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ラカトス「僕は、貴女を殺してでも止めなくてはならないかもしれません。」


ラカトス「僕は貴女を…二度と傷付けられて欲しくないから。」


ステー「何が言いたいの?理解できないのなら貴方がわたくしについてくる必要がない、ただそれだけよ。」


ラカトス「主人様こそ本気で分かっているのですか?

創世の三女神は全世界共通で圧倒的上位存在とされる神で、三女神によって生物が生きていられるというのは常識です。

それに人間は元来上位存在を自身の先導者とすることで安心を得る生き物です。貴女はそんな人々の安心を奪う事を何とも思わないのですか?覚悟はあるのですか。」


ステー「…はあ」


ステーファメルは大きくため息をついたあと、ラカトスを見上げる。


ステー「くだらない。」


言い放ったその言葉に、ラカトスは怒りでも憎しみでもない、どこか悲しげな表情を浮かべる。


ステー「この世界の中で、幸せでいられる人間の席は限られているのよ。その席に座る権利は誰にでもあると同時に…

席を手に入れられなかった人間にははなから未来なんて無いわ。博愛主義?平等?本当にくだらない。わたくしは努力で席を掴み取る。その他の人間など知ったことではないわよ。そしてその為ならば、他の人間全員を蹴落とす覚悟だってできてるわ。」


ステーファメルの持つ鋭い眼光はギラギラと輝き、燃えるような意志の力がラカトスを溶かしてしまいそうだった。

ラカトスはというと、まるで自分が親兄弟を亡くしたかのような苦しそうな表情を浮かべており、ただ一人、エリカだけがその様子を静かに吟味していた。


その静寂の膜を突き破ったのは、ラカトスのまるで喉から溢れたかのような薄い笑いだった。


ラカトス「分かりました、主人様。僕は貴女の従者だ、何処までも着いていきます。主人様のそういう頑固な所、変わってないのが知れたのは少しだけよかった…」


先程までの悲しそうな顔が嘘のように、ラカトスは微笑みを浮かべていた。


ステー「…わたくしは別に貴方がいようが居まいがどうでもよかったけれどね」


エリカ「またまた〜、安心してるくせに」


ステー「煩いわね沈めるわよ」


エリカ「どこに?」


ラカトス「とにかく…邪魔してすみませんでした。国境に向かいましょう。」


ステー「そうね。いきましょう。」


エリカ「よくよく考えればこれが最初の旅かぁ、楽しみだね!」


ステー「そうね…これから、わたくしの力を取り戻すその為の旅が…始まるわ。」












〜国境までの道中数百メートル進んだ頃〜




ステー「…アガイン、ちょっと下ろしてちょうだい。」


ラカトス「かしこまりました。」


すると、ステーの体内からエリカが出てくる。


エリカ「またあ?さっきっから何回も止まってるよ。ただでさえラカトス君に抱っこしてもらってるくせに〜」


ステー「別に少しぐらいいいじゃない。」


そう言ってステーファメルは道端の花を見る為に屈んだ。その瞬間

ガサガサッ

という音が聞こえ、草の中からウサギのような生き物が何匹も飛び出してくる。


ラカトス「魔獣です!主人様、後ろへ!」


ステー「わ、分かったわ」


ラカトス「量が多すぎる…主人様、少し離れていてください」


エリカ「ステちゃん、こっちおいで」


ステーファメルが離れると、ラカトスは手を祈るようなポーズに構え、呟いた。


ラカトス「武装顕現

終わりの天使ディマセラフィ』」


すると、まばゆい光と共にラカトスの手には非常に大きなハンマーが握られていた。色彩はラカトスとよく似ており、まるでラカトスの為に作られたようだ。

ラカトスはそのハンマーをまるで小筆かのように軽々と振り回し、声一つ上げず、上げさせず、ウサギの魔物の群れを一掃した。


ラカトス「終わりました。主人様、もう大丈夫です。」


ステー「もう終わったのね…」


エリカ「まあ、ウサギだもんね。これがサイの魔物とかだったらヤバかったかもねえ」


魔物というのは、本来ウサギやライオン、ネコといったただの動物である。しかしそれらの動物の持てる魔力量を大きく超えた魔力が体内に入り込むことで、「魔力のオーバードーズ」を起こし、常に他者に敵意を向ける魔物へと変化してしまうのである。


ステー「武装顕現、貴方は使えるのね。」


ラカトス「そうですね。やっぱり、自分の魔力で作り出した武器が一番使いやすいですから。」


ステー(武装顕現…わたくしは魔力が少なすぎるあまりにできなかった。自分の中の最高の武器をイメージし、それを魔力で具現化する技術、これができれば…)


エリカ「ステちゃんにもできるよ。」


ステー「え?」


エリカ「私がステちゃんにあげた力、魔力を増やすぐらいだもん。だからできるよ、今のステちゃんならね」


ラカトス「主人様、やってみては?」


ステー「そっ、そうね」


ステーファメルの声は興奮してはねている。


ステー「武装顕現………」


その瞬間、ステーファメルの脳内にある名前が浮かんでくる


ステー「終曲の舞エンデカワルツ


それと同時に、ステーファメルと同じぐらいの大きさはあろうかというほどの巨大な弓が現れる。真っ白な躰に細かく入れ込まれた黄金は、息を呑むほど美しかった。


その弓を見て、ステーファメルは言葉にならない喜びが込み上げてくる。


ステー(できた、すごい…半ば諦めていたものが、こんな美しく、今わたくしの手の中にあるなんて)


その瞬間のステーファメルの顔は、まさに年頃の少女の顔という風で、普段の令嬢姿を忘れさせた。


エリカ「すごいねステちゃん!こんな綺麗なのは初めて見たよ私も」


ステー「…はやくこれの、これの試し撃ちがしたいわ!魔物を探すわよ!!」


ラカトス「あっ、主人様!!一人は危ないです!!」


そこからしばらくはステーファメルの満足がいくまで、2人は戦い続けていた。







日も沈み、疲労がたまってきた頃、気付くと国境のすぐ近くまでやってきていた。


エリカ「お疲れ、特にラカトスくん」


ラカトス「はあ…はあ…いえ、責務ですから…」


ステー「すごく楽しかったわ、疲れたけれど!」


ステーファメルは今までにないほどの笑みを浮かべ、満足そうに座っている。


エリカ「この子は本当…まあいいや、とりあえずこの国から出よう。」


ラカトス「出ると言っても…」


ラカトスは空を見上げる。果てしなく広がる真っ白な魔力の膜のようなものが目の前を覆い隠している。


エリカ「それは大丈夫!女神の魔力があればね」


ステー「それじゃあ出発の準備をしましょうか。」


ラカトス「かしこまりました。」


そう言って3人が固まり、エリカが手をかざす。段々と魔力の膜に穴が空いてくるが、分厚い膜は中々貫通しない。半分ぐらいまで来たかというタイミングで、突然エリカが喋りだす。


エリカ「2人は知らないと思うのだけどね、実はこの国とそれ以外の世界全体って、時間軸や空間の何から何まで隔絶されてるの。この膜は、それぞれを隔てる壁。」


ステー「…まって、つまり?」


エリカ「一回出たら実質女神倒すまで帰れないから今のうちに別れ告げといてね!」


ステー「えちょっと待ちなさいまだ別れの挨拶もしてなっ」


エリカの力で膜ができた瞬間、莫大なエネルギーが3人を包み込んだ。








*外界_____







エネルギーが目の前から離散すると、ステーファメルは恐る恐る目を開ける。


ステー「わあ…!すごい…」


目の前には、いまだかつて見たことのない広大な自然が広がっていた。

草木は青々と輝き、そこに飛ぶ蝶は楽しそうに踊っている。

目いっぱい息を吸い込むと、草や風の香りが体中に広がってきた。


ラカトス「主人様、綺麗ですね」


ステー「ええ…そうね」


目の前に広がる自然を目に焼け付けると、それと同時に言いようのない不安も心に入ってくる。この自然は時として、ステーファメルの敵となるかもしれない事を知っていたから。


エリカ「さて!無事に外に出れたし、この旅の目的を再確認しよっか」


ステー「ええ、そうね」


エリカ「まず、旅の最終目標は

『創世の三女神を封印して私たちの力を取り戻す』こと、だね。」


ステー「わたしたち?」


エリカ「嘘、忘れたの?私も力、取られてるって言ったじゃん。」


ステー「あぁそうだったわね」


ラカトス「エリカ様は何者なんですか?」


エリカ「私はね、この世界の女神なの。結構すごい女神だよ!」


ラカトス「神?この世界に存在する神は4人では?」


ステー「そうね。創世の三女神と、『降臨の神』ね。」


ラカトス「降臨の神は創世の三女神に変わって直接人々を導く心優しい素敵な神ですね。今は行方不明ですが…」


ステー「じゃあエリカは絶対降臨の神じゃないわね」


エリカ「なんでよ、失礼だな。まあいいよ、私の言ったことは冗談だと思って忘れて。

そう、それで創世の三女神を封印する為に『封印の楔』が必要なんだよ。」


ラカトス「さっき言ってましたね。確か、『神の宝玉』が必要だとか。」


エリカ「そう!話が早くて助かるね。なので〜、まず第一目標は、


情愛の女神、生き物に感情を与えた女神とされるリアリー・プロテリア封印


その為の宝玉集めだね。」


ステー「なんでリアリーなの?」


エリカ「そりゃ彼女が一番ザコだからだよ。一番強いのはシェントットね。」


ラカトス「…まあ、それで、その宝玉はどこにあるんですか?」


エリカ「えっとネ、今いる場所って迷いの森っていう所の前なんだけど…宝玉の在り処はこの森を抜けた先、『フェイフ村』です!」


ステー「…いかにもな名前ね」


ラカトス「迷うんでしょうね、村に行く前に」


ステー「エリカ、道案内よろしく」


エリカ「え?出来るわけないじゃん」


ラカトス「何のための女神なんですかね、本当に。」


ステー「となると本当に困ったわね…。」


一同が頭を悩ませていたとき、突然森の中から物音が聞こえる。


ラカトス「主人様、魔物の可能性があります。武装顕現の準備を。」


ステー「分かったわ。」


エリカがステーファメルの中に入ろうとしたとき、森から何者かが飛び出てくる。


ラカトス「ッ人間!?」




???「ご、ごめんごめん!驚かせるつもりはなかったんだ!」



サイネ「私はサイネ、ちょっと助けて欲しいんだよね」





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火曜日に更新します(多分)(恐らく)(努力します)

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