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「おっそ…はあぁ…」
マジカルシークレット掃除科教官、岸は椅子に座りながら待ちくたびれていた。
「あれ?フェルマータまだ来ないの?あ、一緒にカレー作る?材料買ってきたんだけど」
「え、あー…やめとく。彩料理下手だし。やばいもの作るじゃん」
「酷っ、何も本人の前で言わなくてもいいじゃん。じゃ、鶫におすそ分けしよっと」
「拷問の道具にはいいかもね」
そう小さく言ったが、彩には幸い、聞こえていなかったようだ。ちょっと安堵する。
そんな私が待っているのは、フェルマータ・ボーンである。
もう小一時間は待っているのだけれど…絶対来たらしばき倒してやる…
「遅れたーー。岸ー?」
「遅れたーじゃないんだよフェルマータぁ!小一時間も待ったんだけど。殺すよ?」
「あぁ?」
「まあまあ二人とも喧嘩しないのー!ほら、一緒にカレーつくろ?」
「「それは絶対やだ」」
声が被った。
「早く行くよ。あ、小さいから遅れてきたのー?」
「はぁ!?あいつだって小さいだろ!」
「二人の喧嘩に巻き込まないでくれる?はーぁ、鶫ーー」
と、完全に拗ねて彩は拷問室へ向かった。
私も行こうと立ち上がる。
「えっと、ここ、マフィア事務所?ここに乗り込むのかー」
「そうらしい。こんな扉、魔法を使わなくても蹴れば壊れるだろ」
「私を誰だと思ってるの?」
バァン、と大きな音を立てて私は足で扉を蹴る。
案の定、すごに壊れた。なぁんだ、大したことないじゃんか。ほんとにここにマフィアがいるのかぁ?
「あぁ?ここはお前みたいな嬢ちゃんが入っていいところじゃねぇんだよ。その扉どうしてくれるんだ!」
「じゃあもっと頑丈なのにすればよかったのに。あっさりすぐ壊れちゃったりして?」
「岸。こいつら魔法使わなくてもいけんだろ?」
「もちろん」
私は魔法全般はもちろん人並みに得意だけれど、マジカルシークレットの中で一番体術にも優れている。
あんまり魔法を使うことは…あるにはあるのだが体術をパワーアップさせたり、援護したり、そんな感じの使い方。
「こっちは大人数いるんだぞ?嬢ちゃん一人で対処できんのかぁ?」
「舐めてもらっちゃ困るなぁ?」
「眼帯なんかしやがって。生意気なんだよ!!」
「生意気?私はマジカルシークレット掃除科教官、岸だけど?」
「はぁ!?あのマジカルシークレットの教官がこんなガキみたいな女なんて、嘘に決まってんだろ!?」
「失礼だね。私より小さいやつもいるんだけど。もういい?最後に言い残すことは?」
「舐めんなよぉぉぉぉーーー!!!」
大人数の男たちが向かってくる。私とフェルマータは、まほうを使ったり殴ったり蹴りながら、一人ずつ片付けていく。
「で?もう一度聞くけど、最後に言い残すことは?」
「ぐっ…」
「あんたたちは生かしておくわけにはいかないわけ。わかるでしょ?」
「てめぇ…イポクリジーアに言いつけて…うぐっ!!」
「その前に、生きて帰れると思ってたの?」
「…!!」
私の眼光に、すぐに怯えちゃって。
面倒臭いから、そいつは一瞬で跡形もなくしてやった。そのあと掃除をして、帰る。
マジカルシークレット本部。
「え、彩…?カレーにさくらんぼをいれるの…?」
「えぇ?美味しいんじゃない?ちょうどもらったから」
「あとこれも、カレーに入れるものじゃ…」
案の定、本部へ帰ると彩と鶫が変な色の液体が入った鍋をぐつぐつと混ぜていた。まるで魔女のようだ。
どうせ、彩が変なものぽいぽい入れたのだろう。あの二人ちょっとやばいし…
と、いうわけで台所の掃除…後始末は私がやることになってしまったのでした。
「はぁ…フェルマータ遅いなぁ…」
俺はフェルマータを探しに、街へ出ていた。
けれどどこにもいないから、もう家に帰ろうと思った。
すると、後ろには黒い影が……