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「失礼します 」
扉を開けると、机に向かい
書類整理をしている彼がいた。
「…何だ」
ここへ来たのは
初めて挨拶をした時以来だ。
あの頃とは違った緊張感が今はある。
「明日の壁外調査の件ですが」
「まだ納得いってねぇのか」
「当たり前です。
だって兵長何も説明してくれないから」
一拍置いて、続けた。
「私が足を庇ってることに
気づいたんですよね」
書類をめくる動きが止まり、
顔を上げた。
状況を悟った目をしている。
「やはりな。 お前なら行くと思った」
「兵長は言葉が足らなすぎです。
何で説明してくれなかったんですか」
「言ったところで否定すると思ったからだ」
「どんだけ強情だと思われてるんですか私…」
そして、兵長をまっすぐ見据えて言う。
「私、明日は本部に残ります。」
兵長が再び、私を見た。
「私は私に今できることをやります。
それが私のためでもあるし、
仲間のためでもあると気づきました」
「俺たち2人のためでもある」
間髪入れずに返ってきた兵長の言葉に
私は目を丸くした。
「…チッ。今のは忘れろ」
ふっと目を逸らす兵長に
私の顔はみるみる赤くなる。
「兵長、それ反則です…」
「そうかよ」
いつも無表情な上官の
一瞬見せた照れ隠しの表情に
私の心は満たされた。
ベタ惚れだなあと思う。
「兵長」
「何だ」
「明日、待ってます。
必ず生きて帰ってきてください。」
「あぁ、約束する」
そこで終わるつもりだった。
けど私の中の欲張りな心が
顔を出した。
「明日帰ってきたら」
「抱きしめてもいいですか」
兵長の眉が一瞬動いた。
「……」
沈黙が怖い。
引かれただろうか。
「…お前は本当にタチが悪ぃな」
「い、嫌でしたか…」
「あぁ。」
即答に、心がズキっと痛む。
調子に乗っちゃったな。
兵長は続ける。
「抱きしめるのはお前じゃない。
俺の方だ。」
「…!?」
「兵長、今なんて…」
「さっさと寝ろ」
何事もなかったかのように
机に向かう上官。
ほんとに私の心をかき乱す天才だ。
「おやすみなさい、兵長」
「…好きです」
扉を閉める際、
捨て台詞のように呟いた言葉が
彼に届いたかはわからないけど、
今朝のモヤモヤした気持ちが嘘のように
私の心は晴れきっていた。
「……」
「反則なのはどっちだ」
蓮
75
#リヴァイ兵長
さらん
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コメント
1件
みぅ🤍🥀です。 第29話、読み終わりました……もう、最後の兵長の「反則なのはどっちだ」が刺さりすぎてしばらく動けなかったです。あの、抱きしめるのはお前じゃないって返し、兵長の照れ隠しなのに全部伝わってくるのがずるい。そして「好きです」を捨て台詞みたいに言うヒロインも、ちゃんと強くなってて、めっちゃ好きです。明日がどうなるかわからないからこその、この静かな強さと甘さ。さくさんの言葉選び、本当に繊細で美しいです。また続き、読みにきますね🌙