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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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待ち合わせ場所は、駅前のカフェということになった。ナツキを一時間待つ間に、私は抹茶フラペチーノを頼んで二人席を取っておいた。

空になった容器を捨てに行くときだった。

「あっ!」

ナツキがこちらに気づいて小走りで近寄ってきた。

にんまりした笑顔が、旅が始まるというような、ワクワクしているのが見て取れた。

「何飲んでたのー?私も飲む」

そう言って私と同じ抹茶フラペチーノを頼んだナツキが、席に戻って美味しそうに飲み始めた。

「ナツキ、すごい荷物」

二泊三日ということで、私はスーツケース一個とリュックで良かったのだけど、ナツキはスーツケースを二個も持って来ていた。

待ち合わせ時間に遅れるわけだ。

「二泊三日だよ?フウカは少なすぎ」

「そうかなあ?」

全然足りると思うけど、確かにナツキは心配性でもあるし、納得はできた。

「でもさ、ほんとにいいの?」

「うん、むしろ大歓迎らしいし」

新幹線を降りて実家に向かっている途中、ナツキが疲れた様子でそう言ってきた。

移動だけでかなりお金がかかるから、ホテル代を節約するために私の実家に泊まることになった。

そういえば、三年ぶりくらいに実家に帰る。ミドリと一緒に過ごした町に帰るってことでもあるんだと思うと少し怖くなった。

実家に着いた頃には、ナツキはもう疲れ果てていた。

「もう寝たいよ…」

スーツケースを二つ持って息切れしているのが面白くて、少し笑ってしまった。

「これから喫茶店行くんでしょー?」

茶化すように言うとナツキは唇を尖らした。

すると、スライド式のドアをガラッと開ける音が聞こえた。

「フウカ、待ってたよー!」

本当に懐かしいと言いながら出てきたのはお母さんだった。

「お母さん!中々会えなくてごめん」

三年ぶりに会ったお母さんは何も変わっていなくて、まだ全然若々しく感じた。

「さ、ナツキさんも入って」

「失礼します!」 ズカズカ入っていくナツキを見てお母さんは、本当に楽しそうに微笑んでいた。


ナツキが五分だけと昼寝をしてからもう二十分経つ頃に、私はじいちゃんの仏壇に手を合わせていた。

__このまま終わって、後悔しないか。

じいちゃんの声が、その場に居るかのように鮮明に思い出された。

「じいちゃん、私もう言うことにするよ、このまま嘘ついてるのは、やっぱ辛い」

そう呟いたあと、お母さんからナツキが起きたと報告をもらった。


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