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畠山正晴内閣総理大臣臨時代理を救出した桜祐警部補、大河内和夫巡査部長をピックアップするべく警視庁ヘリコプターが防衛省への接近を試みる。
地上から陸上自衛隊A27号部隊に銃撃され、ヘリコプターは接近を躊躇う。
「接近不可! 接近不可!」
大河内三等陸佐は部下の別班員に目線で合図し、銃を構えながら大河内を筆頭に静かに階段を駆け降りる。それは洗練された特殊部隊の動きそのものだった。
防衛省エントランスの太い柱の前に一旦身を隠し、一呼吸置く。
そして。
「食らえ!!」
一斉に柱から躍り出て、警視庁ヘリコプターに銃撃している不逞の輩に銃撃をお見舞いしてやる。
全員倒した。
警視庁ヘリコプターは着陸態勢に入るが、航空自衛隊A 27号部隊のパトリオットミサイルが警視庁ヘリコプターを狙う。
だが。
『東京湾より、トマホーク巡航ミサイル飛翔中!』
曽根崎統合作戦司令官は狼狽する。
「誰が撃った!?」
パトリオットミサイルにトマホークが命中、爆散した。
……東京湾に姿を現したのは、在日米軍に制圧されたはずの海上自衛隊イージス艦こんごうであった。
「システムジャックは無力化されたな」
艦長東郷晃司は部下に尋ねる。
「はい艦長、千代田警部補のハッキング技術のおかげです」
サイバー分野に秀でた千代田春警部補が、海上自衛隊イージス艦へのシステムジャックを無力化したのだ。
東郷一佐はマイクを握った。
『在日米軍に通告する。本艦は現在A27号とは別の意思に従って行動している。A27号各拠点をトマホーク巡航ミサイルで攻撃する用意がある。すみやかに停戦せよ』
これを好機と捉え、仁科完治警視総監は警視庁国葬最高警備本部にて命じる──
『よし、海上自衛隊こんごうがA27号を牽制している隙に、畠山正晴首相代理を正式に内閣総理大臣とする! 皆気を緩めるな!』
その頃、国会では畠山正晴が内閣総理大臣指名選挙にて選ばれていた。
* *
首相官邸地下内閣危機管理センターでは、留守を預かる須田義仁内閣官房長官が焦っていた。
「警視庁のSATを出して米泉統一郎を狙撃させよう」
小野田公現警察庁長官は動じない。
「須田長官は米泉総理と懇意だったのではないですか」
須田は汗をダラダラとかく。
閣僚が須田の姿を遠巻きに見る。
「要は口封じでしょう須田さん、ここにあなたの味方はいませんよ」
小野田長官の背後から、警察庁警備局長稲田大成警視監が制服警察官を伴って姿を現す。
「官房長官、あなたの電話、メール等を解析しました。あなたはA27号の協力者ではない……」
「……」
「首謀者のひとりだ!」
「!」
「内閣官房長官須田義仁、外患誘致罪、内乱罪の容疑で逮捕する!」
制服警察官が須田官房長官の手首を捻り上げ、手錠をかける。
「馬鹿な! 私は現職閣僚だぞ! 不逮捕特権が!」
「現行犯の場合は違う!」
* *
畠山正晴新内閣総理大臣を乗せた警視庁ヘリコプターを見送った桜祐。
防衛省に続々と車が乗り付ける。
前内閣総理大臣米泉統一郎。駐日米国公使ランシング、元国務副長官アーミテーラ、そしてCIAのエージェント、工作員たち。
「おのれ公安警察め、たっぷりと礼をしてやる!」
「うちの可愛い祐君に何かご用ですか?」
そこに現れたのは、
乃木康信室長、君塚信一警部、千代田春警部補、大河内和夫巡査部長であった! これで特捜専対のメンバーが揃い踏みだ!
「我々は特捜専対セキュリティポリスインテリジェンスだ! 覚悟しろ! A27号」
防衛省前で特捜専対とA27号が睨み合う。
「おのれ!」
アーミテーラ元国務副長官がわなわなと手を握る。
「私はいくつもの国を滅ぼしてきた。こんな極東の島国で、やられはしない!」
「けっ! そいつはどうかな!」
大河内が一蹴した。
「みんな、行くぞ!」
「了解!」
特捜専対が銃を構え走り出す。CIAエージェントも応戦する。
格闘戦を演じながら、
「陰謀のために、国を滅ぼす奴らなんかに!」と祐。
「私たちは絶対負けない!」と春。
「俺たちが守りたいものがなんなのか!」と君塚。
「お前らにはわからないだろう!」と乃木。
「守りたいのはこの国の全ての幸せ!」と大河内。
「それが公安の使命なんだ!」と桜。
米泉統一郎前内閣総理大臣の目の前で、CIAエージェントたちが次々と倒れていく。
「こんな奴らに、CIAのエージェントが!」
君塚と乃木が制圧し、アーミテーラの巨体が道路に倒れる。
「アーミテーラ、逮捕する!」
大河内が拳銃を額に突きつけ、駐日米国公使ランシングが震え上がる。
「ランシング、逮捕する!」
「貸せ!」
米泉はCIAエージェントから銃を奪った。
米泉は震える手で発砲するが、即座に桜祐の発砲によって銃が弾かれる。
「ぐっ!」
「前内閣総理大臣米泉統一郎! 外患誘致罪、内乱罪の容疑で逮捕する!」
格好良く決めたはいいものの、ここで桜祐は手錠を防衛省に置き忘れたことを思い出した。
「君塚警部、奴に手錠をお願いします」
米泉にのしかかりながら若き桜祐警部補は言うが、
「何を言ってる。君が手錠をかけるんだ」
君塚警部も皆も桜祐に花を持たせてやるつもりでいた。
千代田が桜に手錠を渡す。
「17時23分、逮捕する!」
新宿の街頭のテレビモニターにニュースが映る。
『速報です。皇居宮殿では、畠山内閣総理大臣が正式に天皇陛下から任命を受けました!』
A27号による日本国の行政権の奪取は、畠山大臣と公安警察、特捜専対、別班の働きにより失敗した。
これで畠山正晴、特捜専対は官軍となった。
君塚信一はタバコをふかした。
「やっと、終わったな」
桜祐と千代田春が寄り添い、手を絡ませ、恋人繋ぎとなる。
夕陽が市ヶ谷の街をオレンジに染め上げ、この街の平和を我々が守ったことを実感させた。