「先日、蒼のやつがイポクリジーアのやつにあった」
「本当なの、それ…」
ひらりとフェルマータ、二人しかいない談話室で、二人は会議をしていた。
「ああ。俺は止めたんだがな…でも、完全にあいつはイポクリジーアが善人たちの集まりの組織だと思ってしまっている」
「まあ、普通はそうよね…ニュースでも、嘘ばっか言ってるんだから」
「ああ…どう対策する?」
「フェルマータ。これからは、蒼くんに一切イポクリジーアのことに関わらせないように、お願いね」
「わかった」
今日は久々に練習の成果を果たすとかで現場に行かされるんだっけ…?えーと、誰と…?
天羽琉希…?聞いたことない名前だなぁ…?
「はーいちょっと遅くなってすみませーん…えーと今日の仲間誰だろ…?女の子がいいなー」
なんかやばい人きた。
え、あの人が天羽さん…?なんか想像と違うんですけど。名前からして純粋な人かと思ったのに。斗癸さんと同じ系統じゃん。
「えー?もしかして君?はぁ、なんだ男かぁ…」
「すみませんね。凪野蒼っていいます」
「あーあ、鶫ちゃんがよかったー」
拷問科教官をちゃん付けで呼んでる…?
「俺だってあなたみたいなクズと仕事したくないですけどね」
「はぁ?さっさと終わらせるぞ」
「はーい」
なんかいちいちムカつくな…はあぁ…
「今日のターゲットは…20代独身女性、メデューサ…メデューサって石になるやつだっけ。そんなんが現代社会にいるとか、マジ怖ー」
「…」
しっかり防御魔法張っとこー…
ついたのは一軒家。珍しいな、独身女性がこんなところ住んでるなんて。安かったのかな?それとも前に住んでた住民を石に…?
怖い想像をしてしまった。うおぉ…。
ピーンポーン
天羽さんがインターホンを押す。そしたら、やさしそうな女性の声が聞こえてきた。とてもメデューサとは思えない。
「どなたですかー?」
「ちょっとお姉さんにお話がありまして〜。怪しいものじゃないんですよ?」
見るからに怪しいです。俺が女性だったらこんなチャラいクズっぽそうな男、絶対怪しいって思うもん。
「家まで来てナンパですか?警察呼びますよ」
ほらぁ…。
「はーぁ…なるべく穏便に済ませたかったんですけどー。凪野、乗り込むぞ」
「え、ええっ!?そんな、物騒な…」
「3,2…」
これ俺も共犯者になっちゃう感じかな。
「1…破壊魔法〈ツェアシュテールング〉」
「ちょーっ!!」
お姉さんの玄関が完全にぶっ壊れた。お姉さんなんかだんだん髪が蛇化してない…?え、ぼ、防御魔法…
「よくも私の家の玄関を!!あんたたちあっち側の人間だったのね…わかったわ!きっとマジカルシークレットの…」
お姉さんが鬼の形相でそう言いかけたところ。
「お姉さん。そんなに怒っては、せっかくの美人が台無しですよ」
「えっ…」
「えっ!?」
天羽さん急に紳士みたいになったんですけど!?いや、これはナンパ師だ…もう商売としてやっていけそうなレベルの。
「そ、そうかしら…」
「そうですよ、お姉さんは僕が今まで見た中で一番綺麗な女性です」
「あ、ありがとう…」
お姉さんは顔を真っ赤にし、髪も表情も、普通になった。
あ、これは落ちたな…恋に。
「ちょっとこれを飲んでみてくれませんか?」
「え?いいですけど…」
それって、まさか、毒…
「…ゔっ、あぁっ…!」
「普通の人間になる薬。お前の寿命はとっくに尽きているはずだ。間も無く死に至るな?イポクリジーアに呪いをかけられたものの。これは彼岸花と鶫ちゃんがつくったものだから、効果抜群ー」
「な…騙しやがって…このクズ…!」
うん。言ったことは間違ってない。俺もそう思った。
この人なんで誘惑科に入らなかったんだろう…絶対向いてると思うのに。
あ、でも彩さん誘惑科にクズは絶対入れないっていってたような…??
その日は、これにて任務終了でした。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!