古墳時代の日本。山々に古墳が築かれ、強大な力を持つ王や豪族たちが眠るその時代、遥か大陸から一つの禁断の秘術が伝来した。それは「蠱毒」と呼ばれる術。最初に日本へこの恐るべき秘術を持ち込んだのは、東アジアの山岳部に住む古代の遊牧民たちだと伝えられている。
当時、日本列島は様々な外来文化を受け入れ、進化していたが、この蠱毒だけは他の文化とは異なり、恐れられる存在だった。蠱毒は、邪気と憎悪を集め、それを増幅させて敵を破壊する術として知られていた。人々はそれを遠ざけ、触れることさえ避けていた。
ある日、倭国の有力な豪族が大陸の商人からこの術の存在を聞き、力を求めてその力を得ようとした。彼らは、蠱毒の儀式を行うための材料を集め、山奥で儀式を執り行った。
豪族の長:
「この力があれば、一族は他を圧倒し、列島を支配することができる。」
しかし、彼らは蠱毒を甘く見ていた。封じ込められた邪気が解き放たれ、周囲には不吉な災いが広がった。病気、作物の不作、不慮の事故が相次ぎ、豪族は滅びへと向かっていった。
それから数世代の間、蠱毒は隠され、存在は忘れ去られた。しかし、陰陽師たちの一部では、この禁断の術が密かに語り継がれ、後に蘇ることとなる。
時はさらに遡り、古代中国の春秋戦国時代。大陸では、数多の国が覇を競い、戦乱の時代が続いていた。この混沌の中、思想家として名を馳せた孔子がいた。彼は道徳を説き、弟子たちに教えを広めていたが、ある晩、孔子は奇妙な夢を見る。
孔子の夢:
夢の中、孔子は薄暗い森の中に立っていた。周囲には不気味な影がさまよい、やがて一人の影が孔子に近づいてくる。その影は、古代の霊であり、蠱毒を知る者だった。
霊の声:
「この世には、全てを滅ぼす力が眠っている。蠱毒と呼ばれるものだ。お前はこの力を知るべきだ…。」
孔子は夢の中で、その術の詳細を聞かされ、蠱毒の恐るべき力に恐怖を覚えた。目が覚めた孔子は、蠱毒の存在について思索し始めたが、これはただの夢ではなく、何か重大な預言であると直感する。
彼は弟子たちに、この恐るべき術が人の道を外れるものであり、決して使うべきではないことを説き始めた。しかし、孔子の言葉は全ての人々に届いたわけではなかった。春秋戦国時代の覇者たちの中には、力を求め、蠱毒に手を伸ばそうとする者たちが現れ始めていた。
孔子:
「憎しみと恐怖が蠱毒を生む。世界を壊すのみだ。」
孔子が見た夢の通り、戦国の時代は次第に混迷を深め、各国の支配者たちは力を求めて禁断の術に手を染めていく。ある国の王が、強力な陰陽師を招き入れ、蠱毒の儀式を行わせた。
その儀式では、無数の虫や生物が壺の中に閉じ込められ、最後に生き残った一匹に全ての負の感情が集められた。その瞬間、壺からは黒い瘴気が立ち昇り、周囲を覆う恐るべき力が放たれた。
陰陽師:
「これが蠱毒の力。王よ、これで全ての敵を滅ぼすことができる。」
蠱毒の力を得た王は、周囲の国々に次々と攻撃を仕掛け、勝利を収めていった。しかし、その力は王自身にも反動をもたらした。次第に王は狂気に囚われ、誰も信用できなくなり、最終的に蠱毒の力に飲み込まれ、自滅してしまう。
この出来事は、春秋戦国時代における最も恐ろしい伝説として語り継がれ、蠱毒の力を恐れた人々は再び封じ込めようとした。
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