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翌日、またオフィスで、若井は黙々と仕事をしていた。
その顔には、わずかな決意が浮かんでいる。
(今回は……)
昨日の夜、大森にあんなふうに押さえ込まれ、心の中で悔しさが渦巻いていた。
何度も反抗したいと思っても、結局は大森に圧倒されるばかり。
だけど、今日は少し違う。少なくとも――今日は、何かを変えたいと思っていた。
その時、大森が静かに若井の席に歩み寄る。
「また、残業か?」
その冷たい声に、若井は顔を上げる。
「あ、はい……ちょっと仕事が……」
「ふん、見てりゃわかる。お前、俺にやらせた分の仕事だろうが。手を抜くな」
その一言で、若井の心の中に怒りが湧いた。
自分の思い通りに動かされて、ただ働かされるだけの毎日。
そんな毎日が嫌だった。
(でも、どうせあの男は……)
「大森先輩、もう……こんなやり方、嫌です」
若井は強い口調で言ってみた。
いつもより、少しだけ強く声を出してみたが、その言葉が大森に届くことはなかった。
「ほう?」
大森は若井の顔をじっと見つめ、微笑む。
「じゃあ、どうする?」
「……!」
その目が、冷たい光を帯びているのがわかる。
若井は一瞬だけ言葉を失ったが、なんとか耐えて続けた。
「私は……私は、あなたの指示通りに動かされるのは嫌だって言ってるんです!」
その言葉を聞いた瞬間、大森の表情が少しだけ変わった。
ほんの一瞬、冷笑が浮かんだだけだが、それが若井には恐ろしいほどに感じられた。
「そうか。じゃあ、どうすればいいんだ?」
大森の手が、若井の腕を軽くつかむ。その力に、若井はたじろぐ。
「そうだな……お前、ちょっと試してみるか?」
「試す?」
「そう。お前が俺に逆らったっていう証拠を見せてみろよ」
大森は若井を壁際に押しやった。
その瞬間、若井は恐怖と怒りが入り混じった気持ちで、大森を睨みつける。
けれど、大森は動じない。
「お前、反抗したいんだろ?」
その声が、若井の耳に届くと同時に、大森の手が再び若井の腕に絡みつく。
「やめてください……」
若井は抵抗しようとするが、大森の力にはかなわない。
その手が、若井の首筋に触れると、無意識に震えてしまう。
「反抗なんて、無駄だよ。お前は、結局、俺のものだ」
その一言と同時に、大森は若井の唇にキスを落とす。
初めて触れた唇に、若井の心臓は激しく鼓動を打つ。
驚きと拒絶の気持ちが入り混じり、反射的に体を引こうとするが、大森の手が後頭部に回り、引き寄せられる。
「お前、俺に何をして欲しいか……わかってるんだろ?」
キスが続く。
大森の舌が若井の口内に入ると、あまりにも強引で、若井は完全に動けなくなった。
その時、若井の心に深い混乱が広がる。
自分が望まないことをされているのに、身体がどうしようもなく反応してしまっていることに、心の中で嫌悪感を抱きながらも、何かが引き寄せられるような感覚があった。
「さあ、どうするんだ?」
大森はキスを解き、若井を見つめる。
その顔には、満足げな表情が浮かんでいた。