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とある休日の話。
✦︎友情出演:ri、kg
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ピンポーン。ある日の休日。せっかく休みだし恋人とどこかへ出かけようかと話していたところ、お互いに結局家が落ち着くよな、というなんとも出不精としか言いようがない結果に至り、星導は昼食を作り、小柳は食器の準備やテーブルの片付け等をして時間を過ごしていた。
機嫌のよさそうに鼻歌を歌いながら、明らかに事後を彷彿とさせるような少し大きめの緩いスウェットは肩が片方覗いていて、鎖骨まで丸見えな小柳の首元には幾つかの赤い跡が浮かんでおり、そんな小柳を見て愛おしそうに微笑む星導の首元や肩口には幾つもの噛み跡が刻まれている。最初は恥ずかしがっていたのに、今となっては隠しもしなくなった小柳に口角が上がるのが止められない。
かわいいなぁ、と手を動かしていたところ、星導の家のインターホンが鳴る。火を止めて出ようとしたところで俺が出る、と小柳が申し出たのでありがたくお願いする事にし、モニターを確認した小柳が伊波とカゲツじゃん、と呟いていたので心配ないかと手元に集中することにした。
「うい」
「あ、ほし…あれ、小柳?」
「おん、おはよ。」
「もう昼やけどな、おつかれ」
「おつ。どしたん、星導に用?」
「んや、近くまで来たから寄ってこうと思って。…ところでさぁ…」
伊波がほい、とコンビニらしきビニール袋を渡し、聞くべきか迷ったんだけど…と小柳の姿を上から下まで全て見て溜息をついた。なんだよ、と急かせばいやなんて言うか…と言い淀んでいるところを見るに、いいことでは無いのだろうなと察してしまう。それでも気になるものは気になるもので。一度玄関へと招き入れ、扉を閉めてから再度聞くことにした。
「…お前、ガード緩すぎない?星導の前だとそんなんなんだ」
「…………は?」
「ほんまにな。見せつけんでええて」
「なんの話し…って、あ。」
伊波の言葉にぽかんとしていた小柳が叢雲の言葉を聞いて自分の姿を思い出す。もともと外に出る予定もなかったし星導以外と会うつもりもなかったためかなり油断していたとも言えるだろう。
「ッスーーーーー……ちょっと、先にリビング行っててもらっていいすか」
「ウケる。さっさと行ってこい」
「あ、おはようございます。…あれ、小柳くんは?」
「おはよー。着替え行ったよ」
「着替え…?………あ。」
「お前も気づいとらんかったんか」
「いや、気づいていなかったというか、当たり前すぎて浸透していたというか。」
「うわ…ダル」
「はいはい惚気惚気。」
リビングへ入り、キッチンに立って料理を進めている星導と会話をしながら待っていると、少し遠くからほしるべー?と大きな声が聞こえてきた。声に反応した星導が手を止めて声を出しながら向かう後ろ姿眺めながら、伊波と叢雲はあの2人がこんな平和な日常をすごしているなんて感慨深いなと浸る。
しばらくして帰ってきた星導と小柳。小柳は先程とは違い、黒のパーカーに着替えたようだ。
「…それ星導のじゃね?」
「ほら、やっぱバレる」
「え〜、意外と見てくれてるんですね」
「ダル。星導にしては珍しいな〜って思ってたんだよ。」
「まあそもそも小柳くん用に買ったようなものですし。」
「もうええて。」
「オレおなかいっぱいになっちゃった」
溢れるように出てくる惚気のような話を口に詰め込まれ、砂糖で腹が満たされた気分だ。
「え、お昼ご飯あるのに。いらないの?」
「「いただきます。」」
素直に手を合わせた伊波と叢雲によろしい、と昼食の準備を再開した星導。
「ほしるべー、食器増やすよ?」
「うん、お願いします。足りる?」
「違う皿使えば何とかなんだろ。お前ら何飲む?」
「え、あ、お茶貰える?」
「僕も」
「うい」
自然と共同作業をしている2人に圧倒され、ぽかんと突っ立っていると何を飲むか問われ咄嗟にお茶と答えた。すぐに出てきたコップにお礼を言って手に取りこくりと喉を鳴らす。
食器の準備をし終わり手持ち無沙汰になった小柳が星導の傍に駆け寄り近づいて手元を眺める。なんとも微笑ましい状況に伊波と叢雲は混乱していた。
「なん、なんなんあれ」
「いやガチでそれ。小柳ってあんな奴だっけ?」
「いや、ソファで寝転がってスマホ見とくタイプやと思ってた」
「だよね!?あの小柳ロウも好きな人相手には丸くなるってことか…」
「おいそこ。どうせろくな事言ってないだろ」
コソコソと椅子に座って2人の方を見ながら話していると突然小柳がこちらにピシッと目を向ける。なんのこと?と2人して惚けるとはぁ、とため息をつかれた。
「小柳がキモイって話してただけやって」
「とんだ悪口じゃねぇか」
「そうそう、どうやって躾けたのかなって思ってたところ」
「だから犬じゃねぇって」
「うちのワンちゃんいい子でしょう?」
「てめぇはぶっ飛ばすぞ」
なんでるべちにだけ…なんて可愛こぶる星導に全員でキモイと刺す。更になんで!!!と声を荒らげた星導に沢山の笑いが包まれた。
「もう…」
「んは、悪かったって。」
星導がむすっと口を尖らせたまま、鍋の中を静かにかき混ぜる。火加減を弱め、ちらりと横を見ると、隣で小柳がくすくす笑いながら肩にちょん、と頭を預けてくる。
「…寄ってくるのはずるくない?」
「星導がしょげてるから慰めてやってんだろ」
「聞こえてるからね?」
「聞かせてんの。」
さらっと言い切るもんだから、星導は思わず息を止める。照れた笑みが隠しきれず、口角がほんのり上がったまま肩が揺れた。
昔の彼を知っている伊波と叢雲は、つい視線を交わす。あの尖って、肩を張って生きていたやつが、今はこうして人の隣で普通に息をしている。柔らかく笑って、好きな人の腕に平気で触れる。
戦場にいた狼が、気を許した相手の膝の上で丸まって眠れるようになった…そんな変化だ。…いや、小柳の場合本当に狼なのだけれど。
だらだらと崩れる午後の空気。お茶の湯気がふんわり立ち、外は休日特有のゆるい光。
こんな日が続いたらいい、と、誰かが思った。否、きっと全員思ったであろう。
ご飯の匂い、笑い声、ゆるくつながった縁。誰も戦っていない。守ろうとしているだけだ。
平和って、案外すごい。
ちゃんと息できる場所って、宝物みたいに尊いものだ。
「……ほしるべ」
小柳がぼそっと呟いた声に星導が振り向く。
「なぁに?」
「んは、呼んだだけ」
その声音は不器用で優しくて、
伊波と叢雲は「まぶしっ」と目元を押さえた。