テラーノベル
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土曜日。
夜、午後十一時ごろ。
街外れの古びた倉庫街。
街灯の少ない暗い路地に、バドの姿があった。
白銀の長髪を夜風になびかせ、藍色の瞳が冷たく輝いている。
今夜の標的は、裏社会の小規模組織の幹部二人。
簡単な仕事である。
しかし——
「……来てるな」
バドの表情は、どこか暗かった。
バドは深く息を吸い、背後の気配を感じ取る。
そして、ゆっくりと後ろを向いた。
「よう、久しぶりやな」
闇の中から、のんびりとした関西弁が響いた。
ぬるりと姿を現したのは、金髪のセンターパートに赤黒い瞳の男——黒崎蓮だった。
耳元で赤いタッセルイヤリングが、ぼんやりと揺れている。
「先生……」
バドの声がわずかに低くなる。
黒崎は煙草をくわえたまま、楽しげに目を細めた。
「元気そうやないか。高校生活、なかなか充実してるみたいやな」
「書道部に入ったり、クラスメイトとポスター作ったり……ほんま、微笑ましいわ」
バドの表情が一瞬で強張った。
すべてを見透かされているような、嫌な感覚が背中を這う。
「普通の生活を与えたったのに、まだ『バド』としてここに立ってる」
「ええ判断や」
黒崎は一歩近づき、バドの顔を至近距離で覗き込んだ。
「俺はな、ずっと見てたんやで。お前のこと」
黒崎の赤黒い瞳が、鋭く細められる。
「……道を誤るなよ」
バドの額に、冷たい汗が滲み出た。
だが表情だけは、なんとか冷静を保とうとする。
「……冗談はよしてください」
「俺が、今さら光の方に行くわけがありません」
胸の奥で、ぐるぐるとまとまらない感情が渦巻いたが、バドは表情を崩さなかった。
「…………用件はそれだけですか」
「まあな。今夜の仕事、頑張れよ」
黒崎は軽く手を振り、闇の中に溶けるように去っていった。
残されたバドは、短く舌打ちをして再び歩き始めた。
指先が、わずかに震えていた。
同じ頃、望月家の豪邸。
乃愛は自室の机に向かい、うちわの試作品を眺めていた。
華が書いた『光』の字が、淡いピンクの紙に美しく映えている。
「華ちゃんの字って、とっても綺麗だよね……」
乃愛は小さく微笑んだ。
だが、ふと表情が曇る。
(……でも……)
華の字をじっと見つめていると、なぜか胸が締めつけられるような感覚があった。
「どこか……悲しい字」
綺麗なのに、どこか冷たくて、寂しげで。
まるで、笑顔の裏に隠している何かがあるような——。
「……華ちゃん…」
乃愛は、うちわを胸にそっと抱きしめた。
#成長
ももは
551
#女体化
足将軍
1,306
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コメント
4件
はい、読み終えました!第8話「闇」、すごく引き込まれました…。 夜の倉庫街でのバドの任務シーン、黒崎の登場からの緊張感がたまらなかったです。「ずっと見てた」って言葉の重みが怖いし、バドが「光の方に行くわけがない」と言い切るところに、胸が締め付けられました。裏の世界にいる自分を自覚しながらも、どこかで選択を迫られている感じが切ないですね。 一方、乃愛が華の書いた「光」の字を見て「悲しい字」と感じるシーンも印象的。あの繊細な感性が、物語に優しい温度差を生んでいて好きです。華とバド、同じ人物なのに見える姿が全然違って、その二面性がもっと知りたくなりました。 次が気になります…!