佐野side
「……」
「ッ……」
俺は晴明と廊下であった
だけど、彼の顔は涙でぐちゃぐちゃだった
話を聞いたところ、入道の魂が取られたとのことだった
今はたかはしの病院に来て彼の身体を診てもらっている
その間も、晴明はずっと泣いていた
俺は、そんな晴明にかける言葉もなかった
明晴side
僕はずっと泣いてた
泣いたって意味はない
わかってる……だけど
止まらなかった
ずっと流れていた
止めようとしても、何度も溢れてきた
こんな泣いたの、100年ぶりくらいかな……
佐野くんは、何も言わずに僕のそばにいた
多分、気を使っているのだろう
「晴明!」
その時、奥から2人ほど走ってくる人影が見えた
「入道くん、歌川さん……」
「「国介は……!」 」
「完全に魂が取られて、今は植物状態だよ」
と、後ろからたかはし先生が事情を説明してくれた
「そう、なのか……」
「ッ……」
2人は絶望していた
それはそうだ
一人息子が、もう目を覚まさないと言われているようなものだ
これで絶望しない親が、いるはずがない
「魂が戻ってくるまで起きないだろうね」
「……」
その場は静まり返った
その時、佐野くんは何かに気づいたような顔をしていた
「たかはし、魂が戻れば入道は起きるんだよな?」
「うん、確実にね」
その時、歌川さんと入道くんもはっとした顔をした
え、どういうこと……?
「晴明、魂奪ったヤツの特徴をあげてくれ」
まさか……
「探そうとしてるの……?」
「当たり前だろ」
「危険すぎる!」
僕は叫んだ
「つっても、助けるとしたらこれしか……」
「だからと言って、わざわざ危険な場所に行くとか……」
あまりにも狂ってる
そう言おうとした時
入道くんがクスッと笑った
「何笑ってんのさ……」
「いや、ごめんごめんw」
意味がわからない
そんな考えは、次の言葉で吹き飛んだ
「お前が言うことじゃないと思ってさ」
……!
「晴明先生も、結構危険な場所に突っ込んで行ってたもんね」
「俺らはそれに巻き込まれてたけどな……」
「それのせいで修羅場は慣れたし」
それにふたりが頷く
「でも……」
「全部お前のせいだよ」
「……え?」
「誰かを助けたい、見捨てたくない、そう思うようになったのは、お前の背中を見てきたから」
「平和的に」解決したいっていう思いを見てきたから
その時、僕はハッとした
あぁ、何やってんだろ……
こんなの、全く「平和的に」じゃない
ただ、逃げてるだけじゃんか……
僕は両頬を叩いた
「ごめん、みんな…… 」
「謝ることなんてねぇよ」
「そうですよ、誰だって弱気になったりすることはあります!」
「俺たちのことも、ちゃんと頼れよ」
「……うん」
ちゃんと解決するよ
「平和的に!」
コメント
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平仮名うーん、 神酒、安倍、蘆屋、烏丸、秦中、、、、確かに、たかはし先生だけ平仮名だ。なんでだ?
備考 たかはし先生は明晴が晴明ってことを知っています(百目鬼だから) 単純に疑問に思ったんだけど、なんでたかはし先生って名字平仮名なん?