念とは体から溢れ出すオーラと呼ばれる生命エネルギーを自在に操る能力のこと。
生命エネルギーは誰しもが微量ながら持っていますがそのほとんどが垂れ流しの状態になっていてその生命エネルギーを肉体にとどめる能力を”纏”と言う。そして”絶”字のごとくオーラを断つ技術のこと気配を消したり極度の疲労を癒す時などに効果がある。そして”練”通常以上のオーラを生み出す技術。
「あぁ」
3人同時に圧迫感を感じ思わず声が出る。これが念という能力なのだろう。
「でも嫌な感じはしないね」
ゴンがそう言うと関心したような目でウイングさんが言う
「それは私に敵意がないからです」
敵意あるなしでここまで違うものだと先で受けた嫌な気とは比べ物にならないと思った
「この能力を使いこなせる者は極わずかそれゆえ彼らは天才、支配者、超能力者、仙人、超人と呼ばれ特別視される」
「誰もが持っている力」
ゴンが言った一言が私の頭の中で残る。死をも覚悟した先の殺気は誰もが持ち得る可能性があるそれはとても私にとって現実味を帯びていなかった。
「そしてこの眠れる力を目覚めさせる方法は2つゆっくり起こすか無理やり起こすかです。ゆっくり起こす方法は飲み込みが早くとも半年かかります」
半年その期間はとても長く0時までに戻らなくてはならない私たちにとって選択肢は二つで一つ
「0時までに戻りたければ無理やり起こすしかない」
無理やり起こす。その言葉だけで難しさがひしひしと伝わってくる。
「それなら間に合うんだな?」
私が息を飲むのに必死になっていたときに兄が言った一言それは約3時間しか残されていない私たちにはとても重要なことだった
「君たち次第ですよ。時間内にオーラを体内にとどめるコツを会得出来るかどうか」
オーラを体内にとどめるということが上手く想像ができない。体でやって見せることを一生懸命頭で考えてしまっている。それが悪かったのかもしれない
「これから私のオーラを送ります。”発”と呼ばれるものです」
3人息を飲むこれから行う未知の物それはとても手足の先が冷たくなるものだった
「君たちの体を壊すのが目的では無いから手加減はするが荒っぽい方法であることは変わりない」
「要するにビックリさせて目覚めさせるわけですからね。眠っている体に喝を入れて纏を起こしやすい状態にするということです」
とてもわかりやすい説明。でも体のどこかで何がひっかかっている。
「君たちならこの方法で確実に目覚めるでしょう。それだけの素質がある。資格も」
「さあ荷物は下ろし上着も脱ぎ背中をこちらに向けてください」
何か力が込められる。でも何かが何かは分からない。生ぬるい何か銭湯に入った時の湯気が襲ってくるようなそんな感覚が私を襲う。兄の圧には比べ物にはならないがきっとこれを何倍何十倍にするとあの圧が完成するんだろう
「いきますよ」
ウイングさんの集中力が明らかに上がる。手の先に込められる力が尋常じゃなくなる。横にいるふたりのうめき声が聞こえる。でも私には湯気がお湯に変わったかもしれないがそれ以下でも以上でもない。
「今2人の眠っている体を起こしました 」
その言葉に私は衝撃を覚える。私の体は体温や代謝が上がった感覚しかない。2人きっと私のは開けないそういうことだろう
「2人?それどういうことだよ!君たちならこの方法で確実に目覚める素質があるって言っただろ!」
兄が放った言葉はウイングさんに言っているのかもしれないが不本意に私の胸を突き刺す。才能がないのかもしれない。念という未知のものに興味を覚えていた私には十分すぎる言葉だった
「落ち着いてください。私は2人の眠っている体を起こしたと言っただけです」
「だから1人は起こせなかったってことだろ」
「違います」
「へ?」
すごく情けない声。否定されるわけが無いと思っていた言葉が否定されるとここまで頭が回らなくなるんだと思った一言だった
「元々起きていたのです。アルア君は昔念を強く受けたり起こした記憶はありませんか?」
心当たりはなくはない。私の片割れの力を念というのなら1番身近で受けているのは確実に私だ。それでなくとも兄に一度ものすごい念のような物を浴びたこともある。
「なくはないです。でも体が起こされたような感覚に陥ったことはないです」
「そうですか、2人はどうですか?何かメキメキと力を感じるでしょう。それが生命エネルギーです」
2人の周りに煙のようなものがかかる。とても力強さや圧を感じるこれが念なのだろう。2人の念を感じて二度記憶を遡るが全く身に覚えがない。
「いいですか2人ともオーラを体内にとどめようと念じながら構えてください。」
無意識に後退り2人の様子を集中してみる。
「目を閉じて!」
ウイングさんが覇気のある声でそういうと2人は目を閉じ全集中する。2人の集中が均等に全身に渡り雫が落ちるような瞬間があった。その瞬間2人の念はピタリと体に密着してさっきまでメキメキと出ていた念が収まる。その瞬間ウイングさんが息を飲む音が聞こえる。きっととてもすごい事で同時に恐ろしいことなのだろう
カツカツという足音を立て200階の受付に向かう。緊張感が走る。お兄ちゃんとゴンはウイングさんの念に耐えることができここに立っている。私はなぜこの場にいるのだろう体が起きた状態だからと言って念を使えるわけでもお兄ちゃん達のように念をピッタリ体に纏わりさせ纏をできる訳でもない。
「ん?」
さっきと同じ位置に男がいる。暇を潰すためかトランプが対面にある壁に刺さっている。廊下の一つ一つの異変に息を飲む
「ふーーん」
その言葉で念が飛んでくる感覚がする。兄とゴンが突き進んでいく、それを見て拙い足を動かし兄とゴンの後ろをついて行く。男はにやけ顔でこっちを見てくるまるでおもちゃやペットを見るように
「200階クラスへようこそ」
その言葉で肩の荷が降りる。私の事は触れないで欲しいと同時にどこかに腰掛けたいその欲求が前に出てくる。正直2人を追いかけて200階にいるが正直200階に興味はない
「君がここに来た理由は想像できる。ここで鍛錬して僕に1発入れる気なんだろう。念は奥が深い纏を覚えた程度の君と僕は戦う気はない」
彼は念で犬なのか猫なのかよく分からないものをお絵描きをしながらそう言った。
ゴンはとても悔しそうな顔つきをしている。理解はできるが今の実力差じゃ戦っても彼を1歩も動かすことが出来ないだろう。
「念で練ったブタ可愛いだろう?」
「猫や犬かと思った」
ブタだったんだ。何も考えず驚きで思わず突っ込んでしまった
「ふふあははは」
気持ち悪い笑みを浮かべる彼は廊下を後にしようとする。私の事はもういいのだろうか。まず初対面なのだからまだ早いの中にまず入っていなかったのかもしれない先走っていたのかもしれないという考えがよぎる
「君は元々合格だ。俺の念を浴びた状態で動いていただろう?それに纏も使えないのに俺の元へ歩いてきてる時点でおかしいんだ。」
「能力を使いこなせるようになったら戦いたいねえ」
記憶を遡る。舐められるような視線を浴びた瞬間たしかに私は後ろに飛び逃げようとした事を思い出した。
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