テラーノベル
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「リオール・メイヴィス。お前との婚約を今ここで破棄する。」
「そんな…、ヴェイル様!!どうしてですか?!」
「もしかして自覚がないのか?こんなに可愛いラークを虐めたくせに。」
「そんな!私がラーク様を虐めた?そんなことしていません!!」
「今更隠そうとしても無駄だぞ。ラークは俺の目の前で痣をみせて来たのだからな。」
「そんな、私は!!虐めてなどいませんのに…。」
「無駄だと言っているだろう。あんな陰湿な虐めを…。ラークの気持ちを考えたことがあるのか!?」
ダメだ…。この人はもう何を言っても聞いてくれない。ラークという女に洗脳でもされてしまったのかしら…。
「リオールを連れて行け」
え?どうして?それだけで私は連れて行かれなきゃいけないの?私のことを虐めてきた人には何もしてくれなかったくせに。どうして…。どうしてどうしてどうして私だけ!!
閉じ込められて何日経ったのだろう。まともな食事は勿論持って来て貰っていない。このままここで死ぬのは嫌だ。なんで私だけがこんなことにならなくちゃいけないの。
生まれ変わったら絶対に呪ってやる、復讐してやる!!
お腹すいた、辛い。苦しい…、絶対に、ぜった………。
「リオール様!リオール様!!!」
「はっ、」
「よかった、やっと起きた…!リオール様お身体は大丈夫ですか?」
「え、ルル!?ルル、貴方は殺されなかったのね!よかった…、よかった…!!!」
「リオール様?どういたしましたか?私もリオール様も誰かに殺されるなんてことないですよ」
「そうよね、ごめんなさい。悪夢を見てしまったみたいで…。」
「ねぇ、変なことを聞くけど、今私が何歳かわかる?」
「リオール様のご年齢ですか?リオール様は今15歳でございます。あ、ですが後二ヶ月ちょっとで16歳のお誕生日を迎えますよね。」
「あら、そうだったわね。変なことを聞いてごめんなさい。ありがとう。」
「いえいえ、リオール様はお忙しいですもの。仕方ないですよね。」
私が婚約破棄を言い渡されるのが18歳の私の誕生日パーティーの日。その日に変な言いがかりをつけられて婚約を破棄されてしまう。その前にどうにかして逃げ出さなければいけない。
もし逃げ出せなくても味方になってくれる人が居ればそれもそれで心強い。できればルルにも本当のことを話したい。でも生まれ変わったなんて話したら絶対に信じてもらえないだろうし、信じてもらえたとしても怖がらせてしまうに違いない。
ルルにそんな心配はかけさせられない。気づいてくれた時に話すのが一番よね。そして自分の身は自分で守りたい。今から魔法学園に入ることは可能かしら。15歳から入学可能な魔法学園が都合よくあれば問題ないのだけど。
お父様に聞いてみるしかないわね。そして気は乗らないけれどお父様に言って奴隷を買わせてもらうしかないかしら。
今度は絶対に失敗しない。幸せになってあいつらを見返してやるんだから。
「お父様、失礼します。」
「リオールかどうしたんだ?お前から部屋に来るとは珍しいじゃないか。」
「本日はお願いがあって来ましたの。」
「お前がお願いとは珍しいからな。叶えられることなら叶えてやりたいが…。」
「嬉しい限りでございます。我儘で申し訳ないのですが…、奴隷を買わせていただきたいのです、それと今の私の年齢で入れる魔法学校にも行かせていただきたい。」
「ほう、理由は?」
「私、今はまだ自分の身を守る術を持っていないのですが、このまま守られるだけの人生は嫌なのです。そのために魔法を学びたく…。奴隷に関しましては、あまり乗り気ではないです。それでも学園に通う際に護衛は必要かと。」
「そうだな、確かに。学園に通うならの話だ。お前の今の年齢でちょうどいい学園を探してみるとしよう。」
「…!ありがとうございます!」
よかった…!今まであまりお父様に何かを頼むことは少なかったから、そのおかげかこんな無理難題も許してもらえたわ。
まぁ、妹が我儘なおかげもあるのでしょうけどね。
とりあえずこのままいけば婚約破棄ルートからは解放されるわよね…?
この後のことはあまり考えていないけれど婚約破棄まではもう少し時間があるわ、それまでに色々準備していきましょう!!
終
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