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第16話【だいすき】


コメント欄は嵐のように流れていき、私とキヨの目に追いつけないほどだった。



『き、きよっ、!この体制はっ、』

「大事な発表するにはコレが最適」

『〜っ!』



自分でもわかるほど、顔が熱い。

キヨはそれを知っていながらも、話を続けた。



「えー、ヒロイの視聴者たち!!俺だよ。分かるかー?」



〈わかるよ〉

〈うそでしょまじで?〉

〈本物?〉

〈コラボまじか〉

〈距離感どういうこと?〉

〈浮気じゃん〉



『えっと、…大事な発表があって、えー…。』



言葉が詰まりながらも必死に手であーだこーだしてると、キヨがクスッと笑った。 笑っている場合じゃないのに、私も笑ってしまい、変な時間がしばらく流れた。

後にキヨが

「俺たち、つい最近?かな。付き合っちゃいました。お互いちゃんと好きだし、結婚もしたいと思ってます。言い方悪くなっちゃうけど、視聴者たちが何を言おうと俺たちの勝手だから、好きにアンチして。でも、ヒロイには手を出さないでほしい。まぁ結論は俺たちが付き合った、っていう事実をわかって欲しいです。」

と、視聴者さんたちに軽く説明してくれた。

けど、人はそんなに甘くない。コメント欄はアンチの山でいまだ溢れている。



〈ヒロイが幸せならそれでいいよ。お幸せに!〉

〈俺ヒロイのリアコしてたのに。ふざけんなよ。〉

〈ガチ恋勢の敵〉

〈どうせすぐ別れる〉

〈おめでとう!〉

〈これからも応援してます〉

〈キヨねえ私と付き合ってるんじゃないの〉




『みんな、私、とっても嬉しい。だって、推しと付き合えたんやで?世界って狭いよね。もしかしたら喧嘩したりとかして破局の危機とかあるかもしれへんけど、視聴者さんたちが支えて欲しい。私たち、今本当に幸せなんだ。だから、わかって欲しいな。じゃあ、そろそろ配信切ります!みんな、長かったけどここまで見てくれてありがとう。いつまでも視聴者のこと大好きやでー!!! 』

〈ヒロイだいすき〉

〈ごめんね〉

〈応援してる!〉

〈お疲れ様!〉

〈キヨ私は?ねえキヨ〉




カチっ。




配信の切る音が部屋に鳴り響く。

キヨが配信を本当に切ったかを確認すると、私に力強く抱きついた。



『わぁっ!?えっ、え、な、!』

「っすぅ〜……。はぁ〜〜〜…!!!…くっそ緊張したー!」



キヨは私の首筋に顔を埋めて大きな息をした。



あぁ、キヨもやっぱ緊張するんだな。


そんなキヨを見ていると、なぜだか私も体の力が抜けてきて、キヨにもたれる体制となった。



「ん、ゆいも疲れた?」

『うん、疲れた。』

「ふはっ。…おいで」



軽く微笑んだと思ったら、私に向かって腕を広げた。




あぁ、本当に





愛しいなぁ。





私はキヨに思いきり抱きついた。


キヨも、私を思いきり抱き締めた。



幸せな時間が、続いてゆく。



「…ねえ、ゆい」

『ん〜…なぁに?』

「なんか、熱いね。」

『うん、たしかに暑いね。もう夏やもんね』

「そういうことじゃなくて。」

「うん?」



キヨは、私の腕を優しく掴み、キヨの胸に手を当てさせた。



ドク       ドク        ドク         ドク



大きな心拍音が、私の耳に届く。



「ゆい。」



キヨの声が、いつもより低く感じる。




「いい?」









『…私で満足、できるの?』




「ふはっ。なにそれ。俺別にヤリ〇ンじゃないよ」

『…私で、…いいなら。受け止めるよ』

「……ありがとう。大好きだよ、ゆい。」


『私も、だいすき』




キヨは、私に優しくキスを落とした。

そしてそのまま抱っこし、寝室へと向かった。




「体調どう?水いる?」

『んーん、大丈夫だよ。ありがとう。』



キヨとは昨日から一晩中一緒にいた。推しと一夜過ごすのがどんなに苦しくて幸せなのか私に分からせられたようだった。



「ゆい、可愛かったよ」

『もー!思い出さなくていいから。』

「俺まだ足りない」

『私はもう十分です。ほら、早く服着て!デート、行かないの?』

「!行く!!!」



キヨは直ぐに着替えて、私よりも先に準備を終えて玄関で待っていた。

犬みたい。





『はやいよキヨ〜』

「この魚食えるんかな?」

『水族館でその言葉はNGやでキヨ!!!』



キヨとの初デートは、私の大好きな水族館。

配信で打ち明けてから、2人で出かけるのが気軽になった。もしストーカーがいても、「俺が絶対守る」って言ってくれたから、少し安心。2人で回る水族館は時間の流れがどこか早く感じた。



『あ、イルカショー!みにいこ!』

「おー。イルカショーあるんだ。いいよ。行こっか」



無事イルカショーを見終わり、もう日が落ちる頃となった。キヨと手を繋いで帰る時間は、誰にも邪魔はされたくない時間だ。


こんな時間が、もっと続いて欲しい。



そう、心の中で唱えた。

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