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ドラえもんの呼びかけに応じ、未来からセワシとドラミがタイムパトロールの救急医療チームを伴って現代に駆けつけた。空き地の土管の奥、冷たいコンクリートの上で、のび太は変わり果てた姿で見つかった。衣服は無残に引き裂かれ、全身に生々しい痣と、剛田武の暴行の痕跡がこびりついている。意識を失ったのび太の顔は、苦痛に歪んだまま凍りついたようだった。
「ひどすぎる……。これがあの人たちの言う『友情』だったの?」ドラミは震える手で口を覆い、涙を流した。セワシは怒りで拳を血が滲むほど握りしめ、救急隊員たちがのび太を「ナノマシン再生カプセル」へ収容するのを黙って見つめていた。
ドラえもんは、ただ呆然とのび太の傍らに膝をついていた。四次元ポケットに手をかけることも忘れ、親友をここまで追い詰めた自分自身の至らなさと、ジャイアンという存在への底知れぬ憎悪が、彼の回路を焼き切らんばかりに逆流していた。
「おじいちゃんの精神状態が極めて危険だ。このままでは廃人になってしまう」セワシは冷静な判断を下し、のび太を未来の総合病院へ緊急搬送することを決定した。現代の技術では、彼の受けた肉体的、そして何より精神的な深い傷を癒やすことは不可能だったからだ。
のび太が未来へ運ばれた数時間後、町には異様な静寂が訪れた。ドラえもんは一人、ジャイアンの家の前に立っていた。その手には、普段なら決して使わない、因果を捻じ曲げるような恐ろしい道具が握られていた。
一方、ジャイアン――剛田武は、自分の犯した罪の重さにようやく気づき始めていた。しかし、それは反省ではなく、露見することへの恐怖だった。彼は逃げ場を失い、自室で震えていた。
そこへ、音もなくドラえもんが現れた。その瞳には感情の色が一切なく、ただ冷徹な処罰者の光だけが宿っていた。
「ジャイアン、君がのび太くんにしたことは、もう二度と取り返しがつかないんだ」
ドラえもんが放った光線は、ジャイアンの肉体を傷つけることはなかった。しかし、その瞬間からジャイアンの「存在」そのものが変質し始めた。彼は、のび太が味わった絶望、痛み、屈辱を、死ぬまで永遠にループして体験し続けるという、終わりのない精神の牢獄に閉じ込められたのである。
数年後、未来の世界で。
のび太は長いリハビリを経て、ようやく少しずつ言葉を取り戻していた。セワシとドラミが見守る中、彼は窓の外を眺めながら、ぽつりと呟いた。
「ドラえもん……僕、もうあそこには戻れないんだね」
ドラえもんは、のび太の震える手を優しく握り、ただ静かに頷いた。二人の間に、かつてのような無邪気な笑い声が戻ることはなかったが、それでも、止まってしまった時間を、二人は一歩ずつ歩み始めようとしていた。