「太宰、トリックオアトリート!」
「おや、乱歩さん。残念ながらお菓子は昼間皆にあげてしまって、もう無いのですよ」
乱歩さんは意地悪な小悪魔のように笑みを浮かべ、“だと思ってた”と上機嫌に呟いた。
その呟きも聞こえず、頭の中を「?」で一杯にしていると、腕を捕まれ、其の儘乱歩さんは駆け出す。
突然の事で対応出来ず、半ば引っ張られ乍ら自分の寮に入れられる。
時刻は夕暮れ、空が赤く染まる頃。
ふとカーテンを開けて窓から空を見ると、斜陽の光が自分を包み込んだ。
ふわ、と不意に顔が緩む。
「なんて綺麗なんだろうか、」
自分には勿体無い程の綺麗な斜陽がその世界に此方を優しく迎えてくれる。
数分だったか、それとも数十分程だろうか(恐らく後者である)、時の流れは早い物で未だ三割程しか地に沈み込んで居なかった筈の陽は、何時の間にか半分が其の地に沈んで居た。
そうしてはっ、と隣を見ると、緩やかに笑みを浮かべる乱歩さんが居た。
「…すみません、全く気付いて居なくて。」
良いよ、と云うかのように微笑むと、突然私に覆い被さる。
「そう言えば、悪戯が未だだったね?」
にやり、と微笑むと(と言うよりも二ッと笑う、の方が正しいかも知れませんが)、私の服に手を入れ、腰をつう、と撫でる。
其の手付きが余りにもいやらしく、情けない声を出してしまいそうなのを堪えながら乱歩さんの悪戯に耐える。
パッ、と手を離され、ふと乱歩さんの表情を伺うと、何やら少し微妙な顔をしている。
若しかしたら、反応が予想と違ったのだろうか?
乱歩さん?と呼び掛ければ、一拍遅れてから、なに?と反応した。
「…んー、じゃあ、今日はハロウィンだから……仮装でもしてもらおうか!」
つい、「へっ?」と情けない声が漏れた。
かそう、カソウ……仮装?
私が?仮装?
否々、乱歩さんは兎も角、私は仮想等似合わないでしょうし……
ぐるぐると頭を回していると、思考を読まれたかのように(実際に読まれたのでしょうが、)“大丈夫!太宰なら何でも似合うよ!”と言われる。
嬉しく無いです乱歩さん……
「太宰ー、もう着れただろー?」
否、流石に之は……と悩んで居ると、乱歩さんに声を掛けられる。
取り敢えず個室から出ると、乱歩さんが“おー、”と声を上げる。
「……似合いませんよね…」
短めのスカート丈に半袖の警官服。それに加えて黒タイツ。
確かに体は細めな方だが、之は流石に…と思っていると、乱歩さんが手を引き、畳の上に優しく押し倒される。
「…今のお前、最高に可愛いよ」
返事をする前に、唇で口を塞がれた。
「乱歩さんはほんっとうに狡い!!」
コメント
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太宰のスカート来てるの見たら僕絶対笑いそう…………ww