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初めてこの2人を書くので口調が違うかも💦
他の界隈のやつを2人にコンバートしたやつです!
一様🥞☕️🥞ですが🥞☕️っぽくはあるので苦手な方は回れ右してください!
⚠️アイスバース、死ネタ、年齢操作⚠️
2人は同じクラスになってます。
最後、年齢が17歳から20歳になるシーンがあります。
長いので時間がある時見るのをおすすめします!
ーーー
🥞
「なぁ、彰人」
「ん?どうした冬弥」
前の席から冬弥は座る位置を180°変えて俺と向き合う。話しかけてきた冬弥は無邪気で太陽の様な眩しい笑顔をこちらに向ける。
「3日後夏祭りがあるだろう?良かったら一緒に行かないか?」
「はっ、いいな行こうぜ」
そう返答すると冬弥は「じゃあ約束だ!」そう言ってニコッと微笑んだ。その笑顔を見て自分の心臓が早鐘を打つかの様にドクドクと五月蝿い。俺は冬弥のことが好きだ。ずっと前から、だから次の夏祭りが告白するチャンスかもしれないと顔を熱くさせる。教室の窓から流れてきた涼気が熱くなった俺の頬を撫でた。
ーーー
☕️
「にしても、流石に暑いな…」
「そうだな。まさに真夏の炎天下…」
学校からの帰り道。駄菓子屋へ少々寄り道をしてラムネとアイスを一つずつ買って海岸沿いの道路を歩く。時々地面が陽炎によって揺らめいて夏の暑さを嫌にも感じさせる。
「彰人。アイス一口くれないか?」
「いいけど…じゃあお前のラムネ一口くれよ」
そう言ってお互いの持っていたものを交換する。俺は彰人の事が前から好きだ。好きだからこそ食べ物の共有は嬉しい。わざと彰人が食べた所をシャクッと食べればキーンと顳顬辺りが痛くなる。そして何度も経験した事のある痛みを味わう。それと同時にいつもとは違う甘い味がした。自分もよく食べるアイスなのに初めての感覚だ。そっと自分の唇を撫でる。そして彼の唇を想像する。頬を赤くさせ体が火照る。これが甘い恋の味…。慣れない痛みと甘い味に顳顬を抑えながらラムネの感想を貰おうと横を見る。そこには誰もいなかった。
何処に行ったのだろうと辺りを見渡せば少し離れた後ろの方に彰人は居た。声を掛けようとしたが声が出ない。海を見つめる彰人の顔に見惚れてしまう。彰人の綺麗な目は海を見つめていて、いつもの緑の瞳が空と海を写して水色に混ざった鮮やかな瞳に変わっていた。整った顔の上を汗が流れ顎から水滴が滴り落ちる。彼の長い髪は後ろで結ばれて髪も汗で少し濡れている。結ばれた髪の下、白い首筋に汗が伝う。髪を汗で濡らしてしまうほど暑いのに涼感な顔をして呆然と彼は海を見つめている。
なぜだろうか、今彼と混ざり合っている感覚になるのは。
「ッあ…彰人。何をしているんだ?」
「あ…。ちょっとぼーっとしてて」
「ぼーっと?恋の病でも罹っているのかもしれないな彰人はw」
「ははっそうかも」
そう言って雑談をしながら互いの家に帰る。
そうして自分のベットにダイブして考える。
俺が彰人を好きだと自覚したのはほんの数ヶ月前の話。前から他の人とは違う感覚がしていたがまさか恋だったとはと今では思い出話の様に懐かしい。そして自己中な妄想が始まる。
「彰人が俺のこと好きで夏祭りの時に告白してきたりして…」
「そんな都合のいい話小説でしかみたことがない」
「はぁ、当たって砕けろ精神で告白して振られるか…」
そう言って疲れた体をベットに沈めて意識を手放した。
ーーー
夏祭り当日
ーーー
🥞
今日は夏祭り当日。だが約束の時間まで寝てしまった。昨日は為服を着替えずそのまま寝てしまっていたようだ。パパッと準備を済ませて待ち合わせ場所まで猛ダッシュをする。
「はっ…はあっ…ッく…ハッ」
待ち合わせ場所が見えて来た時。向こう側から自分と同じ様に走って来る人影がいた。
「ッハ…あきと!!!!」
「はぁっはあっ…冬弥っ」
手を膝に乗せて休憩をしていると冬弥は急に俺の手首を掴んで走り出した。
「彰人!もう花火が始まっている!」
「ああ…すまねぇ」
微かに向こうのほうからドンっと音が聞こえる気がする。だがそれを走ったからなのか好きな人に手を取られたらか心臓の鼓動で上手く聞き取れない。自分よりも体力が無く足も遅い彼が俺の手を取って道を先導している。その光景と一生懸命走る冬弥の姿に見惚れて、「ふはっ」と自然に幸せな笑みが溢れた。
ーーー
🥞
しばらく走っていると急に森の方へと腕を引かれる。
「えっちょ…冬弥?こっちじゃねぇけど…」
「こっちに花火が綺麗に見れる穴場があるんだッハ…ハッ」
そう彼に連れられて木々の隙間を縫う様に走れば急に視界が開ける。
「はあっ…綺麗だ…」
「そうだろう?」
着いたのは街を一望出来る高台にある丘だった。住宅街の灯りと祭りの屋台の灯り達がギラギラと光っている。
その瞬間辺りにドカンと音が鳴り響いた。
斜め上を見上げると街の光に負けないほど輝く花火が上がった。
「ここ花火良く見えるから彰人と来たくて…」
その言葉を聞いて胸が高鳴り体温が高くなる。自分の感情を隠す様に言葉を紡ぐ。
「綺麗だな。つーかこんな場所よく知ってたな。もしかして探してくれてたのか?」
「ははっ、秘密だ」
そう言って笑い合う。花火が数発音をたてながら夜空に咲いていく。その花火を見ながら自分の気持ちに整理を付け、隣の人物に話しかける。
「な、なぁ」
そう話しかけると彼は「ん?どうしたんだ彰人」といつもと変わらないトーンで話す。
「冬弥の事が好きだ…」
そう言い放ち、顔を見る。冬弥は口を半開きにして数秒フリーズした後急に顔を赤らめて視線を逸らす。見えなくなった顔から咳払いの声が聞こえて、冬弥もまたこちらを向いた。
こちらを振り向いた彰人の顔は、嬉しそうで、でもどこか悲しそうで。花火に照らされる顔の輪郭と瞳は彼の儚さをより一層引き立てた。その顔に見惚れていると。急に冬弥が僕の頬にそっと片手を伸ばす。そうして、嬉しそうなでもどこ悲しそうな顔で
「俺も好きだ。彰人」
そう言うとキスをしてくる。急に与えられたそれに自分も頑張って答えようと冬弥に近づく。そうして口を一瞬開けた瞬間。舌を捩じ込んだ。突然のキスに止める程の理性が残っていない。冬弥を求める様に深いデープキスをした。互いが互いを求めるようにキスをしていると。突然手にドロっとした感覚が伝わった。なんだと思い目を開けると目の前には顔を赤くしてキスをしながらドロドロと溶け出している冬弥がいた。突然の見たこともない状況に困惑して冬弥の顔から口を離して「冬弥?ど、どうしたんだ?溶けて…」
そう言うと冬弥は悟った様な顔をして自分の顔を見つめてくる。
ーーー
☕️
この話をするかどうか少々抵抗があったが伝えなければいけないと自分の気持ちに整理をつけ勇気を出して口を開く。
「実は俺はアイスと言って好きな人と両思いになると溶けて死んでしまうんだ」
「じゃあ…冬弥は僕のせいで…」
「告白…しなきゃよかった…」
そう言うと彰人は後悔に満ち溢れた顔をして目から大粒の涙を流していた。
そして全てを目の前の彼に伝えようと口を開いた。
ーーー
🥞
俺が話を聞いて告白した事を後悔していると。隣にいた彼はこちらに近づいて口を開いた。
「でも、今日告白しようと思ってたんだ。だから彰人は悪くない。溶けて死んでしまってもいいとおもってここまで来たんだ。しかも両思いだと言う証明が出来たから俺は嬉しかった。告白してくれてありがとう。彰人」そう言うと冬弥は俺の肩に頭を擦り寄せて幸せそうな顔をして音を立てながら夜空に咲く花火を見ていた。
その幸せそうな顔を見ていると自然と涙が止まってしまった。安堵感を覚えたのだ。あり得るはずもないこれからの未来の事を無意識的に想像してしまうのだ。この世にアイスなんてものが無ければ隣の彼と未来を歩めたかもしれない。でもアイスが無かったら冬弥は生まれていないかもしれないと想像の中で少し悲しくなる。だが隣にいる彼の顔を見てこれはこれで良いかもしれないと自分の頭を冬弥の頭につく様に首を傾け、夜空に煌めく花火を眺めた。
ーーー
🥞
花火を見て少し経って隣が気になってしまった。隣を見るとそこには空を見上げながら半壊していく冬弥がいた。その姿を見てもうこの幸せな時間が終わってしまうのだと名残惜しくなってしまう。少し悲しんでいると冬弥が口を開いた
ーーー
☕️
「あきと。」
「どうしたんだよ?」
彰人は悲しくなってしまったからか声が上擦っていた。
「最期は彰人の腕の中で死にたいからぎゅってしてくれないか?」
「…ああ。好きな人からのお願いは断れねぇからな。」
そう言って彰人は俺に向けて腕を広げて腕の中へと誘い込んでいた。その待ち望んでいた光景を目に焼き付けてからゆっくりと近づく。そして彰人の温もりを感じながら彰人の足の上に乗り、向き合う様に座る。そうしていると彰人が俺の腰に手を回す。その行為を嬉しく思いながら自分も彰人の首に腕を回した。
ーーー
🥞
冬弥の温もりを感じていると。不意に涙が溢れてきた。
「どした?ふふ、やっぱり悲しいのか?」
「いや、ち、ちげぇ。けど、その、悲しいのもあるけど、嬉しくて…」
そういうと冬弥は「ふふっ」と笑った。そう笑うと彼は僕の頬に両手を添えて、そしてて上を向かせ、彼と強制的に目が合わされた。そうすると
「せめて最後くらい彰人には笑顔でいて欲しい」
そう言うと冬弥は俺の涙を原型の留めていない指で掬い上げた。そんな事を言われたらとさらに込み上げてくる涙を懸命に堪えてニコッと笑った。冬弥から見た僕の笑顔は下手だったかもしれない。だが今は一番いい笑顔で彼の最後を迎えたかった。
その瞬間ドロッと一層冬弥が溶け出した。あぁ、これが最後なんだなと思いせめてもと冬弥の顔を見つめる。そうすると冬弥も悟ったのかこちらを見つめ返した。
「なぁ、彰人。」
「どうした?」
「彰人のことが好きだ。」
「ははっ、俺も冬弥のこと好きだ」
そう言うと冬弥はニコッとして顔を近づけてくる。その行動の意図に気がつき目を閉じる。すると口に柔らかい感触がした。そしてリップ音をたてながら長くキスをする。すると腕にドロっとした嫌な感触が伝わる。恐る恐る目を開けると冬弥が溶けた顔で幸せそうにこちらを見つめていた。その姿を見て自分も嬉しくなってもう一度目を瞑り冬弥に身を任せた。そうしていると顔にドロッとしたものが落ちる。それに連鎖して肩から腕へ腕から足へとドロドロとした大量の泥の様な液体が身体中へ落ちる感覚がした。そして腕の中にあった温かい人の温もりは消え失せていた。
目を開けると視界にはドロドロに溶けた冬弥だったものがあった。自分の体に纏わり付いた冬弥を見て、抑えきれない消失感と悲しみが涙となって溢れていった。
ーーー
数分後。気持ちを落ち着かせて、立とうとした時。自分の着ていた服のポケットに一輪の花が入っていた。いつの間に入っていたのだろうか。その花は白い彼岸花だった。そう言えば冬弥は彼岸花が好きだと言っていたような気がした。もしかして、冬弥が入れたのだろうか?その花を見ていると不思議と冬弥と重ねてしまう。幸せなあたたかい気持ちが溢れてきて笑みが溢れる。
「はっ、冬弥は粋なことを。」
そう言うとその声は風に乗った。急に視界が歪み始める。泣き疲れたのだろうか?俺はその場で意識を手放した。
ーーー
それからはあまり記憶が無いが、四宮さんだったものは遺族に引き渡されたらしい。
後日。学校では担任が四宮さんの死を伝えた様だった。
それからはまたなんて事のない日常が幕を開けた。
ーーー
数年後。
🥞
「えーっと、今何時だ?」
「うぉっ!ヤバい!遅刻する!」
とある日の朝。今日は出勤の日。遅刻ギリギリの時間に急いで会社に行く準備をして、玄関へ向かう。靴を履いて、玄関にある靴箱の上を見つめる。
「行ってくる。冬弥。」
花瓶に生けられた白い彼岸花にそう言って家を後にした。
ーーー
白い彼岸花の花言葉は「また会う日を楽しみに」「想うはあなたひとり」