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コメント
2件
ひやぁぁぁ😭 感動したぁぁ🥹🥹 失恋した💎ちゃんに優しく語りかける🤪くんイケメンすぎる...好きだ🫶 最高の🤪💎をありがとう😇 にしてもしづちゃんノベル書くの上手すぎない? 表現一つ一つがセンスありすぎて詩でも読んでんのかと思った((( うちには出来ない芸道すぎて尊敬✨
お久しぶりです!しづです!!
数ヶ月前に書いた話のいふくん視点です。
長期間創作活動から離れていたので下手っぴでもご了承下さい。
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廊下の窓から茜色の光が差す。
放課後の校舎は恐ろしいほど静かで、西陽が影を濃く、長く伸ばしていた。
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昼休みの終わり頃。
いつもなら一緒に昼飯を食べるアニキの姿が見えなくて、ようやく戻ってきたアニキから聞いた話で、あいつの失恋を察した。
様子を見に行きたかった。
けど、それを遮るように予鈴が鳴る。
今ごろ、ほとけは──
自身の想い人から、失恋の宣告を受けているのかと考えると、授業なんて上の空だった。
やっと放課後になって、勢いよく教室の扉が開いた。
そこから、まっすぐ俺の方へ歩いてくるのは、ほとけの親友であり、そしてついさっきアニキの恋人になったしょにだだった。
「まろちゃん……!うち、いむちゃんになんかしちゃったんかもしれへん。悠くんと付き合えたのが嬉しくて……けど、いむちゃんの様子がおかしくて……」
やっぱり、そうか。
しょにだに悪気なんてない。
嬉しくて、真っ先に“ニコイチ”と自分でも言い張るほど仲のいいほとけに伝えたんやろう。
けど、それは
ほとけにはどれほど酷だったろう。
しょにだに恋をしていた、ほとけにとっては。
ほとけがしょにだのことを好きなのは、ずっと前から知っていた。
きっと、ほとけが自分の気持ちに気づくよりも前から。
その後、自覚してからも、感情を押し殺して、親友として振る舞おうとしてたことも。
笑顔の奥に時折浮かぶ悲しみも、俺には見えてた。
そういうの、全部気づいてしまうくらいには、俺は ほとけのことを見てた。
けど俺がほとけを好きやなんて、言えるはずがなかった。
だって、あいつの目にはしょにだしか映ってなかったから。
それでも。
今、お前がひとりで泣いてるなら。
自己嫌悪に苛まれているなら。
俺がそばに行って、寄り添いたい。
──ガラッ。
教室の扉を開けた瞬間、視線が一点に止まった。
窓際でひとり、机に突っ伏して夕陽に照らされるほとけ。
やっぱり、泣いていた。
肩が、小さく揺れてる。
「ほとけ」
呼びかけると、びくりと肩が震え、大きな目をこちらに向けた。
目尻は真っ赤で、頬には涙の跡。
「いふく、ん」
掠れた、弱々しい声。
いつもの覇気のない、壊れそうな声音。
「こんなとこに居たんや」
できるだけ、いつも通りに声をかけた。
けど、胸の中は、鷲掴みにされたように痛んでいた。
ほんまは、こんな顔してるお前なんか見たくなかった。
けど今、ここで泣いてるお前に寄り添えるのは俺だけやっていう、その現実に優越感を覚えてしまう自分がいて…
それがまた、情けなくて嫌になる。
「さっき、しょにだに会ったんやけど、心配しとったで? なんかしてしもたんやろかって」
「違ッ…」
まるで遮るように、即座に否定する。
伏せた顔から漏れる声は、痛々しいほど震えていた。
「ちがっ、ちがうの…しょーちゃんは、まったくわるく、なくて……」
「俺もそう言ったんやけどなぁ…」
苦笑交じりに言いながら、ふと思ってしまった。
──ほとけを笑顔にするのも、泣かせるのも、俺であったらよかったのに。
この涙の理由が、俺であったら。
なんて、最低なことを考えてしまう。
沈黙の中、ぽつりとほとけが口を開いた。
「ぼく、しょーちゃんがすきだった…」
わかってた。
けど、本人の口から聞くと、やっぱり胸に重くのしかかる。
俺は黙って、ほとけの話を聞いた。
泣きながら、何度も言葉を詰まらせながら、
それでも一生懸命、自分の心を明かしてくれるお前の言葉を、
遮ることなんてできなかった。
いや、したくなかった。
誰にも言えなかった思い、 胸の奥に押し込めてきた葛藤。
俺は、ひとつも零さず、全部受け止めた。
「ほとけの気持ちは、それでちゃんと消化できんの?」
思わず問いかけていた。
ほんまにそれでええんかって。
「え、?」
「納得して、諦めれんの?」
気持ちを押し殺して、笑って、他人の幸せを祝福して。
──それで、お前が壊れてしまうくらいなら。
「別に、ほとけがしょにだへの気持ちを捨てる必要なんてないやろうし。
1人で抱えるのがしんどいなら、俺もいっしょに抱えたる」
ほんまは、全部俺に委ねてほしい。
けど、この気持ちはきっと重すぎるから、せめて半分だけでも。
「もっと我儘になってもええんやで?」
その言葉を投げたとき、ほとけの瞳が少し揺れた。
もしかしたら、昔しょにだも似たようなことを言っていたのかもしれへん。
けど、今は俺が言った。
今は、俺が隣にいる。
それだけで、少しだけ心が温かくなった。
そっと頭に手を伸ばして撫でる。
ほっそくて、小さい体。
その中に詰め込まれている優しさと苦しみを、俺は知ってる。
「いふくん、だめだよ。ぼく単純だから…すぐ好きになっちゃう…」
そう言って、俺を見上げるほとけ。
涙でぐちゃぐちゃな顔やのになんでこんなに愛おしいんやろう。
ずるい。
そんな風に甘えられたら、期待してまう。
「なればいいやん」
自然に出た言葉。
「え、?」
「むしろ本望」
ほとけが好きになる 相手が俺であることを、どれだけ願ってきたか。
お前がしょにだを思って流した涙以上の愛情を、 俺は生涯かけて注ぎ続けるから───
fin