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最近、ある人がどうしても気になっている。


それは僕より先にこの霧の森に来たキラー、

『ゴーストフェイス』─僕はゴスフェって呼んでる─だ。


誰彼構わず一言多い事を言う最低な奴…最初はそう思っていた。


でも、その行為を他の誰かにするのを見る度、どこかイラつきを覚えてきたのは何時からだろう…。


でもだからといって『この人に話しかけるな!』とは言えない…だってそれは個人の自由だから。


僕はスターなんだし、これぐらいは我慢できる…と、思っていた。


今日も彼は他のキラーに話しかける。


「ねぇねぇ、そんなことしてて無駄じゃないの?」

「うっせーよ、お前には関係ねぇことだろうが」


今日の話し相手はリージョンのフランクだ。


「そんなこと言わずにさ~」


そう言うと彼は僕の方を見た。


見間違いなんかじゃない…確かに目が会った。


そこで僕は確信した。


彼はわざと僕以外の人間と話をしてるんだと…。




──最近、僕は気づいてしまった。


後輩キラーの『トリックスター』─僕はトリスタって呼んでる─は僕に恋してる。


理由は単純、僕が他のキラーに話しかけてる時殺意が物凄いから。


だから僕はわざと彼以外の人間と話す。


彼が悔しそうに僕を見つめ、相手に殺意を向けるのが面白い。


今日も僕は彼の目の前で別の人物と話す。


相手はフランク君。


儀式でどうやってサバイバーを全滅させるか作戦を考えている最中だ。


「ねぇねぇ、そんなことしてて無駄じゃないの?」


なにも考えずにやったら全滅なんてあっという間なのに。


「うっせーよ、お前には関係ねぇことだろうが」


そっけない返事を食らう。

これも僕の予想通り、


「そんなこと言わずにさ~」


さぁて、トリスタはどんな顔してるかな?


ふふっ、やっぱり僕の想像通りだ。


悔しそうにしてる…下唇も噛んじゃって


本当に可愛いな。


あ、そうだ…良いこと考えた。



──今日もいつも通り彼が僕以外の人間と話すのを見るだけの日々が始まる…とは行かなかった。


彼は今日、誰とも話さなかった。


どうしてだろう…僕は気になって思わず話し掛けてしまった。


「ね、ねぇゴスフェ…」

「ん?なに?」


声も何時も通り…でも何か隠してる感じだ…。


「き、今日は誰とも話さないの?」

「君に関係ある?僕の勝手でしょ?」

「あ、うん…そう、だね…」


ゴスフェの言う通りだ。


僕には関係のないこと…そうだ、気にしなければ良い。


僕は自室に戻って曲作りに没頭する。


しかしいくら時間が過ぎようと彼の事が頭にこびりついて集中できない。


僕は我慢できず、ゴスフェのいつもいる所まで走って向かった。


「ご、ゴスフェ…!」


木の上で月を見上げる彼に呼び掛ける。


「なに?」

「あ、あの…」


思えば、どうして彼が他人と話していないだけで僕はこんなに焦っているのだろう…


話す話さないは彼の勝手だ…僕が気にすることでもないのに…どうして…。


いつの間にかゴスフェは木から降りていたのか、僕の顔を見つめていた。


驚いて一歩下がろうとすると彼に肩を押され、僕の上に馬乗りになる。


状況が理解できない…もしかして、僕があまりにも何も言わないから痺れを切らしたのか?


だとしたらちゃんと言わないと…


「あ、あの…」

「ん?」

「あの…僕…ゴスフェがどうして誰とも話さないのか気になっちゃってさ…関係ないのは分かるんだけど、でも何故か落ち着かなくて!!その…」

「うん、知ってる。わざとやってたから」

「……え?」


わざと…?ゴスフェはわざと誰とも話さず、僕が疑問に思って焦ってる表情を楽しんでたってこと!?


「あー…本当に可愛いな…」

「え?」

「君って意外と感情が表に出るタイプだよね?僕が他のキラーと話してるとき、殺意剥き出しだよ?」

「え、嘘…」

「気づいてなかったんだね。まぁそう言うところも良いんだけど」

「あの…ゴスフェ?」

「ん?なに?」

「そろそろ退いてくれない?」


いい加減この態勢から解放されたい。


僕の身が持たないし、何より好きな人が僕の上に乗ってるってだけで興奮してしまう。


「んー…じゃあ、トリスタが本心を伝えてくれたら退いて上げることもないよ」

「本心?」

「そう。君が僕に向ける感情がどんなものなのか教えてくれたらいいよ」


それって遠回しに言えば『告白しろ』と同じことなのでは…?


でも今さら引き下がれない、何せ今のゴスフェの声は…全てを知ってる様な余裕の声なんだもん。


「ぼ、僕は…」

「うん」

「……すき」

「誰が?」

「君の事が…」

「ちゃんと言って?」

「君の事が!!………好き…」


言う度に顔が熱くなってくる…恥ずかしい…。


「……ヤバい」

「え?」


それはこっちの台詞…。


「可愛すぎるんだけど…心臓張り裂けそう…」


ゴスフェの方が何故か僕以上に照れていた。


可愛らしく両頬に手を添えてキャッキャウフフと喜んでいる…。


「僕も好きだよトリスタ。君の何倍、何十倍、何億倍も愛してる」


そう耳元で囁かれた。


「嘘だ…」

「嘘じゃないよ。それとも、トリスタは僕のこと嫌い?」

「そ、そんなわけない!!」


それに、さっき告白しちゃってたし…。


「…じゃあさ、トリスタ。」

「なに?」

「これからはずっと僕が君のお世話をして上げるね?」

「…うん?」


どうしてそうなったのか良く分からない。


僕は自立してるし、何よりゴスフェは僕の側に居てくれたらそれで良い。


「どうして?」

「だって君は僕がいなきゃダメだろ?周りとも上手く馴染めない君が、どうして僕と仲良くなれたと思う?」

「…っ!もしかして…!」

「そう。全部僕が仕掛けてたのさ。君には僕しかいない。いや、僕だけしか居させない。周りの奴らなんかに君を渡すもんか」


そう言いながら僕を抱き締める。


嗚呼…僕は、とんでもない奴に目をつけられ、恋に落ちてしまったんだ…。


今さら運命を代えることなんか出来ない…


あまりにも彼が酷すぎたら別れ…あれ?別れた後はどうするんだっけ?


「ふふっ、言ったでしょ?君は僕がいなきゃダメなんだって。これからは、僕が君をお世話をして上げるね。」


嗚呼…それでも良いかも。


「幸せだね、トリスタ」

「うん。…愛してるよ、ゴスフェ」


僕も彼の背中に手を回す。


今夜の月は三日月だ。


彼と一緒なら、どんな景色も美しい…。


「僕も君を」


【HAPPYEND?】

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