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『落し物、その正体。』
(高校生しんのすけ×かざまくん)
昼休みの廊下。
ねねちゃんが何か落としたようにしゃがみこんでいた。
「えっ……なにこれ……」
拾い上げたのは——
小さな封筒。
赤いペンで“かざまくんへ”と書いてある。
まさおくんが覗き込んで、すぐ青ざめた。
「えっ……ラ、ラブレター……?」
ボーちゃんは静かに目を細める。
「……ちがう……これは……危険のにおい……。」
「なんの危険!?」
ねねちゃんが突っ込むが、確かに気になる。
3人は迷った末、
かざまくんに直接渡すことにした。
放課後。
教室で本を読んでいたかざまくんに、ねねちゃんが声をかける。
「ねぇ、これ……落ちてたよ。」
「……僕宛て?」
封筒を受け取ると、
かざまくんは少しだけ眉を寄せた。
「……心当たりないけど……」
そして、ためらいながら封筒を開く。
——その瞬間。
「ちょ〜っと待ったぁぁぁぁ!!」
教室の扉が勢いよく開いて、
しんのすけが飛び込んできた。
「それ開けちゃダメ!!!!」
かざまくんはびくっとして、
開きかけた封筒を持ったまま固まる。
「……なんで?」
しんのすけは肩で息をしながら駆け寄り、
かざまくんの手からそっと封筒を抜き取った。
「これ……オラの!!」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
周りの3人+かざまくんの声が重なる。
しんのすけは耳まで真っ赤になりながら封筒を背中に隠す。
「いや……間違えて落とした……。
かざまくんに渡すやつ……だったんだけど……。」
「ま、まさか……しんちゃん……ラ、ラブレター……?」
まさおくんが震えながら聞く。
しんのすけはさらに顔を赤くして叫ぶ。
「ちちちがうの!!そういうラブじゃなくて!!
……ユニ〇ロの割引券……。」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」
ねねちゃんのツッコミが校舎に響いた。
ボーちゃんは静かに分析する。
「……でも……“かざまくんへ”って書いてた……。」
「うぅ……だってかざまくん最近服買ってないって言ってたから……
一緒に行こうかなって思って……。」
かざまくんは一瞬ぽかんとして、
次に小さく笑った。
「……そんなの、言ってくれればいいのに。」
「言えないよぉぉぉ!!かざまくん誘うのドキドキするんだもん!!」
「え、しんちゃんの方が先に照れるの?」
ねねちゃんが笑い出す。
まさおくんは涙を浮かべて叫ぶ。
「なんか……尊い……!!」
ボーちゃんは静かに頷く。
「……青春……。」
そしてかざまくんは、
そんな大騒ぎの中でもふっと優しい顔をして言う。
「……じゃあ。今度、行こっか。買い物。」
しんのすけの表情がぱあっと明るくなる。
「ほんとにっ!?やった〜〜!!!」
傍から見ていた3人は、
結局ほっこりしてしまうのだった。
——封筒ひとつでこんな騒ぎになるなんて。
でも、このクラスの“ふたり”らしいかもね。