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兵役についての話もあげたいと思い作ってみました。暗いお話ばかりですみません。新作を作ろうと思うので宜しくお願いします。リクエスト受付中です。


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君の手をひいて。

この世界から逃げ出したかった。貴方の覚悟に溢れた目が僕の目を涙に滲ませた。この国のために戦わないといけない貴方が嫌いだった。我が儘言っていいのに。嫌だって言っても意味ないけど少しでも生きることを選んでいいのに。迷彩柄の服を着て敬礼している貴方なんて考えたくもなかった。


もし戦争がなかったら、平和な世界だったら、貴方がこんな目に遭わずにすむ。どうなるのか、生きて帰ってこられるのか、テレビで見た痛々しい人々の映像が僕に教えてくれた。今度は貴方がこの映像に映る番。沢山の訓練を受けて辛くても悲しくても誰にも言えなくて。貴方はいつもそうだった。自分が一番辛いだろうに、笑って。長男だからなんだってんだ。貴方だって、貴方だって、


苦しいんでしょう?


言ってよ、無理しないでよ。いつも貴方の背中を見てきたから。いつでも逞しくてすがりたくなるような背中。貴方は誰にも負けない僕たちのヒョンなんだ。

届かない言葉達が僕の胸を締め付ける。壊れていたのは世界の方でしょうか。もう貴方の笑い声が耳に響くことはない。大丈夫なんて言わないで。安心できると思ってるんですか。逆に不安に押し潰されそうなくせに。カッコつけて良いとこ見せようとして。貴方はもう充分素敵なのに。


僕はまだ小さい子供で、貴方の事はまだ全然知らない。それでも、どこかで、どこかで貴方が泣いていたら悲しんでいたら絶対に迎えにいくから。大切なんだよ。貴方が。貴方が僕を大事にしてくれている以上に僕は貴方が大事なんだよ。貴方のいない世界なんて明けない夜と一緒だよ。


「行ってきます。」


どんどん見えなくなる貴方の背中がお別れだって教えてくれる。抱き締めたいのにもう触れちゃいけない気がした。僕は「行ってらっしゃい」が言えない。笑って見送れない。もう会えないの。もう抱き締められないの。もう、もう、もう、ヒョンって呼べないの。

貴方との別れはほろ苦い蜂蜜の味がした。笑っている貴方はまるで太陽のように綺麗なのに僕はこの笑顔に応えてあげられない。どんなに抗っても変わらない現状に僕は涙した。本当は、本当はさ、貴方も辛かったんでしょう?誰にも言わずに。言えずに。それでも貴方が笑うからさ。大丈夫なんだって安心してしまう。

ヒョンは凄いなぁ。

やっぱり、敵わない。いや、叶わない。

終わりの来ない帰りを待ってる僕がいるんだ。貴方の「ただいま」が欲しいんだ。この生活を乗り越えて笑いかけてくれる貴方に会いたいんだ。僕は笑い返してあげられるのだろうか。きっと泣いちゃうかもなぁ。


今日も外が真っ暗でまだ太陽が見えない。もしこの霧が晴れたらきっと貴方と言う名の太陽が顔を出してくれますように。ほろ苦い蜂蜜の味を噛み締めて僕は眠りについた。


「おかえりなさい。」


別れの味 終わり




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