入学式から1週間経ち、周りも皆慣れてきた今日この頃。奈津は友達をつくらない為、完全に浮いていた。
そして、神様というのは本当に意地悪だ。
「あ……。」
「は……?!」
人生の窮地である。
いるまの足をガッツリ踏んでしまった。しかも、何故か苛立っていた時に。
やばい。本当に。
数秒固まって、足元から目をようやく移した。
「調子乗んなっていったよな?」
「……はい。」
そんなことで。と思うが、口に出したら多分首が吹っ飛ぶだろう。
「何。文句でもあんの。」
「ないです。」
どうか、心の中を読まないでほしい。
「わかった。」
「……?」
急に、いるまが凛々しい声を出し、
「お前、この1年可愛がってあげる。」
と、言った。
「……」
可愛がっているの意味は、嫌でもわかる。そう___
“虐めてあげる”と……いうことだ。
……そういう人じゃなんだが。
今一度、いるまの顔を見てみた。
三白眼の目。細い眉毛。忘れ鼻。八重歯。
___不意にも、少し意識してしまったのは、忘れておこう。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
家に帰っても、安心なんかできない。まだ学校の方が良心的なくらいだ。
「学校はどう?」
「どうって……まぁ、普通…です。」
「そう。最初だからって、気抜かないようにね。」
母親が背を向けそうになった時、忘れていたことを思い出した。
「あ…えっと…僕、学級委員になったんです。」
「まあ、偉いじゃない。成績もあがるんじゃない?」
見るからに気分が良くなった母親が、不気味な笑みを浮かべる。
「う、うん。」
やっぱり、褒められるのは嬉しい。その分怒られるけど、全部自分のためと言われるから、納得がいく。
“良い子”になれたような気がした。
コメント
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胃萎さんの新作、、!今回もどろどろ系ですかね?どろどろ系大好きなので嬉しいです😢😢神作の予感しかしません、‼️