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部活説明会の日。入学式から数日後、放課後の体育館に新入生たちが集まっていた。
竜皇高校は、数年前まで女子校だった。
共学化されて間もないため、部活動の多くはまだ手探り状態。
特に硬式野球部は、この春にようやく設立されたばかりの新生部活だ。
グラウンドはまだ整備途中で、ネットやマウンドの土も新しく、匂いが土臭い。
体育館のステージに、外部から招かれた監督が立っていた。
元プロのコーチで、厳しそうな目つきだが、どこか情熱を秘めた声で語る。
「うちはまだ9人揃ってない。1年生オンリーだ。だが、甲子園を目指す気持ちがあれば、誰だって歓迎する。やる気ある奴、残れ!」
その言葉に、翼、タク、勇人の3人は迷わず手を挙げた。
翼はベンチに座ったまま、静かに監督を見つめている。
タクは隣で腕組みをし、堂々と胸を張っていた。
勇人は後ろから「俺も飯作りで貢献するぜ!」と明るく声を上げた。
入部希望者は結局、5人+αのモブたち。
本格的に決まったメンバーは以下の通り。
• 浅尾拓実(タク) センター、バッター。すでに中学時代から注目されていた逸材。 187cmのガッチリ体型が、体育館の空気を引き締めている。
• 椎名真琴(真琴) 1-A組。165cm、華奢でめちゃくちゃ綺麗な顔立ち。 赤髪が肩にかかり、女の子と間違えられることが多い。 無口で、視線を逸らさず監督を見つめている。 ポジション:ピッチャー(右投げ)。 大谷中学校卒。エスカレーター式の名門高を蹴ってここに来た。 中学時代の捕手とのトラウマを抱え、責任感が強すぎるあまり自分を追い詰めがち。
• 岡田秋紀(アキ) 1-B組。189cmのゴリラ級ガチムチ。 黒髪短めで、顔は正直ゴツいが、笑うと意外に柔らかい。 「投手が大好き! バッテリー最高!」と大声で宣言。 野球以外は大雑把で無神経なところもあるが、バッテリー組んだら繊細にフォローするタイプ。 ポジション:キャッチャー(当然)。
• 成瀬三寅(みとら) 1-C組。175cm。 道南出身の浜訛りが特徴で、話すと「んだべ」「〜っしょ?」が飛び出す。 ふわっとした雰囲気だが、言う時は言う頼れる癒しキャラ。 ポジション:セカンド。 野球部の良心的存在。
• 井上颯太(井上) 176cm。声がデカくてウザいが憎めない。 すぐベタベタくっついてくるパーソナルスペース無視タイプ。 ポジション:ショート。 特に翼が好き(友達として)で、説明会の最中から翼の肩に手を置いたりしてくる。 → タクの視線がすでに鋭い。
残りはモブの新入生たち。
まだ9人揃わず、監督はため息をつきながらも「これから増やすぞ!」と気合いを入れる。
説明会後、体育館の隅で5人が集まった。
真琴は壁に寄りかかり、無言でグローブをいじっている。
アキが大声で近づく。
「真琴! お前ピッチャーだろ? 俺キャッチャーやるから、絶対バッテリー組もうぜ!」
真琴は少し顔を赤らめ、視線を逸らした。
「……勝手に決めないで」
アキは笑って肩を叩く。
「もう決まってるって! お前の球、受けたいんだよ!」
一方、井上が翼に絡みつく。
「翼〜! お前マネージャーやるんだろ? 俺のグローブ磨いてくれよ〜!」
翼は少し後ずさり、困った笑顔。
「井上……近いよ……」
タクが即座に間に入り、井上の肩をガシッと掴んだ。
「井上。パーソナルスペース、守れ」
井上は「えー、タク厳しい〜!」と笑いながら離れるが、タクの目は本気で睨んでいる。
勇人がその様子を見て、くすくす笑う。
「タク、嫉妬丸出しじゃん。かわいいな〜」
タクは「うるせえ」と一蹴しつつ、翼の頭を軽く撫でた。
「翼。お前はマネージャーやるんだろ? 俺が甲子園連れてく約束、忘れてねえよな」
翼は頷き、緑の瞳を輝かせた。
「うん。見ててあげる。……みんなで、甲子園行こう」
真琴が静かに口を開いた。
「……俺も。甲子園、行きたい」
アキが拳を握る。
「よっしゃ! 俺らが初代メンバーだ!」
みとらが柔らかく笑う。
「んだべ、みんなで頑張ろうっしょ」
モブの新入生たちも、少しずつ輪に加わってきた。
まだ9人揃わない新生野球部。
だが、そこには確かな熱があった。
翼のために、拓実の夢のために、父・梓が寄付したグラウンドで。
これから始まる挑戦。
翼はタクの大きな背中を見上げ、胸の奥で温かいものが広がるのを感じた。
まだ知らない。
この熱が、前世の呪いを溶かす太陽になることを。
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