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勇斗side
💙「コラボする人柔ちゃん推し多いよね」
太智がポツリと言った瞬間、意図せず顔が凍りついた。
今日はYouTubeのコラボ撮影だった。
グループから投稿するものと、コラボ相手が投稿するものの二本立て。
車で少し遠出したから1日がかりの撮影になったけど、移動中もたわいのない話で盛り上がったりして和やかな雰囲気で過ぎた。
で、そこで恒例の誰推しかを確認するシーンがあったんだけど…
選ばれたのはまた柔太朗だった。
🤍「えー!マジですか?嬉し〜」
💛「おー…柔太朗か。え、どういったところが…理由とか教えていただけますか?」
くしゃっと笑ってゲストと見つめあう柔太朗。
ハイタッチなんかしちゃったりしてさ、ちょっと喜び過ぎ。
なんつーのかな
こう…ファンの子が推すのと、ある程度関わって人となりを知って推すのとでは多少意味合いが違う…と俺は思ってる。
だって俺たちはアイドルだから、仕事で見せてる部分を好きになってもらうのはある意味当然なわけで…
まぁ百歩譲って、顔がかっこいいとかきれいとか、優しいはいいよ。
俺もそう思うから。
確かに顔の造作とか表情とかきれいだもんな。
俺の周りにはあんまいない顔つーかさ。
でも、きれい過ぎて恥ずかしくて目が合わせられないとかキスしたいって…
恋やん、もうそれはさ。
それも同性に…
意味わかんなくない?
だって、柔太朗は…
そんなことを考えていたら、隣に座る仁人が肘で小突いてきた。
💛「勇斗、お前顔怖い。目が笑ってないぞ」
「…は?」
💛「あのな、これエンタメだから。エンタメ。わかるだろ?」
「なにが?」
💛「お前さぁ…嫉妬してんだって。顔がモロ」
「そんなつもり…」
💛「してるだろ。少なくとも画面の向こうの人はそう思う。
柔太朗はちゃんと撮り高を考えてリアクションしてんだぞ。
なのにお前がそれでいいわけ?」
ゲストの肩に手を添えて笑顔で話している柔太朗を横目で見る。
俺の視線には気が付かない。
それもちょっと腹立つ。
「…ごめん」
💛「わかればいい。カメラに映せない顔はすんなよ」
仁人に嗜められちょっと落ち込んだ。
歳下だけどこういうところ大人なんだよな。
…本当は俺だってわかってんだよ。
『ドームでライブする』って目標のためにはもっと新たなファンを獲得しなくちゃいけなくて…
その手段のひとつとしてYouTubeで先輩の肩を借りてコラボさせてもらってるんだって。
この業界は何が縁に繋がるかわからないから、目の前にある仕事ひとつひとつを全力で取り組む必要があることも。
けどさ。
俺は柔太朗とちょっとじゃれ合う動画を撮るくらいしかできないんだよ。
匂わせたいってことじゃないけど、なんか堂々と好きだって叫べたらな…なんて。
なんか俺、だせぇ…
🤍「勇ちゃん、今日…」
「あ、仁人。今度の撮影のことだけど…」
💛「おい、柔太朗が…」
「え?あ、悪ぃ…仁人と話があるから」
🤍「あ、そ…か。わかった」
撮影が終わって移動車の中。
後ろの席から柔太朗に声をかけられたけど、なんか合わせる顔がなくて素っ気なくしてしまった。
俯く柔太朗に胸が痛んで嘘だって抱き寄せそうになったけど、舜太が先に柔太朗の背中に抱きついて声をかけた。
行き場をなくした手が中をさまよう。
❤️「柔、今日は俺ん家来たらええやん。ちょうど…」
🤍「ありがと、舜太。じゃあ…行っていい?」
❤️「じゃあね、勇ちゃん、仁ちゃん」
舜太が俺に意味深に視線を送ってから、柔太朗の手を引いて車から降りる。
俺は遠くなっていく2人の背中を見つめるしかできなかった。
💛「…おいおい、まだ嫉妬してんの?」
「は?してねーし」
💛「無自覚かよ。てか、俺を巻き込むな。話なんてないだろ」
「や、なんか…頭冷やしたくて」
このまま柔太朗といたら、なんか酷いことをして柔太朗を泣かせちゃいそうな気がしたし。
そう、だから、これは柔太朗のためでもあるんだよ。
💛「知らんよ?舜太は最近男っぽくなってきてるから…ごっつぁんゴール決められても」
「わかってるけど、あいつにカッコ悪ぃとこ見せたくない」
💛「はぁ…面倒くせぇ…」
「うっせ」
💛「俺は帰るからな」
俺はついに仁人にも見捨てられた。