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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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俺はこの世界の住民。地王求星の冒険者だ。

2人のボス、壺から水を出すボスのウォータートル。大きなミノタウロスのカウザを倒したのちボロボロの街アンドロメダ街と言う街でスピカと言うパンを背負った少女と出会った。

スピカは戦闘モードに入ると羽をはやし願うような形をする事で俺に絶大なるバフ、主には攻撃力、移動速度、クリティカル率、攻撃頻度、防御力、スキル効果などほぼ全てのステータスを上げてくれる。今まで1人でしか冒険してこなかった俺でも、この力は絶大でボスにも匹敵するほどだった。

そして俺はスピカと一緒に冒険に出てはや4年、俺たちは大きな絆でつながっていた。その4年間では、おおきなさそりのスコーピオン。2匹が一心同体で攻撃してくる、うおのウオザ。弓を使うケンタウルスとケンタルス。精神攻撃を得意とするバーランス・テンビン。そして今日、双子のカルトスとポルックスに2対2の激戦を制した。

その4年間を通し俺たちはその5体のボスを倒すことに成功し、言葉を交わさずとも次の行動などがわかるほどになった。

「レグルス、出来たわよ。」

「ありがとうな。」

そう言って焚き火に照らされ,赤くなったスピカに笑いかける。

「何よ改まって、いつもやっていることじゃ無い。」

暗い月の下、星あかりに照らされてセンチメンタルになった心にスピカはそう言って笑い返してくれる。

「星が綺麗だな。」

「そうね、星はいつまでもみていられるは。なんでだろう?」

「この世界も星の一つだからだろ。」

いつものような、大切なことは踏み込まない会話が今の俺たちには心地よかった。

「星って言えば今まで倒してきた奴らって星をモチーフにしたやつ多くねぇか?」

俺のポツリと放ったその一言にスピカは目を広げる。

「確かにそうね。でも星なんて幾つもあるから気のせいじゃ無いかしら。」

「いーや違うね、多分これは黄道12星座が元になっているんだ。魚座のウオザ、いて座のケンタルス、双子座のカルトスとポルックス、他にも牛座のカウザ、天秤座のバーランス・テンビン、水瓶座のウォータロス、と言った感じでな。」

「確かにそこまでいくと不自然ね。なら残りのボスは5体なのかしら?」

「今まで一年一体のペースで倒して来たが終わりが見えたな!」

「じゃあ残りは牡羊座、やぎ座、乙女座、蟹座、獅子座、になるのね。でも他の冒険者が難易度の低いやぎ座や牡羊座,蟹座は倒してるはずよ。なんでも眠らせるシープスリピー、なんでも切り裂く蟹のクラブザ、そしてヤギのゴットみたいなのが倒されたって話は聞いたことがあるわ。」

「流石の情報量っすね。てかシープスリピーもクラブザも低難易度には思えんな。ヤギのゴットに関しては絶対やばいだろ。」

「ゴットは中級冒険者が討伐したらしいわよ。」

「びっくりするぐらい弱かった。」

大切な話でもスピカと話していると頬が緩む。スピカは俺の中では家族同然なのだ。

「じゃあ残りは獅子座と乙女座か、あんまり知らないんだよな。」

「獅子座は百獣の王、ライオンだと思うわ。でも乙女座は女性ってことしかわからないわね。乙女の幅が広すぎるわ。」

どんな俺の質問にも答えてられるスピカは俺に安心を与えてくれるとともに、支えになってくれていた。

「何があっても俺はスピカを守るから。」

そう呟いた。思ったことが口からポロッと出てしまったのだ。

「ありがとう。」

小柄な体から出るその言葉にはとても大きくて温かい重みがあった。

「もし、俺が絶対に倒せないような敵と出会って死ぬ寸前まで行ったらどうする?スピカが倒せるとは限らない敵に。」

「その時は、私が倒すは。」

この言葉があるから俺はスピカに背中を預けられる。生きたいと思える。生きようと思える。守ろうと思える。そして戦おうと思えた。

「よーし!残り2体なんだ!明日から飛ばしていくぞ!」

「ええそうね。今日はもう寝ましょうか。」

喋りながら食べきったスピカの作ってくれたスープを置き、寝床へ付いた。今日はやけに星が綺麗に見える。



「おーい!逃げろおぉ!」

「こっちだ!」

「キャァァァァァ!」

「おかぁさーん、おかぁさーん、」

「助けてぇ、」

「うわぁ!」

静まった夜、急に俺の村に現れた化け物たち、二足歩行をする大量のウサギを引き連れた大きなライオン。そのライオンは大きな体で俺の村を蹂躙した。村一番の勇者だった俺でもウサギを3匹倒すので全力だった。

「ギャァァァァァァ!」

「うわァァァ!」

1人、また1人と倒されていく姿に俺は逃げてしまった。村の出口に近づいた時俺の父が待っていた。母は俺が生まれてすぐに他界し、男手ひとつで育てた上剣術を教えてくれたのがその父だ。父は逃げる村民の護衛をしていたが俺の目の前で大きなライオンがたった一振りで父を帰らぬ人としてしまった。


ハッ!はぁはぁはぁはぁ、何年経っても何度も何度も夢に見る、あの何か諦めたような父の顔、それをつなぐ首がちぎれ、赤い液体が辺りを染めた、そんな見たくもない無惨な光景、でもこれは1人生き残った罰なのだ。1番の力があったのにも関わらず、村を捨て逃げ出した俺の罪なのだ。だからこれは俺の罪を償う冒険だったのだ。

「大丈夫だよ。」

声と一緒に、手に温もりを感じた。スピカだった。

「大丈夫、私がいるから。」

スピカが握ってくれた手を通してスピカの優しさと温もりが恐怖に包まれた胸の奥まで届いた。

「ありがとう、もう大丈夫だ。」

涙を堪えて搾り出した声だった。手の温もりを忘れぬよう、自分の罪を忘れぬよう、俺はまた一歩前に踏み出そうと誓った。


木々の間から溢れる朝日がいつもの俺たちの1日の始まりを告げる合図だ。朝起きて俺が獲物を捕まえる。それをスピカが魔法や調理器具で料理し空いた腹を満たす。そして俺たちは俺の故郷、そう、村に向かった。昨日の夢と話で気付いたことがあった。

あの大きなライオンは獅子座なのだ。もう6年前だ、いないかもしれない。だからといって向かわないのは昨日の誓いに反することだった。村に到着しあたりを見渡す。そしてあの日のことを思い返す。あのライオンはどこからきた、森の中か。

「向こうだ。」

建物は崩れ、ボロボロになり、苔や草が生えていた。道路なんてものはなく草原のようだった。その光景が酷く心を蝕んだ。あの時逃げた結果、俺だけ助かり、こんな跡地を作ったのだ。

「あなたのせいじゃないは、」

俺の心の中を見たかのように、言葉を開けてくれたスピカの目は少し悲しげだった。森に入り少し進むと明らかにそれらしい洞窟があった。

「これで、最後なんだね。」

「何をいってんだ、まだ乙女座が残っているし、ここが獅子座と決まったわけじゃない。」

「そうよね、でもここが獅子座ならこれで終わりよ。レグルス、あなたの罪は晴らせたじゃない。」

確かにそうだ、でもこの冒険はあの日逃げた自分に対する贖罪なのだ。

「でも、、、」

「レグルスは横道12星座の3分の2を倒したのよ。あなたが自分を何と言おうとレグルスはすごいは。」

「そうだな。」

「私たちが無事この戦いを終えたら、それからはずっと一緒に暮らしましょ。」

最初はこんな可愛らしい少女を戦場に連れ出すのは余り気が進まなかった。でも日にちを積んでいく上でそんな気遣いもなくなり、スピカがいなければダメだと思うようになっていった。

「大きな死亡フラグを掲げたな。まぁいい、俺たちが負けるわけがないからな。」

「レグルスも大概じゃない。」

そう言って洞窟へと足を進めた。入ってすぐ洞窟の入り口が閉まり灯がついた。そこには予想道理どっしりとした佇まいのライオンがいた。

「我は百獣の王にして、子分を食い尽くしたもの。ライオンのラインなり。ん?そこで何をしているおと(っっっ」

冒険者ながらどうかと思うがいつも通り自己紹介中にスピカが魔法を打った。

「すまんが今から死にゆくやつに名乗る名は持ち合わせていない。」

「メイデン・フォール」

「よし!」

メイデン・フォール、スピカが使うバフ魔法で何度もこの魔法に助けられた魔法だ。スピカは無詠唱でも魔法を使えるのだが意思疎通を図るため唱えてもらっている。

「くらえ!バースト・ソードレス!」

「ヴッ、、、、」

「ソード・ザ・トラバ」

すぐさま追撃をし、相手の左前脚に大きな傷をつけた。

「グハッ、、」

怪我をしてすぐなのに左脚で思いっきり俺を壁に叩きつけた。

「レディ・ヒール」

「ありがとう!」

レディ・ヒール、何度も戦闘中に怪我する俺を瞬時に回復してくれる魔法だ。

「俺、あれ撃つ!時間稼いでくれ!」

「わかった。」

「バージン・ヘル・グアイナル」

バージン・ヘル・グアイナル、最初に無詠唱で撃った技だ、火力はあまり高くないが相手への妨害としては最高の技だ。

「くらえ!俺の必殺技!」

最後の戦い、自分の贖罪の為なのに、今までの1人だった2年間、スピカと暮らした4年間、思い返して少し楽しんでいた。

「レスグピルカス!」

「ウッうわァァァ!!!!」

ラインの首が落ちた、胴体から噴き出す大量の血と、落ちた顔から広がる赤い海、でも少し、綺麗な気がした。

「倒したよ、、おやじ、村のみんな!俺は倒したよ!」

「おめでとう。」

振り返るとそこには、いつものスピカがいた。小柄であった時から変わらない、羽をしまい降りてくる姿は女神のようだった。ゴゴゴゴゴ、、、、入り口が空き、光が洞窟の中全てに広がる。新しい世界に出るように、俺たちは洞窟の外に出た。


「レグルス。ありがとう。」

「何もお礼を、え?、、」

「無事帰ってこられたね。」

「ヴッ、、」

スピカの技が俺の腹を貫き、臓物が噴き出す。

「まだわからない?私、スピカが乙女座だよ?」

「なん?で、、、、?」

「もうわかるでしょ。さようなら。」

–––––––ここで俺の物語は終わった。

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