テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
(☆▽☆)
242
#意味怖
KOKO💖💫🦊
90
110
『留守番』
高校生のMさんは、両親と妹の4人で暮らしていた。
ある夏休みのこと。
両親が二泊三日の旅行に行くことになり、翔太だけが家に残ることになった。
妹の美咲も一緒に残る予定だったが、前日に急に祖母の家へ行くことになった。
出発する朝、母親はMに何度も言った。
「戸締まりだけはちゃんとしてね」
「分かってるって」
「夜、インターホンが鳴っても、知らない人だったら出ちゃダメよ」
「はいはい」
「あと――」
母親は少し迷ってから言った。
「二階の廊下の電気、夜はつけておいて」
「なんで?」
「暗いと危ないから」
Mは笑った。
「子どもじゃないんだから」
両親が出て行ったあと、家は妙に静かだった。
夕方。
翔太は一人でコンビニへ行き、夕飯を買って帰った。
家に入る。
玄関の電気をつける。
すると二階から、
**ドン。**
という音がした。
「……?」
Mは階段を見上げた。
何もない。
「物でも落ちたかな」
そう思って、そのまま夕飯を食べた。
夜11時。
風呂から出たMさんは、二階へ上がった。
母親に言われた通り、廊下の電気をつける。
自分の部屋に入ろうとしたとき、
廊下の奥にある妹の部屋が目に入った。
妹は昨日までここにいた。
ドアは閉まっている。
Mさんは何となく声をかけた。
「おやすみ」
もちろん返事はない。
自分の部屋に入り、ベッドに寝転んだ。
午前1時。
スマホを見ていると、
**コン、コン。**
と音がした。
部屋のドアが2回ノックされた。
「……?」
Mさんは起き上がった。
「誰?」
返事はない。
もう一度。
**コン、コン。**
Mはドアを開けた。
廊下には誰もいない。
ただ、妹の部屋のドアが少しだけ開いていた。
「……?」
昼間は閉まっていたはずだ。
Mさんは近づいて、ドアを閉めた。
そのとき、部屋の中から、
**「お兄ちゃん」**
と聞こえた。
Mは飛び退いた。
「……N?」
返事はない。
怖くなったMは、自分の部屋へ戻った。
スマホを見る。
すると、妹からメッセージが来ていた。
『お兄ちゃん、起きてる?』
Mはすぐ返信した。
『起きてる』
数秒後。
『よかった』
『どうした?』
しばらく既読がつかなかった。
そして、
『今、おばあちゃんの家』
『うん、知ってる』
『じゃあ、なんで返事したの?』
Mは眉をひそめた。
『何が?』
妹から返信が来た。
『さっき電話したら、お兄ちゃんの部屋から女の人の声がした』
Mは画面を見つめた。
「……女?」
その瞬間。
自分の部屋の外から、
**コン、コン。**
また2回。
Mさんは息を止めた。
スマホが震える。
妹から。
『今、誰かいる?』
は返事をしなかった。
すると、
**コン、コン。**
今度はドアのすぐ向こうから。
Mは恐る恐るドアに近づいた。
そして、ドアの下の隙間を見る。
――足が見えた。
裸足の女の足。
Mは声を出せなかった。
スマホがまた震えた。
妹からだった。
『お兄ちゃん』
『絶対にドア開けないで』
『その人、誰?』
Mは震える指で、
『分からない』
と送った。
すると妹から、
『違う』
『私、今お兄ちゃんの家の前にいる』
Mの背筋が凍った。
『……え?』
『おばあちゃんの家じゃない』
『さっきから玄関の外にいる』
Mは画面を見つめた。
妹から最後のメッセージ。
『お願い』
『玄関を開けて』
『私、外から見てる』
『二階の窓に、女の人がいる』
Mはゆっくり窓を見た。
カーテンが閉まっている。
その向こうに、
**人影。**
女が立っている。
Mは後ずさった。
するとドアの向こうから、
「お兄ちゃん」
妹の声がした。
「開けて」
Mは震えながら、
「……N?」
と聞いた。
「うん」
「本当にN?」
「そうだよ」
「じゃあ……」
Mはスマホを見た。
妹からメッセージが届いている。
『開けないで』
Mはドアから離れた。
「どうして?」
ドアの向こうの声が聞いた。
Mは答えなかった。
すると声が変わった。
低く、かすれた声になった。
「……お兄ちゃん」
ドアノブがゆっくり回る。
ガチャ……
ガチャ……
鍵がかかっている。
しばらくして、静かになった。
Mは朝まで布団の中で震えていた。
午前6時。
玄関のチャイムが鳴った。
**ピンポーン。**
Mは動けなかった。
もう一度。
**ピンポーン。**
母親から電話が来た。
「M? 大丈夫?」
「母さん……」
「どうしたの?」
Mは泣きながら昨夜のことを話した。
母親はしばらく黙ってから言った。
「……M」
「何?」
「N、昨日からずっと私たちと一緒よ」
「……え?」
「昨日の朝、あなたを家に残したでしょう?」
Mの呼吸が止まった。
「Nは一緒に旅行に来てるの」
「……嘘だ」
「どうしたの?」
Mさんは妹とのメッセージを見せようとした。
だが――
スマホには、妹とのメッセージ履歴がなかった。
最初から存在していなかった。
母親が電話越しに言った。
「M……」
「うん」
「あなた、一人で家にいるんだよね?」
「……うん」
「じゃあ、昨日から誰と話してたの?」
Mは答えられなかった。
そのとき。
二階の廊下から、
**ドン。**
音がした。
続いて、
**ドン、ドン。**
Mは階段を見上げた。
母親が電話越しに叫ぶ。
「M! 今すぐ家から出て!」
「どうして?」
「いいから!」
「何なの?」
母親は震えた声で言った。
「その家――」
「去年、取り壊したはずなの」
Mは固まった。
「……何言ってるの?」
「今あなたがいる家は、私たちが去年売った家よ」
「そんな……」
「だから、お願い」
母親の声が震える。
「**今、あなたがいる家には、あなたしかいないはずなの。**」
Mさんはゆっくり後ろを振り返った。
玄関。階段。廊下。
誰もいない。
そして、二階から女の声。
「……お兄ちゃん」
Mは凍りついた。
女は続けた。
「どうして私を置いていったの?」
その瞬間、Mは思い出した。
去年。
妹のNは――
この家の二階から落ちて、
亡くなっていた。
だから両親は、この家を売った。
そしてM自身も、事故以来ずっと――
**この家には近づいていなかった。**
では。
昨夜、誰が妹の部屋から出てきたのか。
誰がメッセージを送ったのか。
そして何より――
Mはなぜ、
**「Nが昨日までこの家にいた」と自然に思っていたのか。**
母親が電話の向こうで泣きながら言った。
「M……」
「何?」
「お願いだから、思い出して」
「何を?」
「あなたは昨日――」
そこで電話が切れた。
Mはスマホを見つめた。
画面に、知らない番号からメッセージが届いていた。
一言だけ。
**『お兄ちゃん、今度は一緒に落ちようね』**
その瞬間。
背後から、
誰かがMの肩に手を置いた。
「見つけた」
Mが振り返る。
そこには、
一年前に死んだ妹が立っていた。
ただし――
顔は笑っているのに、
**足が一本もなかった。**
コメント
1件
うわっ、これはガチで怖いやつだ…! 最初は普通の留守番ホラーかと思ってたら、妹からのメッセージが「存在しなかった」ってオチで背筋が凍ったわ。特に「去年取り壊した家にいる」って母親の電話とか、ドアの隙間から見えた裸足の足とか、描写が細かくて映像がめっちゃ浮かんだ。そして最後の「足が一本もなかった」で完璧に締める構成、マジで巧い…! 泡魔璃んなちャ_🫧🩵さんのホラー、設定の作り込みがえぐいな🔥 続きが気になりすぎる…!