──────菓子さん視点──────
メテヲさんが、そう。一言。『公平』と言った瞬間、後ろで待機していたぐさおさんの手から天秤が現れる。そして──────
「こちらが3人なのは不公平である。代わりに人数分の力を得させてもらう。」
天秤は右側に傾いており、ぐさおさんがそう宣言すると、天秤はつり合う。その瞬間、その刹那の間。目の前には刀を構えたぐさおさんがいた。
「───ッッ!!!」
私は大樹を目の前に生成し、物理的にぐさおさんとの間に壁を作る。───が、大樹は紙の如く簡単に切られ、私の首元を切られる。
ズザッッ
そんな軽い音だと言うのにそれは私の首にはっきりと傷跡を残す。すぐに回復すると思ったが、明らかに傷の治りが遅い。
どうやら早々に手札を切らなければならない。
「『正義執行』!!!」
私の1つ目の能力である『正義執行』。それは強制的に私の空間に引きずり込む───はずなのに。それは不発に終わる。
「くッッ!!!」
それもそのはずだ。焦りで気づかなかったが、既にここは相手の空間なのだ。いくら自身の空間を作り出そうとも、神が作り出した空間にかなう訳ないのだ。能力は不発に終わったが、別に空間を作り出すだけではない。私の能力の強さは。
「撃て」
───圧倒的物量。
私の背後には私の数倍は大きいであろう銃と小型のナイフが数百、数千と並び、私の合図とともに、ぐさおさんに対して集中砲火される。どれだけ早かろうとも避けることが出来ないものは避けれないのだ。───しかし、ぐさおさんは何事もないかのように平然のように私の前に立っていた。
「お覚悟ッッ!!!」
その瞬間、私では無い何かが斬られた。
まるで、体の一部だけを削ぎ落とされたかのような。そんな不快な感覚。しかし、痛みも、外傷もない。しかし、事実斬られたのだ。私は何が斬れたのか認識できない。
「はッ?何を斬った……?」
私は思わずその言葉を漏らす。ぐさおさんは無表情で天秤を見つめる。馬鹿だ。敵の前でそんなことを確認するなんて。それとも、それほどまでに私の相手は暇か。そう思いながら、また、『正義執行』を行う。
「撃て」
しかし、私が命令した銃やナイフが現れることは無かった。私は確信する。斬られたのは体の一部ではなく、魂。そして、能力が切り落とされたのだと。
「不公平でしょ?あなたは能力が2つもあるなんて。」
そうゾッとするほどの圧を感じると言うのに、ぐさおさんは表情ひとつ変えようとしなかった。
言われてみれば、と言った感覚。能力が2つなんて私の中では当たり前のことで。その事で不公平差を感じることは無かった。───下から見た自分なんて考えたこともなかったのだ。いや、ある。あるにはある。しかし、それは外見や性格などででしかなく、生まれ持った才能を他人と比べようとしたことがなかった。
「後ろがガラ空きなのよ!」
その瞬間、ぐさおさんさんの背後から湖のような透き通った水色の髪をカールさせた女の子の天使が現れる。手には弓矢を構えており、すぐにでも打てる体勢だった。天使軍の援軍、だろうか?そんなことを思っていたが、そいつはぐさおさんによって斬られる。
「ガハッッ!!!」
「警戒してるに決まってるだろ。舐めないで。」
その斬られた女の子ははらりと粉々になって消え、代わりにくま耳の男の子が現れる。───そう、ぜんさんだった。
「───ねぇ、不公平だと思わないですか?お前だけ食べた相手の魂を体に宿らせることが出来るの。」
「思わない。そのせいでぽれは散々痛みを知ったのだから。対価は払ってる。上辺面で判断するな。」
ぐさおさんの追求にぜんさんは冷静に、そしてはっきりと答える。目には真剣の2文字が宿っていて、その眼力の強さは相手を眼力で殺してやる、とでも言ってるかのようだった。
「そう。でも───2対1は卑怯でしょう?」
その瞬間、私とぜんさんは宙に浮く。そして、黄金色の器のようなものに別々に入れられる。当たりを見回せば、そのふたつの器を支えるように中心に棒があり、それに対して垂直に私たちの器は浮いていた。
それは天秤だった。
「私は悪魔ほど卑怯では無いし、天使ほど優しくもない。」
ぐさおさんは淡々と”これ”について語る。その黄金の角が、その純白の翼が、その光のような瞳が、その闇よりも深い瞳が、その恐ろしいほど無表情さが天使と悪魔をそれぞれ象徴していた。
「説明してあげます。それは見ての通り『天秤』。どちらかが傾いた瞬間、傾いた方が絶命する。」
そう言って、ぐさおさんは私たちに視線を合わせるように宙に浮く。
「だから、あなた達が生き残るためにはどちらかに偏らせないといけない。偏らせる方法は傷の数。ちなみに。私はこの天秤の間、絶対に死なない。あなたたちは味方のためにもさっさとどっちが犠牲になるか決めてあげなさい。」
ぐさおさんが、今、会って初めて。笑みを浮かべる。しかし、それは気持ち悪いほど狂気的な笑みだった。
「あなた達のような罪人が絆だかなんだかに惑わされる姿を楽しみにしているわ」
そう言って、ぐさおさんはメテヲさん達の援軍へと赴く。
私とぜんさんはお互いに見合う。
あぁ、そうか。ここは神が創造した地であると同時に天使達の空間でもあるのか。───私は自身の空間を展開できないのに、相手はできる。何故ならばあちら側の土地なのだから。地上とは訳が違う。
仲間同士の争いが始まってしまう───
ここで切ります!いやぁこれからどうなってしまうのか!誰が死ぬのか!私にも分かりません(?)!個人的にぐさおさんは無感情の人形、というモチーフで書いてたんですが、やっぱり書くと自我が芽生えちゃったんですよねぇ。書いてる時だと設定が生かせない時があるんですよ。困ったもんだ。
あ、それと私、めめ村のポップアップストアに行きます!土曜日に行く予定です!会えるとは思えないし、会えたとしてもお互いわかんなそうですが、分かったら話しかけてみてください。めっちゃ低確率でそれは私です。あ、冗談ですよ?気を付けてくださいね?話しかけない方がいいですよ?
まあまあ、何回も言ってしまうんですが、そろそろ完結に近いです!しかし!まだまだめめ村メンバーの掘り下げができてません!なので、それぞれの視点から、産まれてから死ぬまでの話をしたいと思ってます!書く難易度が1番高いのは多分レイマリさん。お前人生繰り返しすぎだし内容がいちいち濃いんじゃぁ…。てことで!まだまだ見てくれるよ!って方は完結後もしばらくお付き合い下さい!
それでは!おつはる!
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