兄の圭介をマークするうちに、もうひとつ奇妙な事実が浮かび上がった。
監視カメラの映像。
妹の自宅アパート前で彼が話している“誰か”。
映像には彼しか映っていない。
だが、圭介は明らかに会話をしていた。
「……美咲、信じてる」
その声を拾った音声解析では、相手の声の波形は検出されなかった。
俺は一度、圭介に聞いた。
「妹さん、本当にここに住んでいるんですか?」
「もちろんです。昨日も夕飯を一緒に食べました」
だが、部屋の郵便受けには誰の名前も書かれていなかった。
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