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コメント
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やっばあぁぁぁい 今日リブートの代わりにこれリアタイしようって思ってたからうれちい えまじで好きすぎる
#天才が故に孤独な者
俺は自分で言うのもなんだが、天才だという自覚がある。
皆、天才になりたいと言うが、ならない方がきっと幸せだ。
天才に最終的に着いてくるのは幸せでも不幸でも、虚しさでも悲しさでもなく、孤独と寂しさだけだ。
俺の中での足りない部分も他の奴らにとっては何も問題がない。そんな風に聞こえるらしい。
何を達成しても、何度祝福されても、少しも満たされることはなかった。俺の心はいつだってからっぽだった。
何を聴いてもすぐに覚えてしまう。すぐに完璧をたたき出すことができてしまう。
このままどこかへ抜け出したい。誰も、辿り着けない場所に。誰にも求められない場所に。
俺は気づいたらどこか、路地裏に来ていたみたいだった。こんなとこに階段を作って何をしたかったんだろう?俺は珍しく好奇心に負け、階段を降りる。
重たそうな扉だ。あぁ……この扉を開けてしまったら俺は抜け出せるだろうか。そんな雰囲気だった。邪気なのかはわからないか、久々に分からないものに出会えて少しだけど、気分が良かった。恐ろしいな、好奇心というものは。
震える手で黒く、厚い扉を押し開ける。
そこには期待していたような何もない場所ではなく無音でもなく、重厚なジャズが低く流れていた。そこにあった看板には……The Black Lounge、、?と書いてある。
『いらっしゃい。ちょうどだ……』
よく分からないことをいいながらカウンターの奥から1人の男が出てきた。支配人の大森というらしい。そいつは目を細めると片眉をくいっと上げ俺を見極めるような視線を送ってきた。
なんなんだよ。こいつは。
『はいっ』
大森が青年の前に差し出したのはジュースでも酒でもなく墨のように黒い液体が入ったグラスだった。
『ここではあんたが求めてたたき出し続ける“完璧”なんて誰も興味がない。誰も見ていない。今の俺が欲しいのはお前が嫌う不完全で完璧なんかとは程遠い“絶望”だよ。』
その言葉のあと、大森がパチンっと指を鳴らすとステージの上に2人の影が浮かび上がった。
大森から『あっちが若井であれが藤澤だよ。』と説明を受けた。
そういうと若井という男性が近づいてきた。
『ふーん。君、つまんないね。やること全てが、君の存在ごとつまんない。』
なんだこいつは。何が言いたいんだよ。俺にはよく分かんないけど言ってきたことにはふつふつと腹が立ってきた。
お前らみたいなやつらが求め続けてきたものを俺は出してやってるだけだ。知識も、音楽も皆が求めた完璧を。
それをつまらないって?求めたくせに?
『聞かせてあげるよ…君の絶望の音を、、笑』
不気味な笑みを大森が浮かべた途端、耳を刺すようなバイオリンが聞こえてくる。
振り下ろされた弓が、空気を切り裂く。それは、青年が今まで求め続けられ、与え続けた完璧ではなく、全てのルールを覆し、これが正しいと言い聞かせてくるような、暴力的なまでの不協和音だ。
「いやッ”“……やめろ”“、、やめろよ”!!!そんな音はッ”“完璧じゃない、、!!!」
青年がその音から逃げるかのように手で耳を塞ぐ。でも、その手を押しのけるように耳に響くバイオリンの音、若井のギター、藤澤のキーボード。
大森がステージから下りて青年の目の前まで歩いてくる。
「なんだよ……、、完璧じゃない音を鳴らすなッ……”“」
大森が耳元に顔を寄せ、何かを囁く。
『だからぁ……求めてねぇってそれ。』
ハハハハッ……と青年を嘲笑うような笑い声をあげながらステージへと戻るように歩き出す。
大森がステージの階段に足を掛けた瞬間、音楽が一瞬止まり、Lonelinessのイントロが始まる。
まるでそれは青年の孤独を音メロディにのせているようだった。
ようこそ。皆さんThe Black Loungeへ。
また時計がてっぺんを回り、0時の鐘が鳴り響く頃に待っています。
それではまた