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帰り道。
付き合い始めてから、まだ少しだけぎこちない距離。
でも────
前より、確実に近い。
黒名「……手」
隣から、小さな声。
見ると、
黒名蘭世がこっちを見ていた。
真白「え?」
黒名「いい?」
確認してくるのが、黒名先輩らしい。
真白「…….はい」
小さく頷くと、
すぐに、そっと手を取られる。
指が絡む。
恋人繋ぎ。
真白「….っ」
一気に体温が上がる。
黒名「嫌?」
少しだけ不安そうな声。
真白「ち、違います….!」
慌てて首を振ると、
ほんの少しだけ、安心したみたいに目を細めた。
黒名「よかった
そのまま、指先に少し力が篭もる。
逃がさないみたいに。
黒名「……あったかい」
ぽつり、と呟かれ、
また心臓がうるさくなる。
真白「黒名先輩の方が…」
そう言い返すと、
少しだけ間があって。
黒名「,…..そう?」
不思議そうに言いながら、
今度は、ぎゅっと握り返される。
黒名「じゃあ」
少しだけ距離が縮まって。
肩が、軽く触れる。
黒名「もっと、近い方がいい」
サラッと言う。
真白「……っ」
言葉に詰まっていると、
黒名先輩はそのまま、
軽くこちらに寄る。
ほとんど、くっついている。
黒名「これぐらい」
確認するみたいに、視線が落ちてくる。
黒名「……どう?」
近すぎて、顔が見れない。
真白「……いい、です」
やっとの思い出答えると、
ほんの少しだけ、笑った気がした。
黒名「よかった」
そのまま、ふと。
繋いでない方の手が、そっと伸びて────
髪に触れる。
真白「…….黒名先輩?」
黒名「ここ」
前髪を、軽く整えるみたいに。
黒名「乱れてた」
それだけなのに、
距離が近すぎて、息がかかりそうで。
真白「….ずるいです」
思わずそういうと、
少しだけ首を傾げる。
黒名「何が」
真白「そういうの….」
自覚無さそうなのが、余計に。
すると、少しだけ考えてから────
黒名「これも?」
真白「え────」
言い終わる前に、
額に、こつん、と軽く触れる。
真白「……っ?!」
一瞬、思考が止まる。
すぐ離れるのに、
さっきよりずっとドキドキしてる。
黒名「……赤い」
静かに言われる。
真白「だ、だれのせいですか….!」
言い返すと、
ほんの少しだけ、優しく目を細めて。
黒名「俺」
あっさり認める。
黒名「でも」
繋いだ手に、また力が入る。
黒名「好きだから」
その一言で、
全部どうでも良くなる。
真白「……..っ」
何も言えなくなる私を見て、
黒名先輩は満足そうに小さく頷いた。
黒名「慣れて」
でも今は、
少しだけ甘くて。
真白「……無理です」
小さく答えると、
ほんの少しだけ笑って。
「じゃあ、ゆっくり」
そのまま、
話さないまま歩き出す。
────この距離になれる日は、
たぶん、まだ先。
でも。
それがちょっと楽しみだと思ってしまうくらいには、
もう、好きになってた。
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