テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
バス の 窓 に 反射 した 君 の 寝顔
僕 は ぼんやり バス の
天井 を 見つめていた
穏やか に 緩やか に
僕ら は 今から 死 へと 向かう
社会 から 弾かれた 僕ら には
これ しか 手段 が 無い の だから
ふと 、君 の 手 を 握ってみる
手 を 握る と 同時に
じんわり と 温もり を 感じた
それは 君 が 生きている 事実 を
再確認 するには 充分 な もの だった
僕 の 肩 に もたれて 眠る 君 は 、
皮肉 にも 今まで で 一番 幸せ そう だった
やがて 、バス を 降りた
眠い 瞼 を 擦る 君 は ゆっくり と 歩く
それに 僕も 着いて行く
目的地 まで は まだ
少し 距離 が 残っていた
立ち並ぶ 電柱 と 陰気 な 町 の 向かい風
街灯 なんて 一つ も なく 、
日中 の 明るさ は 帰ってこない
冷たい 道路 の 傍 には
鼠 の 死体 が 落ちていた
沖縄 「 ねえ 北海道 」
僕 の 中 の 深淵 を 掻き消す 君 の 声
無邪気 だった あの頃 の 君 とは 違う
灰色 で 彩られた 声 だった
北海道「 どうした の ? 」
そっと 返事 を する
嗚呼 、僕 は 今 上手く 笑えている かな
そんな 事 を 頭 の 隅 で 気にしていた
沖縄 「 … 上手 に 生きれなかった ね 」
そう言って 苦笑い する 君 は
寂しげ な 気がした
北海道 「 … そう 、だね 」
詰まった 声
僕 の 太陽 みたいな 君 が
ここまで 冷たい 事 を 言うのは
なんだか 悲しかった から かな
なんて 、全部 僕 の 理想 か
君 は まだ 汚れる には 早い と いう のに
二人 の 間 に 流れた わずかな 沈黙
沈黙 を 掻き消したい かのよう に
僕 は 突然 言った
北海道 「 … もしさ 、生まれ変わったら 」
北海道 「 また 、付き合って くれる ? 」
沖縄 「 … ダメ な わけ 、無いよ 」
薄暗くて よく見えない 君 の 顔
でも 一つ わかる事 が あった
北海道 「 泣かないでよ 」
歩く 足 を 止めて 君 と 抱きしめ合った
今度こそ 、君は 本当に 壊れてしまった
そんな 気がして ならなかった
他愛 も ない 会話 を 交わす うち に
海 へと 着いた 、此処 が 僕ら の 目的地
磯風 が 海 へと 誘い込んで来る
草履 を 脱ぎ捨て 裸足 に なった 僕 ら は
再び 水平線 へと 歩き出した
水平線 の 奥 だけ が 、
夕暮れ の 朱 で 満たされていた
暗く 奥深い 夕暮れ に 溶け込む
海 へ 足 を 踏み入れる
海水 の 冷たさ は 僕ら を 死 へと 導いた
一歩一歩 歩く 度
少しずつ 深さ を 増してゆく
最初 で 最後 の 逃避行
沖縄 「 また 、来世 で 」
北海道 「 またね 、来世 で 会おう 」
夕暮れ に 死 が 吸い込まれる
暗い海 に 浮かぶ ニ人ぼっち の 水死体
このまま 手を繋いで また 死のうね
終
コメント
1件
最後に「また死のうね」と 言っているのは 実は理由がありまして… 自由に考察してくれたら 嬉しいな思います