テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
3件
あおば様の青さんは桃さん第一!!で、自分の気持ちに蓋をしてまでも桃さんにはありのままでいて欲しいというのが伝わってきてもう大好きです...、!!! 青さんが照れるの珍しいのでもう嬉しい叫び声が出そうでした..!💕💕 投稿ありがとうございます...幸せです😖😖🎶
初コメ失礼します! 前からたくさん作品を見ていたのですが垢を作ったのでコメさせていただきます💖 珍しい第三者視点でおもしろかったです! あおばさんの言葉の表現の仕方お話の構成も全部大好きです💞応援してます📣!
珍しく黒くん視点!第三者の視点が入ると周りからどう思われてるのなどがわかりやすくてとっても楽しかったです! 最近コメントできてなくてすいません😭これからも頑張ってください!
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
黒視点
「予想外の破壊力」
ないことまろの関係性は、ずっと前から俺には理解できない。
グループ内でも業務的に近いところにいて、ずっと背中合わせで戦ってきた戦友。
一番信頼できる…一番近い場所にいることが当たり前の存在。
近くにいすぎたせいで、やがて背中合わせの関係だけでなくなったことも俺は知っている。
だけどあいつらにとって、それは「恋人」なんて甘いものではないらしい。
互いを尊重しあいながらも、愛を囁き合うような関係ではない。
でももっと理解できないのは、かといって「セフレ」とも言えないようなところだ。
体だけの関係と割り切るほどドライでもない。
だって俺から見ても、こいつらはお互いをちゃんと想っている。
……だからこそ、理解できない。
「好き」なら「好き」。そうじゃないならもっと割り切るもんだろ。
少なくとも俺ならそうする。
こいつらの秤は左右どちらかに振り切ることなく、いつでも中間を彷徨っているように見えていた。
特に理解できないのは、まろの方だ。
「えー…なんでそんなひどいこと言うん」
俺の独白のような呟きに、まろは苦笑いを零した。
「だってお前、ないこのことめっちゃ好きやん。ないこ側にも全く想いがないわけじゃないってこと、ちゃんと分かっとるやん」
なのになぜ、「恋人」という関係に振り切ることができないのか。
俺には本当に理解できない。
「…ないこはさぁ」
事務所内の廊下を歩きながら、まろは首を竦めてそう応じる。
「人並み以上に、快感に弱いとこあるやん」
……いや、知るわけないやろ。ツッコミかけた言葉はひとまず飲み込む。
まずは珍しく自分の思考を吐露し始めたまろの言葉を聞くべきだ。
「気持ちいいことが好きやから、相手が誰かは多分重要じゃないんよ」
そう続けたまろの口調は弾んでいて、「相手が誰かは重要じゃない」という認識を悲観しているようには見えない。
これが、俺にとってまろを理解できない最たる部分。
「始まりは、一番近くにおった俺が都合良かったんやろね。…いや、そんな悪い意味じゃなくてさ」
「どう聞いても悪い意味にしか聞こえんけど」
「ちがうちがう、そうじゃなくて。ないこの不思議なところはさ、そうやって最初は『好き』から始まった関係じゃなくても、決して不誠実ではないってとこなんよ。この関係が始まった以上、誰かれ構わず体を開くわけではないし、俺をないがしろにするようなことはせんわけ」
配信のときもたまに思うけれど、普段あまり自分の本音を曝け出さないまろも、ないこの話のときは饒舌になる。
「でもさ、俺はないこには自由なままおってほしいから」
…これが、まろの理解できないところのもう一点。
自分にはないこしかいないと思っている一方、ないこにとって自分はその存在じゃないと割り切っている。
だけどそれを悲しむわけでもなく、ただ事実として「理解」している。
自分ならないこを幸せにしてやれるという自負もあるくせに、ないこが他を選ぶならそれも致し方ないと思えてしまう。
自己肯定感が低いわけではないのに、何よりもないこの意志を尊重する。
…それが、俺にはいつまでたっても理解できない。
俺なら、自分が好きな相手には、これから先もずっと自分の方だけを向いていてほしいと思うに決まっている。
「大体さぁ、何よりないこは仕事が第一やん? 俺だけじゃなくてさ、他の誰が相手でもそうなんやけど、誰かに愛を囁いたり執着したりするようなん、想像できんのよな」
ないこの口から好きとか愛とか甘い言葉が飛び出てきたらきしょいかもー、なんて、まろはいつものふざけた高めの声で続けた。
けらけらと笑う横顔は取り繕ったようには見えない。
…まろの本音なんだろう。
だけどな、自分が「本音」やと思っとるんが「本物」かは別なんやで。
そう思ったとき、事務所の一室にたどり着く。
この後ミーティングが行われる部屋だ。
まろと並んで入ろうとしたけれど、少しだけそのドアが開いていることに気づいた。
中から低めの声が聞こえてくる。
「……本当に、すみません」
…ないこだ。誰かと電話中らしく、相手の声は聞こえない。
思わずまろと互いの顔を見合わせた。
深刻そうなトーンに、まろが「出直そう」と手振りで俺に示す。
頷きかけた俺だったけれど、ないこの続く言葉が先に耳に飛び込んできた。
「気持ちは嬉しいんですが…ごめんなさい」
…仕事の話かと思ったけれど、どうも違うようだ。
ないこはあのルックスとしごでき感のせいで、仕事関係で知り合った女性に好かれてしまうことも少なくない。
今もそんな相手からの告白でも受けているんだろう。
言葉選びと声の調子から、俺もまろも同時にそんなことを読み取った。
「…いや、違うんです。実は俺、好きな人がいて」
立ち聞きするつもりはなかったけれど、続いたそんな言葉にまろは思わず硬直したし、俺は去ってやる気などなくなってしまった。
ただ耳をそばだててないこの言葉のその先に聞き入る。
「一生離れたくない相手なんです。だから…ごめんなさい」
申し訳なさそうなのに、それでもどこか幸せそうに紡がれる言葉。
本来ないこもここまで自分の気持ちを吐き出すことはない。
だけどきっと相手が真剣だったから、それ相応に応じなければと思ったんだろう。
「……」
俺の隣で、まろが壁に背を預けた。
それから、脱力したようにずるずると体は床の方へと落ちていく。
そんなまろを横目に見やって、俺はにやりと笑ってやった。
「どうよまろ、ないこの愛の告白は」
さっき言っていたようにやっぱり「きしょい」って思うのか。
そう続けると、まろは壁に背をもたれさせたまま座りこんだ。
大きな両手で顔を覆う。
「……思ったより破壊力あった…」
「んはははは」
「顔あっつ…」
まろの手の横からは、耳まで真っ赤になっているのが分かる。
な、まろ。お前が思うよりないこはお前のこと好きやろ。
これをきっかけに、この2人の関係も少しは変わるのだろうか。
俺にはやっぱり理解も予測もできない。
だけどそんな2人だからこそ俺もこいつらが好きなんやろうなぁ、なんてことを、胸の内で呟いた。