後悔しても遅いから
パリンッ
赤「あっ…」
あーやっちゃた。
黄「赤……何してるんですか!?」
赤「黄ちゃ…ん、ごめっ」
ドンッ
赤「おえっっ」
最悪だ、今日は結構機嫌良かったのにな。
黄ちゃんのお気に入りのお皿を割ってしまった。
黄「あ~あ、このお皿気に入ってたのに」
黄「どうしてくれるんですか?」
赤「本当にごめんな、さい……!」
黄「もうこれ手に入らないんですけど?」
赤「ぁっごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
こうなったらひたすら謝るしかない。
黄「チッあ~もう……」
部屋に戻ってくれるかな?そう期待した。
黄「今日は機嫌が良かったのに、赤のせいで台無しです」
赤「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
黄「うるさいです」
黄「謝罪はもういいから」
そういいながら割れたさらの破片をとる。
赤「え_?」
赤「なにしてっ」
殺される……!!!
黄「……」
皿の破片を投げつけてきた。
赤「あっ!いっ」
破片は幸いにも目の上辺りに当たったので失明することはないが。
赤「いっ、たい」
おでこらへんから血が流れてくる。
黄「さっさときれいにしておいてください」
赤「は、い」
そう言い残し黄ちゃんは部屋へ入っていった。
赤「とりあえず傷洗って絆創膏……」
ふぅやっと一息つける。
domestic violence、略してDV。
俺は普段から黄ちゃんに暴力を振るわれている。
赤「いつからだっけ……」
暴力を振るわれるようになったのは。
赤「ご飯の準備……しなきゃ」
でも、今日残業がって言ってたな。
赤「ならまだいっか……」
浮気……してんのかな。
最近黄ちゃんから好きって言葉を聞かなくなった。
前までは毎日好きって言ってくれたのに。
毎日毎日残業残業。
どんだけブラックなんだよ。
赤「あーあ」
もう、いいかな?
そろそろ、限界だよ。
もう、いいよね。
物荷物をもって家を出る。
黄ちゃんに見つかる前にここを離れないと
雨が降っているので水が服に染み付いてくる。
とても寒い。
黄ちゃんに見つかったら……そんなこと考えるだけでゾッとする。
大丈夫。だってこの時間に黄ちゃんは帰ってこないから。
そう自分に言い聞かせながら俺は夜の町を走っていった。
ガチャ
黄「赤~?」
いつもどうり帰ってきたら赤のことを呼ぶ。
おかしい、毎回毎回出迎えてくれるはずなのに。
黄「赤?」
いない。いつもされてる夕飯の準備も、お風呂の準備もされていない
おかしい、おかしい。
嫌な予感がしてならない。
そっと赤の部屋に行ってみる。
でもそこには誰もいない。なにもない。
目をそらしたかった事実に思わず腰が抜けてしまう。
黄「赤……」
わかってる。赤が出ていった原因は僕だって。
常日頃から殴ってばっかで。昨日なんて赤の顔に皿の破片を投げてしまった。
黄「わかってるよ、それくらい」
後悔がどっと押し寄せる。
どんなにひどいことしたってわかってる。
でも、
黄「大好きなんだ赤のこと」
机に一通手紙があった。
『後悔しても遅いから』
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