き髪のギャルが好きだった俺にはめちゃめちゃなアピールをしてきて、あまつさえ完璧に落としてくれちゃった人だ。俺がオメガだって隠してたのも暴いてきやがったんよね。

「巣作りお疲れ、ありがとうね」

「っ」

「上手に作れたなぁ…いい子いい子」

やろ?俺熱くてむずむずするのに頑張ったの。

抱きしめてきていたまろが体を起こして俺の上に乗り上げる。見上げた先はもう薄暗くて、部屋の照明を落としてくれたことが分かった。まろ目がいいから見えてるんでしょ。俺もうちょっと時間かかるんだけど…まあいいや。

「もっとまろ、ちょーだい?」

「ふー…好きだよ、あにき」

「だいすき」

まろの手が首に着けているプロテクターに来て、外れた瞬間にまろの箍まで外れた。

次の日にはもうマシだって言ってるのに甲斐甲斐しくお世話されて。これ以上俺ばっかり彼に惚れたくないから、俺も目一杯大好きを贈りつけた。




「待ってあにき、これ洗濯出したやつやん」

「それ匂い濃くて…だめ?」

「だめじゃないあにき可愛い好き」

「…」

「いーよ、こんなに綺麗な巣作ってくれたんやし」

「…」

「はー、可愛い。ちょ、もっかいしよ?」

「んふ、ええよ」

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コメント

2

ユーザー

巣作り系のお話大好きなんですよね✨️黄さんの舌ったらずによわよわになってるところがあまりにもぐさぐさきました..甘えん坊になってるのが本当にやばいです..かわいい..😭

ユーザー

ひぎゃっ 神作すぎる。

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