いつまでも、いつまでも……

(帰郷千衣沙)「着きました。ここです」

(花郷千衣葉)「綺麗に片付けてますね」

(帰郷千衣沙)「いえいえ」

(帰郷千衣沙)「今から作りますので」

(帰郷千衣沙)「ごゆっくりに」

(花郷千衣葉)「ええ、そうするわ」

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(花郷千衣葉)「いつから住んでるの？」

(帰郷千衣沙)「そうですね」

(帰郷千衣沙)「中学生に入ってからですね」

(花郷千衣葉)「中学生くらい……」

(花郷千衣葉)「凄いですね」

(帰郷千衣沙)「まぁ、そう言われます」

(花郷千衣葉)「……寂しくないの？」

(花郷千衣葉)「親元離れて」

(帰郷千衣沙)「そりゃ、寂しいけれど」

(帰郷千衣沙)「慣れてしまえば大丈夫」

(花郷千衣葉)「強いですね。」

(帰郷千衣沙)「私は強いですよ。」

(花郷千衣葉)「……大変でしょう。」

(花郷千衣葉)「毎日、不審者が来て」

(花郷千衣葉)「その人たちを対応するのは」

(帰郷千衣沙)「大変ですね。」

(帰郷千衣沙)「警察にはお世話になっているですし、今度お礼の土産として行こうかなって考えています。」

(花郷千衣葉)「……」

(帰郷千衣沙)「呼吸が浅いですが大丈夫？」

(花郷千衣葉)「……え？」

(帰郷千衣沙)「医者から言われてなかったのですか？あなたの呼吸が浅いんです。」

(花郷千衣葉)「言われてない。」

(花郷千衣葉)「どうしてそんなことに」

(帰郷千衣沙)「音です。」

(帰郷千衣沙)「音が気づきました。」

(帰郷千衣沙)「明日、また病院に行った方がいいと思います。私も付き添いますよ。」

(花郷千衣葉)「いや、迷惑をかけたくないんです。」

(帰郷千衣沙)「私が好きにしていますから」

(帰郷千衣沙)「遠慮なく。」

(花郷千衣葉)「……あなたは優しい人ですね」

(花郷千衣葉)「どこまでも優しい。」

(帰郷千衣沙)「……」

(帰郷千衣沙)「そうですね。」

(帰郷千衣沙)「よく言われます。」

(帰郷千衣沙)「……夕方ですね」

(帰郷千衣沙)「料理、もうすぐ出来ます」

(花郷千衣葉)「美味しそうな匂い。」

(花郷千衣葉)「おなか減ってきます。」

(帰郷千衣沙)「私もです。」