コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
バッドランドに生まれた。ただそれだけで、バッドライフがデフォルト。くだらない。でも、それが”理”だなんて言われたら、もう参っちゃうね。
この街には”出口”がない。生まれた瞬間にレールが敷かれ、そのまま転がり落ちるしかない。上に登る方法なんて、どこにも書いてなかった。
抗うために、何度もエスケープを試みた。
蛇のように這いずり、善戦してみせた。
だけど、最後の逆転の一手だけ、どうしても詰められない。
――何故か?
簡単だ。“そういうもの”だから。
この世界は二つに分かれている。
一方は暗く、無頼が支配する社会。
もう一方は明るく、未来を信じる世界。
「ならちょっと後者に行ってくる」
そう言ったら、笑われた。
「大丈夫か?」と。
うるせえよ。心配してほしくて言ったんじゃねえ。
この街では、“正しさ”が意味を持たない。
“生きること”よりも、“生かされること”のほうが価値がある。
限界まで足掻いた人生は、想像よりも狂っているらしい。
どんなに計算しても、予定通りにはいかない。
どんな関数を当てはめても、誤差が生じる。
だったら、そろそろオーバーライドしたい。
でも、現実はそうそう上手くはいかない。
吐いた言葉だけが信条だと思われて、誰もついてこない。
最後に手を伸ばしたやつも、結局、離れていった。
「巻き返しに必要な”力”があるなら、別のことを頑張ればいいじゃん(笑)」
「この地獄の沙汰も金次第でどこまでも左右できるわけだし?」
「アンタが抜け出せるわけがないよ(笑)」
そう言われるたびに、胸の奥に何かが渦巻いた。
それを言葉にするのは簡単だったけど、それじゃダメだった。
「それで話はおしまい?」
「ならばもう来ないからねー」
豪快さにかまけた人生は、きっと燃やされてしまうらしい。
じゃあ、ワタシなんていらないと蹴った先にいたのは、結局、何も考えない群衆だった。付和雷同。誰かの意見をなぞって、誰かの言葉で踊らされる。
ああ、つまんねえ。
シタイだけ探した冒険TONGUE。
どうか、消えるまでスタンド・バイ・ミー。
撒いたエラーすら読んじゃいない。
人間の考えることなんて、ワタシには知らないね。
⸻
[ERROR: SYSTEM OVERRIDE]
おかしいな。
この街に出口はなかったはずだ。
でも、ワタシは今、“外”に立っている。
視界が霞む。靴の下で、コンクリートが軋む音がする。
それは知らない世界の、知らない音だった。
バッドランドの空は、いつも濁った灰色だった。
だけど、今ワタシの目の前にあるのは、青。
こんなもの、知らない。
こんなもの、見たことない。
「……なんで?」
答えはない。
ワタシの知っているルールでは、“ここ”に立つことはありえないはずだった。
それなのに、ワタシはここにいる。
オーバーライドされたのは、“世界”か、それとも”ワタシ”か。