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琴寧
38
#織田信長
常陸之介寛浩
173
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~甲斐国・躑躅ヶ崎館~
「……あれ以来、侵入者は?」
武田信玄が尋ねると、山本勘助はすぐに答えた。
「はっ、おりませぬ」
「おそらくは……諏訪の反対派らの仕業だったのであろうな……」
信玄は、顎に手を当てながら呟く。
「頼重殿の件で恨みを派手に買ったからのぉ。」
「……果たして、本当にそうでしょうか。」
勘助は、険しい表情で答えた。
「……ふむ?」
信玄が、わずかに眉を上げる。
「嫌な気配がいたします」
勘助は周囲を見渡した。
「すぐに調べ――」
その瞬間。
勘助の頭に、激しい頭痛を伴う声が響いた。
「……ぐっ……!」
勘助は、思わず頭を押さえた。
「……! どうした、勘助!!!」
信玄が、驚いて声を上げる。
「……なにか、声が……したような……」
「声なんて、しなかったぞ」
信玄は、勘助を心配そうに見つめる。
「……勘助、もしや病にでもなったか???」
「いえ……某は、ピンピンしておりますよ」
勘助は、頭痛を堪えながら答える。
「で……そのようなことより……。」
「やはり、調べた方が良いかと……。」
「うむ……気持ち悪いからのお。」
信玄は、頷いた。
「お前に任せた、勘助!」
「はっ……命にかけて!!!」
ーーーーーー
「ふっふっふ……」
どこかで、正蛇の声が響く。
「我にかかれば、造作もない……」
「あの“協力者”も、我が干渉しなければ……」
「おそらく、あの男が使う忍びに殺されていた」
「さあ……共に芽吹かせようではないか」
「“方円殿”???」
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~小笠原領・???~
「もうしばらく、ここで待てば良いのだな」
小笠原長時が尋ねる。
「はい……」
方円は、静かに頷いた。
「だが……信玄や山本勘助、真田幸隆等の知恵者に、気づかれないだろうか……?」
「ご心配には及びませんわ」
方円は、穏やかに微笑む。
「その点も、既に対処しておりますから」
「…………そうか」
長時は、少し考え込む。
「あとは、つまり……」
「ええ」
方円は、まっすぐに長時を見つめた。
「勝つだけですわ」
「何もご心配なさらなくて良いのです。」
「あの男を叩き潰すため、抜かりはありませんわ。」
「……何故だろうか。」
長時は、方円を見ながら呟く。
「数日前に会ったばかりだと言うに……。」
「何故か、本当にその通りになる気がする」
そして、静かに頷いた。
「わしも、覚悟は決めておる」
「頼んだぞ、方円殿」
「はっ……おまかせを!!!」
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この時……信玄達は、まだ気がつかなかった。
狂気の蛇が、暗躍していることを。
“気がつかれぬよう”仕向けられていることも。
大きな戦へと繋げるための――
芽吹きが、始まっていた。
コメント
1件
ああ、第八話読み終えました……! 正蛇が勘助の頭に直接響かせたあの声、すごく不気味でゾッとしました。「記憶をいただく」って契約の内容がまだ見えないけど、じわじわと狂気の蛇が暗躍している感じが怖いです。信玄たちがまだ気づいていないところも含めて、タイトルの「芽吹き」が静かに始まっているのがゾクゾクします。方円殿の余裕ある微笑みも、逆に不気味で……続きが気になります!✨