テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
歯車の回転。
大量の。
何かの機械かもわからない。
ただ頭が重い感触がする。
今、私の中で大量にそれがたくさん回っていて気が休まるない。
実に困ったことが起きた。 安音先輩とまさかデートすることになってしまうなんて夢にも思っていなかった。
今日は金曜日、、、いよいよ明日になる。
待ち合わせ時間指定なし
場所指定なし
安音先輩の好み未通達
これは私の最初のデートにして最大の山場となる。
私に完全委託のデートーー安音先輩の私への印象を左右する大事なものだ。
デートとは一体何をする、、、?
私の中の歯車がさっきよりも回転を早めているのが自分でもわかる。
オーバーヒートして停止しそうなくらいに。
水族館?動物園?
いや、私の趣味は聞いていない!
レストランと言おうにも、安音先輩は多分お嬢様系の人だからファミレスなんて退屈だろうな。
海デート!?
いや、まだそんな親しくないし今はまだ春!
他には何かないかと私はスマホを出し、Yahooを開き、検索欄にデートスポットを検索しようとした途端。
(お、トップニュースに仮面戦士の映画公開!?これはいかないとですわ!仮面戦士1番が出るんだぞ!?)
あーいけないいけない、こんな男の子の好きなもん丸出しだったら安音先輩がドン引きになって
私に引いて別れ話を切り出すと自分でも思った。
「ん? 」
私は頭の中で何かが引っ掛った。
それは全身にまとわりついた蜘蛛の巣を取るための鋏でも見つけたような、、、
私は勝利の法則を掴んだ!この仮面戦士デートにすれば安音先輩は
私のオタクぶりにドン引き +ヤバいやつ認定=別れる
突然、何かを思いついた悪役みたいに私の顔が少し歪んだ。
安音先輩には悪いが私には恋愛は早すぎたみたいです。
安音先輩にはもっといい男の人がいますので私とは別れるべきですよ。ホンマに。
よし、そうと決まれば早速安音先輩に連絡だ。
私はYahoo!を閉じてLINEを起動する。
私は永野安音との会話を開き、チャットを入力をする。
「安音先輩、デートですけど、」
すると私が瞬き一回した間に
「ん?どうしたの?」
早い。瞬きは約0.1秒ほどの時間、
即時返信ができるということはあらかじめ入力する文章を決めていたんじゃないか、あるいはエジソンみたいに1万通りの予想を見つけているのか。
もちろんその1万通りの予想をすることはある意味
すごいんだけど残念美女の鏡だな。だって私みたいななんの取り柄もない普通の女の子と付き合ってるんだもん。
「あの、好きなデートスポットってありますか?」
すると私が外を3秒間向いた後
ピコン!
と、LINEの通知音が一回
「春花ちゃんの好きなとこでいいよー」
相変わらず返信が早い!!!!
「じゃあ、、、仮面騎士の映画でもいいですか、、、?」
そして私が試しに愛猫のウラヌスちゃんの方を見るとその6秒後
ピコン!
一回なったLINEの通知音。
私が目線をスマホに戻す。
「いいね!でも私は仮面戦士全く知らないからちゃんと予習しておくよ、」
「わかりました。待ち合わせ時間は何時ごろにしましょうか。」
私が目線を地球儀を模して中2の時に作った土星儀に目を映す。
相変わらず惑星内でも主張が強いな。
10秒
すると、
「春花ちゃんが決めていいよ!まぁ、私その後に塾行かないとだから4時前には終わるようにして!図々しなぁ私、」
返信が早すぎる!そして謙遜までしている律儀さ!
なのにこのスピード!
仮面騎士の中盤あたりの変身か!?
変身も中盤あたりから色々省略されて早くなるけど!
そうこうしているうちに時間はもう21時。私には深夜だ。もう寝よう。
私はスマホを勉強机に置いてベットに身を任せる。
徐々にうとうとしていき、
あー天国。。。最高。。。
ーーーーー
チチチチ…….
スズメの囀り心地いい、朝を象徴する音。
私がベットから体を起こして向かうところはいつもは台所。
だけど、、、今日は洗面所
いつもはルンルン気分で下に行くけど、なぜか私は今。徴兵検査に行く人みたいな顔つきになって下に降りている。
さっき、お母さんとすれ違ったらまるで目の前でたかるくじが当たったぐらいに目をカッピラいて
二度見、三度見、、、四度見された。
顔を洗い、眠気を完璧に吹き飛ばす。
次に髪にワックスを塗ってツヤを出し、オイルを塗ってパサついた髪を整える。
化粧道具は持っていない。だから髪型が命となる。
次は手だ
ささくれを綺麗に取り、手にクリームを塗り潤いを与える
よし、完璧だ。後はしらね。
次は服装だ。
私はインドア派だから服装なんて何も気を使っていない。
白のTシャツを着て黒のパーカーを上に着る。
少しでもおしゃれしようと、シャツは出す、、なんか恥ずかしい、
いつもはちゃんとする私なのにな。
下はジーンズ。ベルトを締める。
そして黒の靴下を履いて黒の肩掛けカバンを下げて財布、スマホ、後、携行食に万が一のための医療の本も持っていく。
そして私は朝食に食パンを一斤焼いてバター塗って目玉焼きを挟んで済ます。
よし、行くぞ。
私は玄関に行き運動靴に足を通す。
行き先はイオンの3階にあるイオンシネマ。
現在時刻は 午前8時00分
出発時間 午前8時
帰宅予定時間 午後 3時45分
連絡先 ×××ーー⚪︎⚪︎⚪︎
行き先 西のイオン
と、そっとメモを残す。
こっから西イオンまでは電車で約2時間ほど
上映予定時間は10時30分
待ち合わせ予定時間は
私はまず。車庫に行ってチャリの鍵を開ける。
そしてチャリの鍵を開錠。
そしてヘルメットを被り、里坂駅まで飛ばす。
里坂駅までは約15分ほど、
急ぐぞ。
里坂市は周りが畑、畑、田んぼ、田んぼと緑で豊かなところだ。
やっぱり田舎は空気がおいしい、
この辺りは、私が小学のことから通っていた道だ。
まっすぐ進むと横断歩道のそばにある駄菓子屋さん。数キロ先に進むとある豆腐屋さん。
どれも今まで行かなかっただけでこんなに遠くに感じていたことに自分でも驚きを隠せない。
そしてそこを曲がり数百メートル走ると私の母校の小学校そしてさらにまっすぐ行くと
駅に着く。
私が学校前を飛ばしていると。
「あれ?春花さん?」
「え?」
私が声の主の方向を見るとそこには
「恵美子(えみこ)先生!?」
「久しぶりですね。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
私と先生は丁寧にお辞儀する、これは私と先生の決まった魔法の挨拶だ。丁寧だけどもちろんおふざけというやつ。
佐久間恵美子先生は私の恩人の一人だ。
小6の時、私がいじめられているのを助けていじめっ子二人に厳罰を下してくれたからね。
「これからどこに行くんです?」
「その、、、デートというやつで。。」
先生になら私はどんな秘密でも言えちまう。
この人は心療内科医なんじゃないかって思う。
「えー?いいですねー誰とです?」
「その、秘密です。。」
「へー大事にしてくださいよー?」
「はーい」
そして私は先生と別れ、再びダッシュでペダルを漕ぐ。
やがて広々としたところにポツンとある駅舎に差し掛かり
私は駐輪場にチャリを停める。
そして券売機に切符台を入れ
ホームへと駆け上がる。
そして数分後、、ホームが少し賑やかになり
アナウンスが入った30秒後
電車がホームにスライドインしてきた。
私は電車に乗り、近くにあった席にカバンを抱えて座る。
目的の駅までは約35分ほど、それまで何をしようか、、、?
イヤホンで音楽は非常識だと思うし、
スマホで何かを見る、、も、非常識だし、、
頭の中で歌うか。
空想の中という制約を破れば電車内でカラオケをしていることになると思うと興奮を禁じ得ない。
電車は一定のリズムでガタン、ゴトンと揺れている。
その揺れに合わせて、私の中の歯車も、少しだけ回転を落とした。
……はずだった。
スマホが震えた。
ピコン。
反射的に画面を見る。
「もう家出たよー」
早い。
いや、早すぎる。こんなのカワセミが魚を獲る速度より速いぞ
(え、安音先輩……待ち合わせ時間決めてないよね?)
(というか、私はまだ電車の中……)
「私は今、電車です」
送信。
既読。
そして、例によって瞬殺。
「私も!奇遇だね」
奇遇ってレベルじゃない。
むしろ怖い。
(この人、GPSでもついてるの?)
(それとも私が考えすぎ?)
画面を伏せる。
考えたら負けだ。
窓の外を見ると、田んぼの景色がいつの間にか住宅街に変わっていた。
時間はちゃんと進んでいる。
なのに、心だけが置いていかれているみたいだ。
……2時間。
今は、
短すぎて、 長すぎて、 よくわからない。 これから先、 映画を観て、 隣に座って、 同じ画面を見て、
同じ音を聞く。 それだけのはずなのに。
胸の奥で、
あの“何か”がまた、もぞっと動いた。 引き返せない。
もう、完全に。
やがてアナウンスが流れる。
「次は、黒磯 黒磯です」
心臓が、一段ギアを上げた。
私は立ち上がり、カバンを持ち直す。
深呼吸。
(落ち着け、春花)
(これはデート)
(解放のための一つの試練。)
電車が止まり、ドアが開く。
ホームに降り立った瞬間、
私は気づいた。
……あ。
人混みの向こう。
背筋がまっすぐで、
しわひとつない白の薄いタートルネックに紺色のロングコートピンクのロングスカート黒のタイツを履いて黒のローファーそして黒のショルダーバックを肩にかけてきた。
見慣れた姿。
安音先輩が、
こちらを見て、手を振っていた。
「春花ちゃーん!」
安音先輩があんま大声で言うせいで周囲の人の注目が私に集まってくる、
私は顔を隠しながら安音先輩の元に近寄る。
「昨日ぶりだね。春花ちゃん、春花ちゃんの好きなものちゃんと予習してきたよ!」
「あーそれはどうも、、、」
私達は駅のホームから階段を下り、西側に少し歩く、するとデカデカと存在感を放つショッピングモールが見えた。
駐車場を渡り、 イオンの入口を抜け、広い通路を歩く。
私は少し早歩きで、安音先輩に追いつかれないようにしながらも、緊張で心臓がドクドク鳴っている。
「こっちだよ、3階ね。」
安音先輩の声は相変わらず明るくて落ち着いている。
一方私は、歩くたびにバッグの紐が肩に食い込みそうな感覚にドキドキが混ざる。
映画館の自動ドアを抜け、チケットカウンターへ
安音先輩は迷わず
「高校生二枚、、、車の利用なし、イオンシネマ会員ではない、座席は、、最後列から3番目あたりに二人座って楽しめそうだから、、」
私は思わず心の中で、
「すごい……普通に完璧」と呟いてしまう。
チケットを手にした私は、エスカレーター横のベンチに腰を下ろす。
横を見るとガチャガチャがたくさん置かれていて、メジャーからマイナーまでいくつも揃っている。
ここで上映開始までの数分間、二人きりの時間が生まれる。
私がチラリと安音先輩を見ると、メモ帳を開き、熱心に何かを書き込んでいる。
その姿はまるで10月辺りに電車で見かける大学受験生
「仮面戦士」
さっきまでの安音先輩の声のトーンが2段階くらい落ちた。
その思わぬ声からヒシヒシと感じる圧に私は半歩後退する。
「作者、岩森勝太郎(いわもりしょうたろう)デザインは昆虫のバッタを模して作られており、複眼昆虫のような体付きをしている。初期の変身者は藤田浩(ふじたひろし)さんの演じる
西郷豪(さいごうたけし)。敵のシャッカーにより改造人間にされ、仮面戦士に変身することが可能。それ以来約40年ほど続いている特撮シリーズの一つ。」
(すご、、こんなのwikipedia、いや、それ以上より詳しく説明できている。)
私は安音先輩の説明に口をアルファベットのOにしながらその場に立ち尽くした。
ガチでこの人、なんでもできるな、
と心の中で思わず感心しつつ私は安音先輩の方を見ると、メモ帳がいつの間にかなくなっていた。
全部暗記なのかと思うと、なんか、心が跳ね上がった感触がした、
「今の仮面戦士のストーリーを暗記しといたよ。」
安音先輩に表情がまた強張る。
「仮面戦士ソウル。主人公は神社 の神主の息子、海王寺タケル(みおうじたける)1話で本作の敵ベーターに倒され仮死状態のソウルになって、15個のソウルコアを集めて復活を目指すストーリーだよね?」
あまりの凄さにもう言葉が出なくて
仮面戦士剣(かめんせんしソード)の剣崎信治郎が自分の体が崩壊していると知った時みたいに一時放心状態になった。
すると安音が腕時計を確認する。
「あと、1時間半か、、」
すると安音先輩は少し顔を顰めて辺りを見回す。
「今はフードコートはポップコーン等を食べる場合、NG。軽食に1階にあるソフトクリームとかを取るのもいいけど、、
シアターの前にあるゲーセンコナーとホビーコーナーなら所要時間はおそらく一番遠いエリアのところからでも5分以内。それにゲームコーナーやホビーコーナーなら春花ちゃんでも楽しめると思うし、、」
と何かを一人で呟いているけど、それは恐らく頭の中にスパコン(スーパーコンピューター)でも埋め込まれていそうな、計算が瞬時にでき、臨機応変が得意なJRの統括指令長みたいだ。
「春花ちゃん、時間潰しにホビーコーナーやゲームコーナーを回るなんてどう?」
安音先輩の観察中に不意に話しかけられ思わず私の肩がまぐろみたいにぴょんと跳ねる。
「あ、、、じゃあ、ホビーコーナーを見てもいいですか、、?」
「OK!行こう!」
すると安音先輩は私の手を引いて入口に連れていく。
「おぉ!これは!?」
私は思わず入口近くのものに吸い寄せられる。
「仮面戦士ハンドルのバックルさんじゃないですか!?ひとっ走りに付き合ってもらいましょうかねー!?」
早速、安音先輩の私の評価幻滅作戦(もちろん、別れてもらう作戦を諦めたわけではない)を実行する。
さぁ、これで安音先輩は私がオタクと知って大打撃を
「あー主人公の刑事。柏木信之助さんと、バックルさんだね、二人は最高の相棒だよねー。」
突然、自信があった作戦が敵国による圧倒的な戦力で駆逐艦や巡洋艦を100隻くらい失ったと知った司令部の顔をせずに入れなかった。
だが、ここで折れたら負けだ。
私は恋愛には向かないんです!
「これは、、仮面戦士剣の、、」
「オンドロロウラキッランテスカー」
「へ?」
その言葉に私はカエルでも飲み込んだんじゃないかってくらい声が5段階くらい低くなった。
「当時の録音環境が悪くてそう聞こえたことでネットミームになったんだよね?」
この人、、悔しいけど私より一枚上手だ。
「それは、、、私でも知りませんでした、、」
すると安音先輩は一瞬意地悪そうに微笑み
「ふふっ、やったー!春花ちゃんに勝っちゃった!」
だけどここで私にはなんか、少し引っかかった。なんかこう、モヤモヤして、
妙に向上心が出てくる。
これは、ある意味“悔しさ”なのかも。
「安音先輩!なら私とライダークイズ出し合いしましょうよー!」
「ふふっ、」
突如の安音先輩の可愛い微笑みに私は一瞬動揺する。
「な、何がおかしいんです、、、?」
すると安音先輩は目をこちらに向けて可愛らしい笑顔で
「いやー春花ちゃんって熱心で負けず嫌いなんだなーって。」
すると再び目を細めて少し背を前のめりにし、上目遣いで私を見てくる。
「も、もう、、」
すると安音先輩は再び微笑んで私の手を引いてベンチコーナーに連れていく。
「春花ちゃんに第一問。初級だよ。仮面戦士エイドの主人公は?」
「わかりますよ?氷室正紀ですよね!」
「せーかーい」
私は心でガッツポーズをして
安音先輩を見る。
「じゃあ、その氷室さんを演じた人は?」
「知ってるよー?“市野淳”(いちのじゅん)さんだよね。」
「せいかーい」
「負けないよ!」
「こっちだって負けません!」
そうやってクイズをしていると、、
突然 スマホのアラーム音が鳴る、
「やばい春花ちゃん!上演開始30分前だ!!春花ちゃん!ポップコーンいる?何味?そも他スナックは?飲み物は何がいい?」
と、走りながら会話してくる、普通は記事取るのも大変なのに
「あーじゃあ、塩で、飲み物は炭酸系にしましょうかね?ホットスナックはチュロスとかに、、
あ、安音先輩は?」
「えー?私も塩味で飲み物炭酸系にしようかな?」
安音先輩は、もしかしたら、、
「春花ちゃんはそこで待ってて。トイレも行っておいてね、」
ここまで何かがあるのかもしれないな、、
「春花ちゃん!準備完了!トイレ行くから待っててね。」
それが何かは知らない、けど、いつか知れたらいいなと、
密かな願望を私は胸にしまっておきながら、上映館に入る。
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